表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2巻 10/10発売☆】魔王様の餌付けに成功しました ~魔界の定食屋で悪役令嬢が魔族の胃袋を掴みます~  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/171

77:お母さんか、変態か。




 タコスをもりもりと頬張る魔王を、頬杖ついて眺めていると、魔王がジッと見つめ返してきた。


「……ん? どうした?」

「んー? おいしい?」

「うまい」


 コクンと頷いて、むしゃむしゃ。


 魔王はサルサ多めのチーズありが気に入ったらしく、レタスをちょっと減らしてみたり、肉は減らしたくないなとか呟いたりしながら、中身の調整をしている。


 魔王って、ほんと可愛いなぁ、こういう時間が幸せだなぁと思っていたら、不意に涙がポタリと落ちてきた。


 ――――あれ? なんでだろ?


 魔王が気付かない内に止めなきゃと思えば思うほどボロボロと落ちてくる。


「……っ、ルヴィ!?」

「ごめっ、ちょ、なんでかな? あはは」


 笑って誤魔化したけど、魔王が焦った顔で真横にすっ飛んできて、ギュムッと抱きしめてくれた。

 違うんだよ、ただね、ホッとしただけなんだよ、って何度も伝えるのに魔王は私を離さなかった。ずっと抱きしめててくれた。

 

「も、大丈夫だから、続き食べなよ」

「……明日の朝食べる。フォン! 後片付けを」

「はい、まおうさま」


 フォンがポフンと人型になってくれて片付けをしてくれた。ごめんね、ありがとう。

 そして魔王はというと、私をひょいと横向きで抱き上げて、お姫様抱っこに。まじか、リアルにお姫様抱っことかされたら、びっくらこいて涙も引っ込んだよ。

 とてとてと寝室に向かい出したけどちょっとまって欲しい。


「魔王、魔王、待って!」

「待たん」

「いや、魔王も私も結構に玉ねぎとかにんにくとか臭いんだけど?」

「……」


 サルサには大量の生玉ねぎのみじん切り使ってたし、お肉にも玉ねぎやにんにくいっぱい使ってたし。


「……」


 魔王が眉間に深い深い峡谷を刻み、何かをもそもそっと呟いたかと思ったら、私達を爽やかな風がふわりと包み込んで、フローラルな香りを残して消えた。


「清浄魔法と芳香魔法を使った。これでいい」


 清浄魔法はわかる。別の作品とかでクリーン魔法とも言われてたりするやつだよね? ダンジョンに籠りっぱなしでも清潔に保てます!みたいな。

 芳香魔法とはなんぞや!? そう聞くけど、魔王は私をチラッとみてスルーしやがった。何なの!?


「ほら、着替えろ」


 寝室のクローゼットの前に下ろされ、寝間着に着替えるように言ってくる魔王。何なのお母さんなの!?

 ジッと見てくる魔王の視線がうざいなぁなんて思いつつ、魔王の目の前でお着替え。何なの変態なの!?


「ほら、おいで」


 着替え終わると魔王がベッドに誘ってくる。くそぉ、かっこいいなぁとか思いつつ、差し出された手を掴んで歩みよると、またもや抱き上げられ、ベッドにふわりと寝かされた。

 魔王は私の横に寝そべると、そっと抱き寄せて来た。魔王の胸板に耳を付けるような形。

 

 トクントクンと規則正しい心音。ポカポカとしたあたたかい他人の体温。「ルヴィ」と名前を呼ぶ、甘くて低い柔らかな声。

 

 ――――落ち着くなぁ。

 

「不安にさせてすまなかったな」


 ギュッと抱きしめながら魔王が言ったその言葉と、小さく呟かれた「愛してる」というと言葉に、また涙が溢れてしまった。

 臆病で馬鹿な魔王だけど、かっこいい。


 ――――好き。




またまたお昼にぃー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 10/10発売! ◇◆◇


魔王様の餌付けに成功しました ~魔界の定食屋で悪役令嬢が魔族の胃袋を掴みます~ 2
書籍表紙


表紙&挿絵は『犬月煙』先生っ!
2巻の表紙もきゃーわゆいのっ!そして、フォン・ダン・ショコラたちのあのシーンやあのシーンががががが!めちゃくちゃヨダレ出るからね!!!

※書籍化に伴い、タイトル・内容・キャラクターなど、大きく変更しております。

♣ ネトコン12受賞 ♣
双葉社Mノベルスf様より、2巻は電子のみでの発売です。
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


▷▶▷ 双葉社

▷▶▷ amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
[一言] 何気ない日常が幸せですね。 魔王の可愛さと安心感。 朝からご馳走様でした! 1日頑張れそうですw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ