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49:みんなで……

 



 みんなで巻き巻きしおえて、ちょっとどころではない山盛りの生春巻きたち。

 ある程度の具材ごとにお皿を分けているので、食べ比べとかしたいよね。


 タレは、手作りのスイートチリソースと、それにマヨネーズを混ぜたもの、マヨのみ、マヨとケチャップを混ぜたオーロラソースも用意した。

 オーロラソースとかは子供のころ付けてたから、もしフォン・ダン・ショコラたちが起きてきて食べるなら……と思って作っておいた。


 そんなことを考えていたからなんだろうね、どうやら顔がしょんぼりとしていたらしい。ウィルが顔をのぞき込むようにして「どうした?」と聞いてきたから。


「ちょっとフォン・ダン・ショコラのことが心配になっちゃって……」

「見に行くか?」

「え、いいの?」

「ん」


 侍女さんが部屋に待機してくれているから、起きたら呼んでくれると言われていた。だから、頻繁に見に行って三人が眠るのを邪魔したり、侍女さんのお仕事を邪魔をしたらいけないかなぁと思っていた。ウィルがいいって言うのなら、ちょっと様子見にいこうかな?




 出来上がった生春巻きたちを貯蔵庫に入れてもらい、三人の部屋に向かった。

 いつの間にかちょっと小走りになってしまっていて、ウィルに危ないから落ち着けと後ろから頭を軽く小突かれてしまった。


「ほら」

 

 ウィルに手を差し出された。そこに手を重ねると、ウィルの体温が分け与えられたような感覚になり、なんとなくソワソワとしていた気持ちが落ち着いた。


「ったく。料理に集中していたかと思えば、今度はアイツらの心配で焦って。お前は忙しいな」

「ごめん……」


 心配なのは心配だったのよ、ずっと。でも、私が慌てるとフォンやショコラにそれが移っちゃう気がして。

 それに、ちゃんと目覚めるからって言われてたから、心配しすぎても疑っているみたいで悪いなってのもあった。


「いつもは悪役令嬢だとか言ってガンガン好き勝手するくせに、こういうときはしおらしいんだな」


 ウィルがクスクスと笑いながら、繋いでいない方の手で頬を撫でてきた。褒められてるのか微妙だけど、まぁいっか。

 もっと撫でてくれていいのよと言うと、いつもは苦笑いするくせに、今日は柔らかく笑って撫で続けてくれた。こういうところ、凄くいい男なのよね、ウィルって。


 フォン・ダン・ショコラたちの部屋に入ると、ケルベロス型の三人がベッドの上で丸くなって寝ていた。いつものようにプスプスと変な寝息を立てている。


「まだ起きそうにない?」

「いや、わりと回復しているから、夜には起きるだろうな」

「そっか」


 フォン・ダン・ショコラたちと一緒に生春巻き食べれたら……って思ってたけど無理そう。仕方ないもんなぁ、と諦めようとしていたときだった。ウィルが、生春巻きは夜にみんなで食べようと言い出した。


「え、でも……」

「皆で食べたいんだろ? 夜には起こしても大丈夫だ。昼はなんか別のを食べる」

「っ……うん。ありがと」


 ほんと、こういうときのウィルは格好良すぎてつらいまである。

 手をぎゅっと握りしめて寄りかかると、また頭を撫でてくれた。




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