82:何を入れようか。
とりあえず積もる話は、ご飯でも食べながら!って事で雑炊を作ることにした。
魔王はダイニングで雑炊を作る様子を見ながら待つらしい。
移動すると魔王がついてくる。魔王ってわりとストーカー気質。ってのがどうやら口から漏れ出ていたらしくて、後頭部を鷲掴みにされた。酷い男だ。
お前が口からぼろぼろ漏らすからだろうがとか言ってるけど無視無視。
「さて、んー…………決めた! 鶏とエビときのこ!」
食材を決めたので、貯蔵庫からキッチンに移動。
鶏もも二枚を一口大に切って塩コショウ。エビは白ワインで揉み洗いして背綿抜き。
玉ねぎは薄めのスライスが好みです。人参も玉ねぎと変わらないくらいの大きさにしてから薄めの短冊切り。
キャベツは一センチ角で小さめに。
「魔王って、セロリ好きだよね?」
タコスのミンチ肉にもサルサにも使ってたけどめちゃめちゃ食べてたし。タコスに使ってたのの葉の部分をちょっと余らせちゃってるから使い切っておきたい。
「いや。そんなには」
「へー、そうなんだー」
聞かなかったことにして、茎の部分は薄くスライス、葉っぱは一センチ幅で切った。なんで好きか聞いたんだよとか苦情が後ろから飛んできてるけど再度無視無視。
そんなに、ってことは食べれるってことだ。そもそもタコスでセロリもりもりと食べてたんだし。いいでしょ。入れちゃえ。
大きめの鍋で鶏肉をなるべく皮面から焼き、いい感じに焦げ色がついたら、玉ねぎと人参とキャベツ、しめじみたいなのを入れて、軽く炒めてお湯をワジャーッ。
お肉と野菜類が煮えたら薄口の醤油をちょこっとと、塩コショウで少しだけ塩っぱめに味付けをして、お米はどんぶり三杯入れる。ふやけるからかなり多く感じるけど、たぶん魔王なら食べるでしょ。余ったら貯蔵庫に入れておけるし!
いやほんと便利よね。
お米を入れたらここでエビちゃん投入。エビは煮すぎると固くなるから、これくらいでちょうどいい。
ひと煮立ちさせて、溶き卵四個分を鍋に回し入れ、少しだけかき混ぜたあと、フタをして火を止めて予熱で蒸らす。
「さてさて、直ぐ出来るから、机の上片付けててねー。あと氷水の用意もお願い」
「ん」
魔王、普通に働く。ありがたや。
氷はカランカランと私好みのサイズをコップに出してくれた。ありがたや!
お茶碗とどんぶりの中間くらいのお椀を出し、テーブルの上にお鍋をドーン!
おかわり注ぐのに、わざわざ移動したくないからね。
「雑というか大胆というか」
「大人数の家のご飯はこんなもんだよ。いちいち大皿になんて移し変えないもん」
…………家によるけど。
「ふうん。お、うまそうだ」
「ふふふん! うまいのだ!」
「ん」
魔王が期待に満ち溢れた顔でお椀を差し出してきた。
さ、のんびり雑炊食べながら、全くもって話してなかった前世の話でもしてあげようかな。
ではまた明日!





