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22:深紅の指輪

 



 ピスピスと眠るフォン・ダン・ショコラを抱いたお義父さんが、前脚にはめていた深紅の指輪を撫でて、懐かしいねと呟いた。


「懐かしい?」

「私ね、魔力はそこそこあるんだけど、変化系が苦手でね」

「苦手というか出来ないだろ」

「あはは! たしかに! 苦手はウィルフレッドか!」

「うるせぇ」

 

 ――――え!?


 なんか聞き逃したら駄目な言葉が聞こえた。だけどそれに突っ込むのは今じゃないから、後で聞こう。後で!

 

「その指輪って、元々お義父さんのだったんですか?」

「そうなんだよ。角があると妻が凶暴化することが多かったから、宝物殿ひっくり返す勢いで探し出したんだ」


 お義父さんは時々指輪を使って角を消して、お義母さんとの触れ合える時間を作っていたらしい。

 ただ、以前は褒めていてくれたものを消すことや、魔力をそこで大量消費した時に、魔界を護る障壁を維持させられるかが不安だったから、あまり頻繁に使えなかったらしい。


 障壁とはなんぞやと思っていたら、魔獣が人間界に出て行かないために張り巡らせた網のようなものなのだとか。


「え、ウィルもしてるの?」

「ん? 今はしてない。ヨルゲンに作らせた」


 あっ、もしやヒヨルドがおじいちゃんを探して何か頼もうとしては断られてたやつって……と思いウィルに確認するとニヤリとされた。


「ヨルゲン! 懐かしいなぁ。彼は元気にしてるかい?」

「はい、毎日食べに来てくれてますよ」

「毎日……いいなぁ。義娘の手料理かぁ」


 唇を尖らせてジッと見てくるので、たぶん食べたいんだろうなとは思った。だけどウィルが間髪入れずに「休暇中」と断ったので、明日のお昼はどうかという折半案を出した。

 買った食材で試したいこともあるし。


「やったー! 約束だよ?」


 無邪気に喜ぶお義父さんは、髪や目の色以外はウィルとは違うんだけど、食べ物に顔をキラキラさせるところは、どことなくウィルに似ている。あぁ、親子なんだなと微笑ましくなった。


「あっ! そういえば、さっきウィルがフォンの腕輪を外したでしょ?」

「ん?」

「一人が外したらケルベロスに戻るってことは、三人が一緒にいない時はどうなるの? まさか首が……」


 最悪の事態を考えていたら、ウィルがぶくくくくと吹き出したので、ちょいイラッとしていたら、お義父さんがウィルでもそんなふうに笑うのかと驚いていた。

 ウィル、笑いの沸点は低い方だと思う。ただ、平静を装ってるだけで。


「改造してるから大丈夫だ」

「改造って……え? どう……」


 ウィルいわく、まず対象物に近付いたらサイズが適宜変化するようになっているのは元々の機能で、そこに分裂するような設定を組み込んだ。そして、分裂時は一定の距離があると外せない仕様にしたのだとか。


 以前に国宝級とか聞いた気がするけど、お義父さんの反応は「改造したの? 凄いねー」だったので、スルーでいいはず。

 

「その一定距離の設定をしてなかった場合は?」

「知らん」

「ですよねー」


 ウィルとお義父さんいわく、たぶんメインはフォンだから、別の所にいるダンやショコラが消えてケルベロス型になるんじゃないか、ということだった。

 魔法や魔具、魔力ってほんと意味わかんない。




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