40:やきもちと、本当の気持ち
給料問題はいいとして、妖精さんを連れて帰ったりとかは、やっぱりなしでお願いしたい。なので、全力でウィルの意見に賛成しておいた。
フォン・ダン・ショコラたちはしょんぼりしつつも納得してくれたようでホッ。
ショコラが自分たちが大きくなって、ちゃんとお世話できるようになったらいいのかと聞いてきた。さすがにそこまでなんやかんやは言いたくない。なので、そのときは全力で手伝うよ、と頭を撫でながら伝えると、ショコラが少し鼻をすすりつつ抱きついてきた。
「チッ」
甘えん坊なショコラを見て舌打ちするウィルは、誰よりも子どもっぽかったけど、まぁまぁ可愛いのでよしとしよう。
「しょこら、はやくおおきくなるね」
「うんうん。そのままでいておくれ」
「むーっ! おおきくなるのっ!」
上を向いて頬を膨らませたショコラ。頬をツンツンしつつ、そのままの優しい心で大きくなってほしいものだと願う。
湖で興奮したりと疲れたらしく、フォン・ダン・ショコラたちは、この日はかなり早めに部屋に戻って眠った。
三日目の朝、私とウィルは買い出しに出かけることに。フォン・ダン・ショコラたちはまた湖に行きたいとのことで、いろいろと約束をして三人だけでのお出かけを許可。
魔国内では、三人だけでお出かけしたりしているけれど、知らない場所だしなぁと不安に思っていたものの、何かあってもそもそも私より強いし、迷子になっても匂いでたどり着けると言われ、そりゃそうかとなった。
「大丈夫かなぁ」
ウィルと町中を歩きつつ、小さい子どもを見るたびに三人の心配をしていたら、ウィルが腰をグッと抱き寄せてきた。
「今いるのは誰とだ?」
「ウィルだね」
「ん」
ウィルをじっと見つめたら、フォン・ダン・ショコラたちにやきもちを妬いたのがちょっと恥ずかしかったのか、耳が赤かった。
ウィルの手を取り指を絡めて、ちょっとだけ寄りかかって歩く。
「ごめんね」
「いや。ルヴィのそういうところは好きなんだがな……」
「だけど、が続くんだよね?」
少し見上げてそう聞くと、眉間に皺を寄せられた。
「子どもが出来たら…………と考えていた」
なるほど。ウィルって結構淋しがり屋さんなのかもしれない。そういえば、まだ付き合うとかなんとかなる前も、勝手に家に来てくつろいでいたし、私が場所移動するとついてきていたっけ。
大型犬みたいで可愛いんだよね。
「子どもかぁ。ウィルはほしいの?」
「………………わからん」
しばらく考えていたけれど、なんとなく話を逸らしたような雰囲気で答えられてしまった。
本当のところはどうなんだろう。前々から、ちょっと気になっていたのよね。
いつか、聞けるといいな。





