30:セイレーンの群れ……?
「るゔぃちゃん、おきておきて!」
ショコラにユサユサと揺らされた。めちゃくちゃ眠いんだけど、今何時よ?
窓の外を見る限り、朝日が出るか出ないかみたいな時間だった。
そして、何ごとかと思えば、海を見に行きたいとのことだった。
「ふぁぁぁっふ。まだ暗いし、泳げないわよ」
二度寝を決め込もうとしたのに、またもやユサユサ。しかも、フォンとダンまでいつの間にか部屋にいてユサユサに参加してきた。
「んもぉ、なによー」
「うみすごいって、みにいきたいの!」
ショコラの言語能力と寝起きで働かない自分の脳みそに限界を感じていたら、ウィルがどえらく低い声で「あぁ、あれか」だけ呟いた。
あれってなんだ。教えろよ、と脇腹をドシュドシュとチョップしていたら、アイアンクローをされた。
「日の出とともにセイレーンの大群が泳ぐんだよ」
「セイレーン? 鳥じゃないの?」
なんか上半身女の人で、下半身が鳥だった海の魔物的ななにかだった記憶があるんだけど。
「鳥ではないな。セイレーンだな」
だからそのセイレーンはどのセイレーンなのよ。ということで、大急ぎで着替えて海に行くことにした。流石に今から歩くと間に合わないらしく、ウィルに転移で連れて行ってもらうことに。
「ほら、掴まれ」
「「はーい」」
出る前に寒いだろうからとウィルが厚手の肩掛けを渡してくれたけど、正解だった。夏とはいえ、流石に朝方の海風は寒すぎた。
「きゃーっ!」
「すげぇ」
「すごいね、きれー」
三者三様で目を輝かせて見ているのは、海面からトビウオのように飛び出して泳ぐ、黄色いペンギンっぽいなにかだった。
目の前に広がる朝方の海は、昇る太陽の日差しを受け青や銀に輝いていて、肌寒さとも相まって荘厳さを感じさせるほどに美しかった。が、ペンギン。いや、ペンギンっぽいなにか。顔が妙に人間臭く、イケメン感があるのだ。
ちょっと遠くから見てそう思うのだから、たぶん近くに来たら…………気持ち悪そう。
「声に出てるぞ。まぁ、近づかれたらそこそこ気持ち悪い顔してるが」
「やっぱり! 人懐っこいとかないよね!?」
「警戒心が強いから近付いてこない」
どうやら、朝方に海で餌を食べるときが唯一見られるチャンスなのだとか。そのときだけは警戒心よりも食事優先になるから、とのことだった。
それを聞いてホッとしていたのだけれど、フォン・ダン・ショコラたちはちょこっとだけしょんぼりしていた。
え? もしかして撫でたりしたかった系なの? でもウィルでさえ気持ち悪いって言ってるよ? いや、まぁ、動物を愛でる心は大切にしてほしいけど。フォン・ダン・ショコラもどちらかといえば動物には分類されると思うんだけど…………と、色々気になって、あまり感動には浸れなかった。
「腹減った」
「そうね。そろそろ戻ろうかしらね」
「「えーっ」」
――――え、そんなに気に入ったの!?
下の方に、書籍化情報載せました!!!!!
表紙絵が最高だで☆
犬月煙先生まじで最高だで!
公開可能になったら画像も載せます←
ってことで、リニューアルした魔王もよろしくですm(_ _)m





