表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/169

50:急遽のあんかけカニチャーハン

 



 生春巻きはフォン・ダン・ショコラたちと一緒に食べることになったので、急遽別のものを作ることに。

 生春巻き作りで余ったカニ身がまだあるので、大急ぎでカニチャーハンを作ることに。


 山盛りのご飯に溶き卵を入れ、ほぐしたカニ身もどっさりと入れ、しっかり混ぜる。

 具材はこれだけでいい。フライパンで炒めるのだけど……腕力と消費量が合わないので料理長さんがやってくれた。

 

「ほんと、ごめんなさいね」

「いえいえ。これくらいの仕事はさせてください」


 チャーハンは初めてだと言われたものの、説明すれば卒なくこなす料理長。流石、長なだけある。

 料理長が炒めてくれているので、私はその横でカニあんかけを作ることにした。

 フライパンでお醤油を焦がし、そこに酒や塩、少量のお砂糖も入れて、中華スープがなかったのでブイヨンを入れてみた。味見したけど思ったより中華風の味になってホッ。

 そこにほぐしたカニ身を入れ、水溶き片栗粉でとろみ付け。片栗粉あるのに、中華スープないのは何でよと聞きたいが今じゃないはず。

 片栗粉を回し入れてしっかりととろみをまんべんなく付ける。そして、ここで必ず一分以上は火を通す。そうすることによって、時間が経ってもしっかりととろみが付いたあんかけになるのだ。


「火をしっかりと通さないと、シャバシャバになるのよね」


 あれはあれで好きなんだけどね。シャバシャバにご飯シミシミさせるのも美味しいの。


「チャーハン、出来ました」

「ありがとうございます!」


 大きめのスープボウルにカニチャーハンを丸く盛り付け、そこにカニあんかけをたっぷりと。白ごまか黒ごまがあれば、上にパラパラと振りかけると見た目も匂い付けにも丁度いい。

 

 ダイニングに運んで、ウィルとお義父さんと三人でいただきますをした。


「熱いから気をつけてくださいね」

「ん」

「本当だね。湯気がずっと出てるねぇ」


 ウィルが慣れた感じでフーフーと息を吹きかけてパクリ。それを見たお義父さんが同じように真似してパクリ。

 前世の記憶がある私には違和感のない行動なんだけど、貴族の慣習の中で過ごしていると、そもそもフーフーすることがない。

 温かくはあるものの、熱すぎるものを出されることはなく、適温なのだ。個人的には『ちょいぬるっ』という気分だけど、そういうもの。

 そして、鉄板で出される場合は、ゆっくりと切り分けて時間経過で少しだけ冷まして食べるので、結局は熱々を食べることは早々ない。


「はふっ、んっ、はふっ…………んまい」


 ウィルがハフハフと息を吐きながらあんかけカニチャーハンをもりもりと食べていく。いつもの二倍盛りくらいにされていたのに、吸い込まれるようにして消えていった。


 お義父さんはそんなウィルを横目に、ゆっくりと上品にハフハフなりつつも食べていた。


「カニの甘みがとても優しいね。それにこのあんかけというものは、とても口当たりがいい。凄く美味しいよ」

「ありがとうございます」


 料理長さんに作り方は教えているので、そのうちいろんなアレンジをしてくれるんじゃないかなーなんて、しれっと無茶振りをしておいた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 発売中! ◇◆◇


魔王様の餌付けに成功しました ~魔界の定食屋で悪役令嬢が魔族の胃袋を掴みます~
書籍表紙


表紙&挿絵は『犬月煙』先生っ!
もうねもうね、表紙の2人もだけど、フォン・ダン・ショコラがめちゃくちゃかわいいの! 見てほしいっ。

※書籍化に伴い、タイトル・内容・キャラクターなど、大きく変更しております。

♣ ネトコン12受賞 ♣
双葉社Mノベルスf様より、紙&電子で発売です。
笛路初の紙の本んんんんっ!ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


▷▶▷ 双葉社

▷▶▷ amazon

▷▶▷ 紀伊國屋書店

▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ