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3:壊滅的なネーミングセンス。




 買い物は順調に終わった。

 生活必需な消耗品などから、お店で使う食材まで、沢山買った。

 それぞれ配達の依頼もしたので、あとは家で到着を待つだけ。


 この世界には元の世界で言うところの冷蔵庫は必要ない。

 店舗や大きなお屋敷には、冷蔵庫よりも断然便利な『時空停止保管庫』というものが併設されている。

 ただ、これを使用するためには魔力補充型の魔石が必要で、使用頻度や使用する広さによって魔力の補充スパンが違ってくる。

 この補充型魔石本体に十万ウパと魔力の補充に三万ウパ使った。これでおおよそ一ヶ月持つのだそう。

 つまりは、魔力補充が電気代みたいなもの。


 これは、普通の家にも言えることで、家の中の明かりや水道などは全て魔力補充型の魔石で管理できるようになっている。

 見た目は近世初期のヨーロッパだけど、生活のしやすさは私の生きていた時代よりちょっと不便かな?程度で済んでいる。


 ちなみに、魔石本体は普通に使って約十年ほど保つ。

 そして一番の重要なところは、魔族なら誰でも魔力を持っていて、自分で魔石に補充出来る。

 けれど、人間は魔力を持った者がかなり少ない。そのため、人間たちは魔界と魔石への魔力補充の契約をしている。


 『謝礼のおまけとして、罪人を魔界の森に捨て、魔獣に餌やりをする』

 

 私が魔界送りの刑になったのは、この契約の『おまけ』のせい。おまけで、魔獣の餌。


 なぜその『おまけ』があるのかというと、魔族は魔獣を手懐けて戦闘に使ったり荷運びに使ったりしているのだけれど、定期的に餌を投入しないと、大型魔獣同士の狩り合戦が始まって、小型の魔獣が消え去るから。

 いわゆる、ちょっと人手が入った『自然保護区の野生動物の餌(人間)』みたいな扱い?


 魔族は、『まぁ、生き残れたらラッキーだし、街に来たら受け入れようぜ?』くらいにどうでもいい&相手にしていないという悲しいもの。


 そんなんで死んでたまるもんですかっての!




 店舗兼住宅に戻り、カエルの不動産屋さんの納品書にサインをして見送った。


「よっと……」


 店の時空停止ほかん……面倒くさいから貯蔵庫って呼ぼう。三畳くらいの貯蔵庫の壁にある魔法陣の真ん中にカポッと魔石をはめ込むと、ぽんわりと庫内に昼白色の明かりが灯った。

 これが時空停止が効いている証らしい。


「未だに謎なのよね。生き物の時間は停止しないって」

「「がぅ?」」


 独り言ちたら、後ろにずっとくっついてきてたケルベロスが返事した。三頭(でいいの?)が揃って首を傾げていて、ちょっと可愛い。


「はぁ……名前、決めないとね」

「「がぅ!」」


 ポチ・タマ・ポコ、完全無視で却下された。

 ケル・ベロ・スー、めっちゃキレられた。

 ちちん・ぷぷい・ぷい、咬まれそうになった。


「もうっ、わがままばっかり! そんなんだと、フォン・ダン・ショコラ、にするわよ!」

「「わふぅん!」」

「………………え?」


 まさかの、正面向かって左フォン、中央ダン、右ショコラでいいらしい。

 魔界のネーミングセンス、どうなってるの?


「「ぐるぅ……」」


 何でかわかんないけど、『お前に言われたくない』感で唸られた。

 何でかわかんないけどっ!




次話は夕方頃に。

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