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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

一面だけの情報

作者: 沖田 楽十

「お母さんをイジメるのは可哀想カワイソウだよ…」と、彼女は言った。はたから見たら、そーゆう風に見えるのはわかっていたが、好きなコから注意されると、やっぱり自分がオカシイのかな…? と不安になる。



「………昔……色々、されてきたから…」


「…だとしても、お母さんは、もうとしなんだから……」


「……………」



 正義感に溢れたで、彼女は真っ直ぐに俺を見つめていた。それは美しいモノでーー同時に「俺」を否定する。

 俺の母親は、世間体せけんていでは“良い母親”や“弱い女”で、家では「俺」の存在を否定する罵詈雑言ばりぞうごんばかりで…。俺が誰かに母親の“裏の顔”をそれとなく話せば、あんなイイ人を悪く言ってはいけない、とよく注意された。

 それだけ、母親は“オモテの顔”を演じるのが上手く、同時に俺を世間から悪者にさせた。



「なにがあったかわからないケド……お母さんと、ちゃんと話し合ってーー」

「話し合えねぇよ」


「…えっ? 」


「うんん。なんでもない…」



 話し合えるなら最初っからそうしてる。でも、話し合えないから…現在進行形だから…君が「俺」の事を否定するのが、なによりの証拠だ。

 それにーー“また”想いを告げる前に、【好き】という感情が冷めていくのを感じた。



「今日は有難ありがとう。送るよ」


「…えっ? まだ早くない? 」


「遅くなっちゃ悪いし…」


「だっ…大丈夫よ、私。今日は友達の家にまるって、親に話しててーー」

「わかんない? 遠回しに帰れっつってるコトに」

「!? ッッ…親を大事に出来ない奴なんかっ、誰からも愛されないわよッ!!! 」



 そう吐き捨て、彼女は家から出ていった。残されたのは、俺とーーあの女がいる間、ずっと弱者ぶっていたクソババアだけ。



「またフラれて……。“あんなイイコ”をのがすなんて、アンタの嫁になってくれるコは現れるのかしらねぇ? 」



 クソババアが「イイコ」とすって事は、あのコは「ワルイコ」だったのだろう。コイツと波長はちょうが合う奴に、ロクなのはいなかったから…。



「あと、『昔色々されてきた』ってなに? まるでアタシがアンタに虐待してきたみたいな言い草じゃないのよ。あのコに誤解されてしまったら如何どうしてくれるの? 」



 誤解もなにも事実だろうが…。

【虐待=体罰】が思い浮かぶ者が多いと思うが、言葉だけの暴力も該当がいとうするって、なにかの媒体ばいたいで知った。



「あーあ。アンタみたいな子、産まなきゃよかった。如何して生まれてきたの? 流れちゃえばよかったのに…ッ。アタシを苦しめる、ほんと“イヤなコ”」



 ーーほんと…。なんで、俺を産んだんだよ? それになんで、こんな理不尽りふじんな世の中に、俺は生まれてしまったんだろう??











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