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66:エーレンシュタッド城へ




 後日、ヒヨルドとアレハンドロさんがそれぞれ来店したときに迷惑かけてごめんねと伝えると、二人とも気にしないでいいと言ってくれた。

 アレハンドロさんにウィルと喧嘩してる件について聞いていいかと尋ねると、苦笑いされてしまった。


「魔王陛下から聞いているんでしょう?」

「うん。それでもね、本人からも聞いてみたいなって」

「そうですね……今度の仕事が終わり、魔王城に戻った後で、でもいいだろうか? そろそろ陛下とも腹を割って話したい。ミネルヴァ様に同席していただけると助かる。貴女は陛下のストッパーだから」

「そんな腕力ないわよ?」

「ははっ! 貴女のそういうところが、陛下を癒すのだろうな」


 アレハンドロさんの表情が少しだけ緩んだ。

 ウィルは物凄く毛嫌いしているような反応だけど、アレハンドロさんはあんまりそういう感情はないようだった。

 ただ、ウィルがいい感情を抱いていないというのは分かっていて、今まではそれに対して自分で何か行動しようとは思っていなかったみたいだった。




◇◇◇




 式典当日の朝、魔王城に移動して侍女さんたちに捏ねくり回されつつ私はウィルカラーの黒と深紅のドレスに着替えた。背中はぱっくりと開いていて、肩甲骨あたりで手のひらサイズの黒い羽がパタパタと揺れている。


 羽を隠すか迷ったけど、私は別に恥ずかしくもないし恐ろしいものでもないから気にしない。

 どちらかというとウィルの方が、いいのか?と気にしていたけど。


「ルヴィちゃん、きれいです」

「ありがとう。フォンはかわいいわね」


 白いシャツに青色の蝶ネクタイと黒いハーフパンツ。膝小僧が見えてるのがなんとも可愛らしい。


「ショコラもかわいい?」

「うん、ショコラもかわいいわよ!」


 ショコラはピンクのリボンタイを着けて、キュロットパンツを穿いていた。ダンは緑のネクタイでズボンは長ズボンにしたらしい。カッコイイよと伝えると、ちょっと照れていた。


 私たちの準備が整ったのを確認して、ウィルが魔王の格好になった。


「ん、準備できたな。ヒヨルドとアレハンドロを拾ってから人間界へ移動する。掴まれ」

「「はーい」」


 私はウィルに腰を抱かれて、フォン・ダン・ショコラはそれぞれ私やウィルにしがみついての瞬間移動。

 初めにヒヨルドの部屋に行き、正装したヒヨルドの首根っこをガシッと掴んだ瞬間に今度はアレハンドロさんの部屋らしき場所に移動。

 式典用の騎士服に身を包んだ、頭があるポニーテールなアレハンドロさんにびっくりする暇もなく、ウィルが「おい、アレハンドロを掴め」とヒヨルドに命令していた。


「はっ? えっ、お――――」


 ヒヨルドが何か言いかけていたけど、アレハンドロさんを掴んだのを目の端で確認したらしいウィルがまた瞬間移動を使った。

 そして次の瞬間には、エーレンシュタッドのサロンに到着していた。

 展開が早すぎるのよね。あと、分かり易すぎるほどの感情を出すウィルも珍しい。




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