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47:ウゴウゴする角

 



 部屋に戻り、仰向けで眠っているウィルをユサユサと揺らして起こしていて気付いたけど、後ろに伸びているはずの角の先が、頭頂部の方向に伸びている。え? どういうこと? と思ってツンツンしているとウィルがパチリと目を開いた。


「どうした?」

「あ、蟹の脚ちょうだい」

「ん……ここで出すと臭いぞ?」

「おっふぅ、なしなし!」


 流石に部屋にどーんと巨大蟹の脚が出てくるのは不味い。そもそもでっかいし、重いし、匂いもある。何も考えていなかった。あ、だからメイドさんや料理長が無理って顔をしたのか。気づかなくて申し訳ない。

 結局、蟹の脚は厨房で出してもらうことになった。


 ウィルがムクリと起き上がると、角の先がスッと動き、いつもように後ろ向きになった。


「はいぃぃ?」


 それ動くの!? とびっくりしていると、ウィルに今まで気付いていなかったのかと逆に驚かれてしまった。どうやらいつも魔法で少し動かしてから眠っていたらしい。

 消せば早いんじゃないかと聞くと、消すとバランスが取れないとか言われた。


「ばらん……す?」

「なにか言いたげだな? 顔が笑ってるぞ」

「いや別に…………ブフッ」


 ちょっと空気が漏れ出た。バランスって! 角で平衡感覚がずれるの!? 角消したら、実はちょっとフラフラになってたの? でも寝てる時は関係ない気がするけど、生まれたときからあるものだから、ないと変な感覚になるんだろうなぁ。


「そう言えば、敏感だって言ってたわね」

「……なんだこの手は」


 そぉーっと手を伸ばしてウィルの角を触ろうとしたら、パシッと掴まれてしまった。物凄く睨まれてるけど、こういうときのルヴィちゃんは無敵なのだよ。

 うねうねとタコのように動いてウィルの手から抜け出したら、ウィルに脳天チョップされてしまった。


「ふっ。お前はいつもアホだな。厨房に戻らなくていいのか?」

「戻るってか、ウィルも行くわよ!」

「んっ」


 ウィルの手を引きながら厨房に戻ると、料理長やメイドさんたちがびっくりしていた。ごめんねーと軽く謝りつつウィルに蟹の脚を出してもらった。


「これがカルキノスの脚ですが…………大きい」


 分かるよ、分かる。料理長さんが引くの、分かる。だって、私の腰くらい太いからね! カルキノスとの出会いは割愛するとして、ほんとでかい。あと、美味しい。大きいものは大味とか言われがちだけど、この蟹は本当に美味しいので、ここぞという時に使いたい食材だ。


「で、なにを作るんだ?」

「生春巻き!」

「なま? 食えないだろ」


 ふふふふっ。ウィルの反応からして、やはり知らないんだろう。やったねという気持ちと、そういう反応ってことはライスペーパーは魔国にない可能性も出てきた。

 買い込んで帰らないとっ!




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