31:息子と父の会話(妄想です)
もうちょっとだけセイレーンを見ていたいというフォン・ダン・ショコラに付き合って、砂浜に座ってぼーっと海を眺めていた。
セイレーンっていうかペンギンよね? という言葉を飲み込み、話題は今日のお昼に作るものに。
「お義父さんの好き嫌いとか分かる?」
「しらん」
予想はしていた。まぁ、父と息子なんてそんなものかもしれない。母と娘だと、友だちみたいな関係になりやすいんだろうけど。
ウィルとお義父さんは普段どんなことを話すのだろうか。そもそも、ウィルってそんなにしゃべらない。もしや父息子を同室に放置したら、ずっと無言で過ごすんじゃなかろうかという疑問が湧いてきた。
「転移してどっか行くだろ」
「なしなし! そーゆーのなーし!」
ウィルが低音で「はぁ?」とぼやいたがスルーする。
「貴方とお父さんは、六時間経たないと出られない部屋に閉じ込められました」
「……何でだよ」
「はい、そこで父子の会話を想像して!」
「話を聞けよ……」
ウィルこそ話を聞いてよねっ! ってことで、父子が会話しそうな内容を話せと強要してみた。
「はぁ……お前は本当に人の話を聞かないな」
そう文句をたらたらしながらも、まじめに考えてくれているようだった。
「魔法は駄目なんだろ?」
「だめーっ」
「ん。そうだな――――」
まず、閉じ込められて魔法干渉が出来ない場合、無理矢理破壊を試みるよりも、制限時間を待つほうが得策だろうという結果はお互いで出すそう。
まさかそこの設定から考察してるの!? ツッコミを入れたいがグッと我慢。
なかなか二人きりになることはないので、魔界内の情報と、気になる地域や種族ことについて確認したり報告したりするそう。
真面目か! と言いたいが、これもグッと我慢。
「世間話とかそういうのは!?」
「しないだろ」
バッサリだった。だがしかし、時間はまだ四時間くらいは残っているはずだ。仕事の会話なんてそんなに長く続かないでしょうよ。
主観によるけど、私はそう思う。
「残りの四時間、なにするのよっ!」
「四時間もあるのか……」
ウィルがフムと唸りながら、顎に手を置いた。考えているようなので、ジッと答えを待つ。
「まず、親父が延々と話しかけてくるだろうな」
確かにそれはありそう。
「そして俺は、相づちのみだろうな。話半分くらい聞いて、ストレージの整理をする」
「……あー。やりそう」
それはなんとなく分かるのよね。ウィルって、たまに一時停止してるときがある。無表情なのはわりと通常スペックなので横に置くとして、無反応だから目を開けて寝てるのかと思ったら「すまん、ストレージの整理をしていた」とかの返事が時差で返ってくる時がある。
あれ、立て札をするか、首にプラカードみたいなの下げてて欲しいのよね。
「作ってあげるわよ『只今、ストレージの整理中』っての」
「アホだろ」
首からプラカードを掛けて、一時停止中の魔王。めちゃくちゃ面白いと思うんだけどなぁ?





