表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/154

12:ケルベロスとは。

 



 ――――前世かぁ。


 スーパーの店員、だった気がする。

 ハッキリとは覚えてないけれど、発注したり、品出ししたりして店内を走り回って、お昼は手作りのお弁当を食べて。

 夜ご飯には何を食べるか、ネットで好みのコミックを発掘するのが楽しみ。


「彼氏、いたっけ?」

「「わふぅ?」」

「……ミリも記憶がないわ」


 これは、いなかったな。確実にいなかったパターンだな。ちえっ。

 まぁ、いいけど。


 今生での目標は、『魔界の定食屋でウッハウハ!』

 程よい疲労とそこそこに余裕のある収入、美味しいご飯が食べられて、毎日楽しく生きること。

 貴族みたいな雁字搦めの生活なんて二度と嫌。


「フォン・ダン・ショコラ、毎日楽しく働こうね!」

「「わっふぅ!」」

「まぁ、フォン・ダン・ショコラは何もしてないけど」


 ケタケタ笑いつつそう言うと、三頭ともガーンといった顔をして、ぺしょりと横座りになった。

 そういえば、前世で横座りするフレンチブルドッグをネットで良く見てたなぁ。可愛かったなぁ。

 ケルベロスは……まあまあ可愛いかなぁ。

 

「ねえ、それぞれ思考は別なのに、身体はひとつじゃない? フォンが右に行きたくて、ショコラは左に行きたい場合、どうしてるの?」

「「わふぅ?」」


 三頭ともに首を傾げられた。

 前世ではペットと明確な意思疎通が出来ないのは当たり前だった。この世界では魔族は魔力を使って意思疎通が出来るのが当たり前。


「いいなぁ、魔法とか魔力。使ってみたいなぁ」

「「わふぅー!」」


 なにかやる気に満ち溢れている感じの吠え方をされたけど、ケルベロスって魔法使えるのかな?

 明日誰かに聞いてみよ。覚えてたら。


「「わっふわっふぅぅ!」」

「もぉ、何話してるかわかんないんだってば! 明日ね、明日!」

「「わふぅ……」」


 なぜかしょんぼりされた。




「――――へぇ! 魔法を使える子もいるんですね!」

「あぁ、ただ、まぁ…………ケルベロスは、なぁ?」

「いやまぁ、ケルベロスはなぁ?」


 土木作業員っぽいおじさん二人が、唐揚げをもりもりと食べつつ、顔を見合わせて苦笑い。何なの?


「いやぁ……ケルベロスは毒吐くからなぁ」

「はぁっ!?」


 ――――毒っ!? 毒を吐くの!?


 定食屋にいるペットが、毒持ち。

 え? それって大丈夫なのって聞いたら、更に苦笑いされた。そこそこに微妙な気持ちらしい。


「だけどまだ小さいから、セーフかなぁ?」

「そういう判断基準!?」


 仔ケルベロスの場合、まだ致死毒ではないから、らしい。


 魔族の常識②仔ケルベロスの毒は、致死毒ではない。


「その常識、いるの?」

「いるだろ!」

「いるいる!」


 他にも二人のお客さんがいたけれど、全員が基礎知識だと言いはった。本当かなぁ?




ではまた、夕方に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 発売中! ◇◆◇


魔王様の餌付けに成功しました ~魔界の定食屋で悪役令嬢が魔族の胃袋を掴みます~
書籍表紙


表紙&挿絵は『犬月煙』先生っ!
もうねもうね、表紙の2人もだけど、フォン・ダン・ショコラがめちゃくちゃかわいいの! 見てほしいっ。

※書籍化に伴い、タイトル・内容・キャラクターなど、大きく変更しております。

♣ ネトコン12受賞 ♣
双葉社Mノベルスf様より、紙&電子で発売です。
笛路初の紙の本んんんんっ!ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


▷▶▷ 双葉社

▷▶▷ amazon

▷▶▷ 紀伊國屋書店

▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ