表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/169

21:ピスピス、ダラダラ。

 



 海に入ったあとなので体が塩水でカピカピするんだけど、そこは同伴者が魔力が有り余っている魔王ということで、全力で頼る。

 体に清浄魔法とかいうのをかけてもらい、着替えまでもやってもらった。めちゃくちゃ楽ちんでありがたい。


 お屋敷に戻る道中、ショコラが気にしていたデザート系のものを買ってから帰ることにした。

 何百層にも重ねたパイ生地の断面のような見た目のもので、中にはいろんな味のクリームが入っているそう。チョコレートとベリー系とオレンジを買った。

 

「あっ! これって……」


 丸いふわふわのスポンジのような生地に切れ目を入れ、そこにたっぷりのクリームを挟んだ、マリ……マリオリオ……違うな。マリ……なんだっけ?


「マリトッツォだな」

「マリトッツォ! そうそう! それ!」


 めちゃくちゃ流行ってた記憶がある。初めて食べたときには、クリームの暴威に酔いしれたものだ。

 おしゃれ系のマリトッツォとかも流行りだしたけど、ここのは前世で一番最初に流行ったとてもシンプルなスポンジとクリームのみのやつ。

 結局、こういうのが一番美味しいのよね。


 ジェラート屋さんもあって、そこでもいろんな種類を買い込んだので、ウィルのストレージに入れてもらった。




「「ただいまぁ」」

「戻りました」


 執事さんに、お義父さんはリビングスペースで本を読んでいると聞き、挨拶に向かった。部屋はウィルと私、フォン・ダン・ショコラたちに分けていると言われた。いつの間にそんな指定をしていたんだと思ったが、ウィルのことだ、しれっと執事さんにでも伝えているのだろう。

 お義父さんと一緒に買ってきたおやつを食べて、満腹になったところでフォン・ダン・ショコラたちがうつらうつらと船を漕ぎだした。

 

「ふふっ。やっぱり疲れてたのね」

「ん。寝かせてくる」


 ウィルが三人を運ぶのが面倒だったのか、フォンの腕を取ってケルベロス型に戻した。そして首根っこを掴んで雑に運ぼうとしていたら、お義父さんがちょっと貸してくれと、指をワキワキさせながら両手を差し出してきた。


「咬まれても知らねぇぞ」

「えー、咬むのかい?」


 なぜ『咬む』で満面の笑みなんだ。そういう趣味か?

 お義父さんは嬉しそうにフォン・ダン・ショコラを受け取ると、ぎゅっと両腕で抱きしめていた。

 お義父さんの腕の中で、ガンガンに涎を垂らして眠っているけど、お義父さんの服高そうなんだよなぁ。何かあったら魔法で何とかしてください。弁償は出来ません!


 フォン・ダン・ショコラを抱きしめるお義父さんの顔は完全に父親で、きっとウィルの子育てもちゃんとやってきた人なんだろうなと思った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 発売中! ◇◆◇


魔王様の餌付けに成功しました ~魔界の定食屋で悪役令嬢が魔族の胃袋を掴みます~
書籍表紙


表紙&挿絵は『犬月煙』先生っ!
もうねもうね、表紙の2人もだけど、フォン・ダン・ショコラがめちゃくちゃかわいいの! 見てほしいっ。

※書籍化に伴い、タイトル・内容・キャラクターなど、大きく変更しております。

♣ ネトコン12受賞 ♣
双葉社Mノベルスf様より、紙&電子で発売です。
笛路初の紙の本んんんんっ!ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


▷▶▷ 双葉社

▷▶▷ amazon

▷▶▷ 紀伊國屋書店

▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ