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69:祝いの品と感覚の違い。




「うわっ……なんだその羽は」


 私の背中を見た王太子が、引いたような声を出していた。いつ何時もうるさい人ねぇ。


「これ? 可愛いでしょ? 小悪魔ルヴィちゃんよ」

「お姉様っ!」


 シセルが慌てたような声を出したので何事かと思った。手紙で伝えていたはずだけど?って。


「すっかり忘れてました……可愛いです!」

「でしょ!? パタパタするのよ」

「きゃっ、本当ですわ! 触ってもいいですか?」

「いーわよ」


 そうよね、シセルってこういう子よね。本当に可愛いし、心が綺麗で癒されるわ。

 シセルの手を羽でペチペチ叩いたりして遊んでいたら、王太子殿下がシセルを抱き寄せて悪魔に不用意に触るな、何を移されるか分かったものではない、と怒っていた。


「あ?」

「どうどう」


 王太子よ、どうしてそうも上手にウィルのイライラツボを押すのかね、と聞きたい。人間至上主義でも構わないけれど、次代の国王なのよ? 魔族とちゃんと仲良くやりなさいよ。

 軽くキレそうになっているウィルの背中をペシペシと叩いて、どうにかこうにか落ち着かせた。


「私が関わらなければ、たぶん優秀なのよ。たぶん、おおよそ……きっと」

「えらく保険をかけるな」

「ちょっと自信は持てないもの」

「聞こえているが!?」


 まったくもう。いい年齢なのだから、そろそろ落ち着いて欲しいわね。そんな失礼なことを考えつつ、王太子殿下の横を通り過ぎ、ウィルと国王陛下に挨拶。

 すまなさそうな顔で王太子殿下のことを謝られてしまった。せっかくの即位記念の日に騒いでしまい、こちらこそ申し訳ございませんと、カーテシーをしつつ謝罪。


「息子もミネルヴァ嬢のように大人になってくれるといいのだがね」

「うふふ。もうすぐ親になりますもの。必然と成長しますわよ」

「だといいんだがな――――」


 そんな会話をしているうちに、式典開始の時間となった。バルコニーには様々な国の王や使者たちが訪れており、祝いの品も沢山用意されていた。

 各国からの祝いの品とともに祝の言葉が文官によって読み上げられると、国民たちが歓声を上げるのだけど、魔国からの品が読み上げられた瞬間、どよめきが起こった。


「魔国、魔王陛下より『即位三〇年、心からお祝い申し上げます。今後も貴殿とのよい関係を築けることを願っている』とのお言葉と祝いの品をいだいております。王城で消費する魔石一年分……と書いてありましたが、おおよそ三年分ほどございました。その他、魔国で開発された最新の調理器具と製造方法もいただいております」


 最新の調理器具ってまさかおじいちゃんの? というか、魔石の計算ガバすぎない? そう思ってウィルを見ると「魔王城と同等の使用量だったんだが、人間はそんなに魔石を使わんのか?」と聞かれた。


「あー、国王陛下って割と魔石を大切にされてて、王族が使う分はかなり節約されてるのよ。その代わり使用人たちの仕事の補助には沢山使われるわよ。まぁ、それでも魔族とは感覚が違うかもね」


 ちょっと苦笑いして伝えると、ウィルが国王陛下は本当に真面目な男だなと呟いた。それは私も同意だ。本当に国民思いの良い王様だと思う。




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