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43:治療は終わったけど……?

 



 青い顔で寝込むダンの腕に向かって、ウィルが魔力放出を始めたのが見えた。


 ――――え!?


 真紅のオーロラにグリッターを混ぜたような、透き通っていてキラキラとしたものが、ダンの腕を包んで染み込んでいく。

 なんで見えてるんだろう? 多分あれってウィルの魔力よね? もしかして、私もだんだんと魔人化が進んでるのかもしれない。


「肋骨もだったな」


 腕の治療は直ぐに終わった。でも、ダンの顔色はまだ悪いまま。

 今度はダンの胸に手を当てて魔力放出を始めたウィルだったけど、明らかに顔色が悪い。ウィルが額には汗をかいて、つらそうな顔をすることなんて、見たこともなかった。


「う、ウィル、大丈夫?」

「大丈夫だ。治る」

「違う違う! ウィルが!」

「……ん。魔力消費が激しいだけだ。回復するからいい…………」


 そう言うと、更に魔力を使い治療をしているようだった。私には見守るしか出来なくて、何も出来ないことが少し悔しい。

 できることといえば、ウィルの魔力回復を手伝うことくらいだ。でも、料理はストックにいっぱい入れてるはずだから、それを食べれば済む。


「っ、ふぅ。終わった」


 青白い顔になったウィルが、ふらりと倒れかけたので慌てて寄り添うと、小さな声でお礼を言われた。

 ベッドに眠ったままのダンは穏やかな表情になっている。


「他人の魔力が大量に流し込まれたから、今日明日は眠り続けるだろうが、命に別状はない」


 怪我は治ったから、ケルベロス型に戻ってもいいが、そうするとフォンとショコラも一緒に眠り続けることにはなるのだとか。ただ、人型のままだと、明日のお昼くらいには魔力が尽きるから、どのみちケルベロス型には戻らないと大変なことになると説明していた。

 そこのシステムがよくわかってないけど、大変なことになると言うからには、大変なんだろう。

 後で聞こう。


「「いっしょに、ねる」」

「ん」


 フォンとショコラは迷わずにダンと一緒にいることを決めた。いい子たちだ。頭を撫でていると二人がぎゅっと抱きついて来た。

 

「「ごめんなさい」」

「二人はケガしてないわね? 起きたら、ダンにいっぱいお礼言いなさいね?」

「「うん」」


 二人の頭を再度撫でて、おやすみと伝えた。二人は頷いてダンに寄り添うと、人型を解いてケルベロス型になって眠りに就いた。




 ふらふらになったウィルを支えて、部屋に戻った。

 何か作るか聞いたけど、ストックを食べるから良いと言われてしまった。

 やっぱり私はなにも出来ないんだなと思っていると、ウィルが私にも食事をするようにと言ってきた。いろいろありすぎてあんまりお腹が減ってないのにな。


「食べたら寝るから、ルヴィも食べておけ」


 ――――ん? あっ!


 この感じは私も一緒に寝るのか。だからご飯食べとけってことか!




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