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27:仲良し親子

 



 お義父さんの言う通り、メインにめちゃくちゃ肉厚なステーキが来た。

 フォークで固定し、ナイフで切ろうとした瞬間、ナイフにそこまで力を入れていなかったのにスッと通ってしまった。


「うぁ……めちゃくちゃいいお肉だ……」


 高級なお肉があまりにも久しぶりだったため、口から漏れ出ていた。お義父さんが大笑いしながらおかわりも用意できるよと言ってくれたけど、いやこの肉ワンバウンドステーキみたいな圧力があるんですけど!? となった。

 ゆっくりと堪能して、食べ切れなかったらウィルの口に突っ込もうかと考えていたくらいなのだ。


「ふぉぉぉぉ、おにく、すごい」

「でっけぇ! オレ、ひとりでぜんぶたべるぞ!」


 フォン・ダン・ショコラたちにも私とあまり変わらないくらいのステーキが来ていた。三人はたぶん食べられるとは思うけど、パンパンにはなりそう。

 お義父さんは私たちの倍で、ウィルは三倍のお肉がお皿にのっていた。

 え、それ食べ切れるの? と思っていたけど、シュルシュルと消えていくのだ。あまりにも早く消えるので、ストレージにでも入れているんじゃと疑うくらいに。


「入れねぇよ…………ガキじゃあるまいし」

「そのガキのころは入れて……いひゃいいひゃい!」


 またもや鼻ギュムムムの刑をされた。まぁ、私が悪いので素直に謝っておこう。


「イジって、めんご!」

「軽い」

「あはははは! 我が義娘は、息子を上手に転がしているようで安心したよ」


 なぜ今の会話でそう思ったよ。ウィルもなぜ神妙な顔で頷くよ。明らかにシバかれてたの私じゃんよ。そう文句を言っていると、お義父さんが種族の問題かなと苦笑いした。


 魔族は相手の魔力や波動が読めるから、どうしても力での序列が出来やすいらしい。

 波動は何回聞いても意味がわからない。簡単に言うと体から『私こんな感じのヤツです!』っていうオーラのようなものを出しているのだとか。そんなもん出すな、チャック閉めろと言いたいけど、すべての生き物から出ていると言われれば受け入れるしかない。


「魔王という役職と、圧倒的な魔力はね、やはり数歩距離を置かれてしまうものなんだよ」


 なるほど。でも、ウィルってよくラブレターもらったりしてるし、定食屋でご飯食べてても皆スルーしている。そこまで傅かれてもいない気がするんだけど。

 

「ウィルフレッドはよく視察に出ているからね。距離の近い魔王を目指しているんだろう?」

「…………まぁな」

「へぇ! なんで!?」


 そういうの聞いたことなかったなと、ウィルに話を促したけれどまた鼻ギュムムムされた。

 

「そのうち、気が向いたらな」

「ふふっ。ミネルヴァちゃん、二人きりのときにでも聞くといいよ。私の前では恥ずかしいんだよ」

「チッ…………親父のそういう所が、本当に嫌いだ」

「あはははははは!」


 ウィルの嫌いだという言葉に、お義父さんは本気で楽しそうに笑っていた。当初はあまり仲良くないのかもと思ったけど、かなり仲良しなんじゃないの!?




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