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16:屋台で朝ご飯?

 



 兎にも角にも、まずは買食いだ! ということで、まだまだやっていた朝市を見て回る。


「シーサーペントの串焼きいかがー?」

「レヴィアタンのホイル焼き、出来立てがあるぞぉ!」

「ごしゅじん、たべたいぞ!」

「ボクもたべたい」

 

 ――――うん。


「しょこらもぉ!」

「……だよね」


 レヴィアタンは鮭だもんね、鮭。そう考えると、ホイル焼きは絶対に美味しいやつだ。

 シーサーペントは、どういうことだ。シーで、サーペントだから、ウミヘビってことよね。ヘビ、食べたこと……たぶんないはず。この世界にいると、知らぬ内に食べていた! とかは、ありそうだけど。


 私は鮭のホイル焼きとパンを頼むことにした。

 フォン・ダン・ショコラはシーサーペントの串焼きを二本ずつと、クラーケンの串焼きを一本ずつ。

 ウィルはなんかもりもりと頼んでいたので、横から少しもらおうかな。


 朝市と夜市では、各屋台の前にテーブルや椅子が置いてあり、そこで食べていいのだとか。ただし、料理は自分たちで運ぶシステム。これ、店員は屋台を離れなくていいこともあって人件費削減になっているんだろう。商品の値段も抑えやすいし、すごく効率がいいシステムだと思う。

 席に料理を運び、いただきます。


「ハフハフ……んっ、おいしぃ!」


 レヴィアタンこと鮭のホイル焼きは、身がぶ厚くホクホクとしていて、旨味がギュッと詰まっていた。付け合わせのキノコやジャガイモは、その旨味を吸って柔らかくなっていた。

 ただ、すっかり忘れていたけど、大きい。魔族って基本的に大盛り飯なのよね。

 レストランとかだと、ちょっと抑え気味の量なんだけど、屋台はやっぱり超大盛りだった。パンを頼んだら、こぶし大のものが四個も来るなんて、予想外よ。


「おいしぃぃぃ!」

「フォン・ダン・ショコラ、パンに挟んで食べても美味しいわよ」


 三人に一個ずつパンをあげた。食べて手伝っておくれ。


「ウィルのそれはなに?」

「魔貝のクラムチャウダー」

「魔の貝……ってなによ」

「ただデカいだけの貝だな」


 ウィルが言うとちょっと信じられないのはなぜだろうか。ほらとスプーンを差し出されたので、パクリ。

 弾力のある貝柱と、魚介の味がしっかりと溶け込んだクリーミーなスープは、唸るほどに美味しかった。


「貝、たくさん買って帰るわよ。クラムチャウダー、出したい」

「んはは。ん、ルヴィの味で食べたい」


 柔らかに微笑むウィルの破壊力といったら、えげつなかった。周囲にいた魔族の人たちや、屋台のおばちゃんが心臓を押さえて「キャーッ!」と盛大な声を漏らすほどには。


 ――――魔王、恐ろしや。




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