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Black Birds   作者: 本書章人
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一章 2話


「ほら、もう時間だぞ。さっさと移動の準備をしろ」


 三田村(みたむら)先生の行ったデモンストレーションに対する熱気が冷めやらぬうちに、チョークを戻した先生が手を叩いて生徒を()かした。


 生徒たちは周りにいるクラスメイトと小声で話しながらも、荷物の中から必要な物を取り出してから席を立って廊下へと出ていく。


「凄かったですね、さっきの。私初めて見ました」


 廊下から離れた席だったので、出口で他の生徒と詰まることを避けようとまだ座っていた和人かずとに、隣の眼鏡をかけた女子が話しかける。


 和人はまさか話しかけられるとは思っていなかったため、一瞬自分に話しかけてきたということが分からず、急いで返した返答は愛想(あいそ)のないものになってしまった。


「ああ」


 実は、和人はマナリングによる現象は何度(なんど)も見たことがあるので先程のデモンストレーションで特に思うことはないのだが、話しかけてきた女子生徒や周りの反応を見て、それに合わせたほうがいいと考え直す。


「あんなに自由に扱えるなら、普通の生活においてもいろいろと使えそうだな」


 和人は白々しさを覚えつつ、なるべく好意的に聞こえるような声を出す。なんとか棒読みにならずに言い切ると、女子生徒は柔らかな笑顔を浮かべながら応えてくれる。


「ふふ、そうですね」


 パッと見ではあまり目立たない雰囲気の女子だと思っていたが、笑うと印象が大きく変わるな、と和人は思った。


 花凛のような()はないが、この女子が笑うと周りに花が咲いたように朗らかな空気が漂う。


「日本が、そんな風になれば良いんですけどね」


 しかし、続く言葉はそんな雰囲気とは正反対の重いものだった。


「そうだな」


 自然と和人の返答の声も低いものになる。


 マナリング。その指輪サイズのもの一つ持っているだけで、いつでもどこでも、どんなサイズの凶器でも取り出せる。そして、それは鈍器や銃といったものに限らず、大型の爆弾や毒ガスのカプセルといった大量殺戮を行える危険物にも及ぶ。

 そんなものが一般人も保有できるように世に出てしまえば、社会は大規模テロの多発によって混沌の時代へとなってしまうだろう。


 別に今現在、それほどまでに多くの国民が反政府派となっているわけではない。しかし、()()には()以外の者も(はい)り込んでいる、ということだ。

 いつの時代も戦いにおいて情報は時に圧倒的戦力差をも(くつが)す要因となりうる。敵対する諸国の工作員が日本の内情の混乱を図って、テロを起こさせる(・・・・・)なんてことはありえそうな話だ。


「私達がそんなこと、終わりにしないとですね」


 和人と同じ思考の(みち)辿(たど)ったのか、女子からの返答も沈痛なものだった。


(そうか、そういえばこいつも兵士になるためにここに来ているんだよな)


 目前の女子の、兵士というにはそぐわない雰囲気に忘れていたがここにいるということは戦いに出るために来ている、ということを和人は思いだす。


 そして、クラスメイトとして名前を聞くべきだということも。


「ところで、君の名前は?」


 口に出すまで「君」か「あなた」で呼ぶか悩んでいたが、最終的には高校生らしい、と和人が感じた方が選ばれた。


 浩太に「お前」と最初から言っていた和人だったが、それは先に向こうから使ってきたからなのであって、(さき)ほど好意的に話したように別に普段から人に冷たい態度を取っているというわけではない。


「あ、私は千石優樹菜といいます。(せん)(いし)でセンゴク。優しいに、樹木の樹、野菜の菜でユキナです」


 相手の方も名前を聞いていなかったことに気付いてなかった。


 本当の事を言えば、和人は座席表を見たとき隣の席の名前として漢字ごと優樹菜の名前を覚えていたのだが、台詞をさえぎる事はせず最後まで聞いた。


「私のことは優樹菜でいいですよ、和人さん(・・・・)


 そしてどうやら、隣の席の名前を把握しておくぐらいは優樹菜もやっていたようだ。


 和人もそれが分かったから、相手に名前を言われても特に動揺することは無かった。


「もう要らないとは思うが名乗っておこうかな。名前は八神(やがみ)和人。俺のことも和人と呼び捨てで良い」


 最初から呼び捨てというのは高校生の男女としてはどうなのかと思ったが、そういった(友達としての)経験が乏しい和人は相手に従った。


「いえ、私はさん付けの方が落ち着くので」


 しかし優樹菜の方は自分はさん付けで呼ぶと言う。


(そういうものなのか?)


 和人にはよく分からなかったが、深く考えることはしなかった。


「なら良いが……」


 特に話すことも無くなり、扉付近の混雑も少なくなってきていたので移動しようかと思った矢先(やさき)、新しく声を掛けてきた者がいた。


「よっ、早速仲良くなったのか?」


 初めて声をかけてきた時のように軽い()りから話しかけてきたのは浩太こうただった。


「お前こそどうなんだ、浩太。新しく声をかけれていないのか?」


 近づいてきていた気配を感じていたので、和人はノータイムでそれに答える。


「いやー、やっぱダメだわ。声掛けようと思ってももう集団が出来ちゃってるもん。それにみんなエリートに見えてきちまってよー、声かけられねーわ」


「そうか?俺には特にお前と周りの見た目はあまり変わらないが……」


 和人は「見た目は」というところを強調した。


 しかし、浩太に気にしたような様子はなかった。


「それはただ単に、お前が自身に対して引け目を感じているだけじゃないか?」


「そんなもんかね。自分ではそんなこと思ってるつもりは無いんだけどなー」


 うーん、と浩太が唸っていると、横から声が上がる。


「コウタさんは一般校から来たんですか?」


 その声はまだ席から立ち上がっていなかった優樹菜のものだ。


 流石に席が3つ離れている浩太の名前は見ていなかったのだろう。和人の台詞だけで判断した浩太の名前のところは、少々自信なさげに発声していた。


「おう、普通の公立学校だぜ。ところで、お前は?」


 最初の声を掛けてきた台詞的には和人と優樹菜、両方に声を掛けていたように思えた。それにしては優樹菜に反応するのが遅くないか、と和人は思ったが口には出さない。


「あ、私は千石優樹菜と言います」


 優樹菜は浩太の「お前」呼びに対しても特に顔を変えることなく答える。


「オレは奈白(なじろ)浩太、コータでいいぜ」


「はい。よろしくお願いします、浩太さん」


 丁寧に答えた優樹菜の台詞の浩太の名前には、先程のような固さはもう無かった。


「話を戻しますけど、それって凄くないですか?普通の中学校からこの黒紡に入るなんて、それって名門校に通っていたことなんかより、よっぽと凄い事だと思います!」


「そ、そうか?」


 続く優樹菜の台詞に、浩太は満更でもない様子だ。


 ニヤニヤしている浩太を横目に、和人は席から立ち上がる。


「ほら、話が終わったなら早く行くぞ」


 既に大半の生徒は廊下に出ている。

 初日のこんなところで先生から目をつけられたくはない。


 和人は二人を連れて廊下に出た。




 入学式が行われる講堂には、教室などがある校舎から繋がる廊下があったため、生徒たちは靴を履き替えることなく講堂へと辿り着いた。


 A組の生徒は移動している間に話された先生の説明通り、二階まである広い講堂の中の指定された席に座っていく。一年生は全クラス一階に座ることになっていた。なお、二年生や三年生は一部以外の生徒は入学式に参加しない。


 席順は教室のものとは違い、一般的な五十音順だった。

 和人は、自分の名字である八神(やがみ)より五十音順が若い浩太と優樹菜が前に行くのを見届けながら、クラスの一番後ろの席列に座る。余談だが、立ち上がった優樹菜の身長は浩太とあまり変わらなかった。本人の談によれば160cmは超えているそうだ。


 和人の左隣、五十音順で若い方の席には黒髪の女子生徒が座っていた。和人の体が自然と強張(こわば)る。不自然にならないよう顔を背け、視界から外す。


 まさかトラウマを呼び起こした原因と五十音が隣同士だとは思っておらず、和人は軽く狼狽(うろた)えていた。


 急いで頭の中の座席表を見渡して必死に名前を思い出そうとするが、そもそも教室内での彼女の席を確認していなかったせいで、思い出すのは困難だった。


(「や」がみ)よりも五十音順が若いから、おそらくマ行のどこか、か……)


 座席表に書かれた名前を(いち)からすべて思い出すという荒業(あらわざ)をする和人に隣から声がかかる。


「やあ、初めまして」


 ただし、声を掛けてきたのは(くだん)の女子生徒ではなく、右隣に座った男子生徒だった。


「僕は渡辺(わたなべ)(そら)。君の名前は?」


 爽やかに話しかけてきた声の主は、和人より少し高い身長にスラリと伸びた長い手足。顔も日本人離れした甘いルックスで、男子にしては長い茶色の巻き毛の髪を(まと)めたその姿は、声と相まって見事に好青年というものを体現していた。

 クラスで見た他の生徒や移動中すれ違った生徒も、ちゃんと見てはいなかったが整った容姿(ようし)をしていた。浩太だって黙っていれば美青年とはいかずともそこそこな見目(みめ)をしている。


(なんだ?この学校には美男美女ばかりが集まるのか?)


 和人は心の中で溜め息を()く。


 和人は今まで自身の容姿に対してなにか思ったことはない。だが朝から絶対的美貌をもつ吾妻花凛や、それには及ばないものの美少女と言っても差し支えない優樹菜など、こうも立て続けに(すぐ)れた容姿を持つ人たちを見せつけられては、気にせずにいられる者はいないだろう。


「大丈夫かい?」


 返答することを忘れ黙ったままだった和人を心配し、宙がもう一度声を掛ける。


「あぁすまん。考え事をしていた」


「ははっ、『すまん』って。君は高校生らしくない面白い喋り方をするんだね」


「そ……」


「あ、でももちろん悪い意味じゃないからね。なんだかコウちゃんみたいだなぁ、って」


 立て板に水の勢いで喋る宙に、和人は口を開けたまま固まってしまう。


「おい宙! 相手が困ってるだろうが」


 そんな和人を見かねてか、宙の後ろから声が上がる。


 ドスが利いた声ではあったが、女子の声ということは分かる、そんな声だった。


「それにお前の席はこっちだろ!」


「ちょっ、コウちゃん髪はやめて。謝るから。ゴメンってばー」


 宙は後ろから現れた女子生徒に髪を掴まれ、引きずられるようにして一個隣の席へと連れて行かれる。


「すまないね、君。うちの宙が迷惑をかけた」


 宙に「コウちゃん」と呼ばれていた女子は、和人の隣の席に座るなりそう言った。


「私の名前は夜凪光(やなぎひかり)だ。本来は私が君の隣だったんだが……」


 光はそこまで言うと、後ろから首だけをこちらに伸ばしていた宙の首根っこをもう一度捕まえる。


「こいつが迷惑をかけたみたいだな」


「あっ、まって。コウちゃん、この姿勢はヤバイって」


 席に座っているうえに身長が低めの光にヘッドロックされ、隣の席に座った状態で上半身を(かたむ)けていた宙は窮屈な姿勢を余儀なくされる。


 和人は完全に、喋る隙を見失っていた。


「それに私の名前は(ひかり)だ。コウと呼ぶなと何度言えば分かるんだ」


「だからゴメンって、ちゃんと謝るからさ」


 宙は窮屈な姿勢から無理やり顔を上に向けて、懸命(けんめい)な視線を光に送る。


「それで、名前を聞いてもいいかな?」


 悲痛な声を上げる宙を無視して光が和人に名前を尋ねる。


「や、八神和人」


 目を(うる)ませながらこちらを見上げてくる宙に視線を合わせないようにしつつ、顔を引きつらせながら名乗る。


「そうか。これからよろしくお願いします。八神さん」


 光は宙の拘束を解かないまま丁寧に腰を折って挨拶する。


 ショートの髪型に囲われた顔は、眼力(めぢから)の強い切れ長の目と、しっかりとした眉が目立っていた。しかし、身長の低さと他の顔のパーツのせいで幼さは抜けていない。


「コウちゃん、もう限か……」


 光が体を傾けたせいで、一瞬首が大きく曲がった宙がSOSを送る。


「ん?」


 しかし、間違えて(・・・・)しまったようだ。


「ごめんってば、ひかり(・・・)ちゃん。首が、もう限界……」


 ここでようやく光が宙の頭を離す。


「謝るとしたらまず私じゃなく、八神さんにだ」


 宙は首に手を当てながら上半身を折って謝る。


「すみません、ヤガミさん」


「いや、別に気にしてないから、お前が頭を下げる必要はないよ」


 本当は少し(・・)気にしていたのだが、社交辞令的な要素も含めて謝罪にそう答える。無意識に「お前」と言ってしまったことには、この場では光しか気付いていなかった。


「ほら、やっぱり。カズトさんはこんな小さいこと気にしないって思ってましたよ」


 和人の台詞を聞き、途端に宙がぐいぐい距離を詰めてくる。いや、それは元からだったか。


 しかし、その間には小さくて大きな壁があった。


「お前はそうやってすぐに調子に乗る!」


 振り下ろされた小さなげんこつに、宙が今度は頭に手を当てる。


「コウちゃん、これはヒドイよぉ」


 再びのコウちゃん呼びに、光が三度(みたび)の制裁を加えることはなかった。


「はぁ。私はこいつの幼馴染でな。まあこんな奴だが、悪いやつではないんだ。仲良くしてくれたら嬉しい。もちろん、私も君と仲良くしたいと思っている」


 光と正面から目が合う。


 そこには芯の通った力強い(ひかり)が宿っていた。


 入学式が始まる頃には、和人の意識から黒髪の女子生徒の存在は消え去っていた。




『次に、校長先生からのお言葉です』


 入学式冒頭の挨拶などが終わった後、スピーカーで増幅された生徒の声により入学式が進行する。


 生徒の声を受け、壇上に初老の男性が上ってくる。


 髪の毛は真っ白に染まり後ろに撫で付けられていたが、立ち姿は刀のように(りん)として、肌にはハリもあった。


『まずは、入学おめでとう』


 時の積み重ねを感じる深みのある声がスピーカーを通じて講堂内に響く。


『諸君らには、設立当初より続いてきた本校の誇りを引き継いでいってもらいたい。なによりここは国を守る栄誉ある兵士を育てる教育機関。諸君らにはその自覚と矜持(きょうじ)をもって本校で暮らしてもらう』


 続く校長の言葉に、講堂全体に緊張した空気が漂いはじめ、生徒の顔がみな、引き締まったものへとかわる。


『しかし、君達とてまだ15歳、いろいろと悩むこともあるだろう。大学も含めたここ黒紡学校では、決して卒業先を軍だけに絞らせるようなことはしない。他の進学先も選べるよう、一般課程も含めた良質な学習を提供することを私が約束する。職員一同、全力で諸君らに協力させてもらおう』


 壇上に立っていない教師含め、全ての職員が示し合わせたように一斉にお辞儀する。


『未来多き若者である君たちがここで何を学び、何を成し遂げるのか。楽しみにさせてもらおう』


 校長は話を終えると、半歩下がってから腰を折ってお辞儀する。その動作も非常に矍鑠(かくしゃく)としたもので、もしも髪が黒ければ見た目だけで(よわい)は判別出来なかっただろう。

 和人の記憶が正しければ既に70歳を超えていたはずなのだが。


 校長先生が壇上から姿を消すと、再びの進行役の生徒の声が響く。


『続いて、生徒会長より新入生に向けた言葉を(いただ)いています。なお、生徒会長は現在出張のため、代わりに副会長の長谷川(はせがわ)さんに読んでいただきます』


(生徒会長が出張?)


 和人の頭の中に大きな疑問が生まれる。


 出張(・・)という単語に反応したわけではない。生徒会長(・・・・)が、この()イミング(・・・・)で出張ということに疑問を感じたのだ。

 普通の学校において生徒が出張するというのは違和感がある。しかし、特殊兵を育てるこの学校では二、三年生が大学や実際に軍の訓練場に行くことが多くあり、それを慣習的に出張と呼ぶということを和人は知っていた。


 恐らく、それについてはこの学校に()ようとした者は全員知っていることだ。そんなことすら調べずにこの学校を受けようとした豪胆な者は流石にいないだろう。


 舞台袖から、黒いポニーテールを揺らした女子生徒が歩いてくる。


『現在出張中の生徒会長、無量小路秋宗むりょうこうじあきむねに代わり、私、生徒会副会長の長谷川椿咲(つばき)が読ませていただきます』


 マイクがある机の前に立った椿咲が、自分の下の名前とともに生徒会長のフルネームを告げる。


 現生徒会会長、無量小路秋宗。二年前の新入生総代(そうだい)


 秋宗はその圧倒的カリスマにより、一年前の生徒会選挙で二位と十倍近い差をつけて着任した。一年生の頃から既にそのカリスマ性を発揮していたらしく、秋宗の同級生や今の二年生だけでなく、もう卒業した上級生にも多くのシンパがいるという話がある。


 無量小路。ムリョウコウジ。その珍しい名字を持つ者が同じクラスの中にもいたことを、和人は思い出した。


(確か、名前は無量小路冬美(ふゆみ)。妹だろうか)


 和人がそんなことを考えている間、椿咲は手に持っていた白い封筒から一枚の折りたたまれた紙を取り出し、読み上げる。


『入学おめでとう。直接君たちに言葉を伝えることができなくて、とても残念に思う。新しく入ってきてくれた君達とこれから一年同じ(まな)()で学べることを誇りに思うと同時に、あと一年で別れなければならないことが悔やまれる。しかし、この一年の間、三年生として、そして生徒会長として君達により良い学校生活を送ってもらえるよう、努力することを約束する。生徒会長、無量小路秋宗』


 読み終えた紙を封筒に戻してから「代読(だいどく)は副会長、長谷川が(つと)めさせていただきました」とだけ告げ、椿咲は再び舞台袖へと帰っていった。


 和人はネットの学校HPで見た秋宗の顔を思い出しながら、まだ続いている入学式を眺めていた。




 教室に戻り学生証が配られた後には、早速自己紹介が始まった。


 入学式は少し特殊だったが、生徒自身はほんの一ヶ月前まで普通に中学生だったのだ。自己紹介は他の普通の高校でも見られるような平和な光景だった。


 しかし、もちろんその中でも目立つものはいた。


 一人は言うまでもないが吾妻花凛。自己紹介の順番は右前から後ろに続いていくというものだったので、花凛は必然的にトップバッターだった。


 花凛の姿は朝にも見たはずなのに、自己紹介しようと立ち上がった花凛を見ると、思わずといった風に多くの者が息を呑んだ。


 次に自己紹介で目立った生徒は吾妻花凛の横に座っていた男子生徒だった。入学式では新入生総代を務め、金色の髪に、髪色と同じく日本人離れした顔立ちを持つその男子生徒の名前は氷室海翔(ひむろかいと)といった。

 自己紹介で本人の口から語られた情報によると、母親の家系がフィンランドの生まれだそうだ。


 そして海翔から横に一つ、後ろに二つ離れた席には例の黒髪の女子生徒が座っていた。

 立ち上がった瞬間、その顔を見た生徒が目を奪われる。


 花凛の顔がアイドル的可愛さのある顔というのなら、その顔は女優的な美しさのある顔だった。


 しかし、波乱が起きたのはその容貌(ようぼう)が原因というわけではなかった。


「無量小路冬美です。これからよろしくお願いします」


 短い自己紹介だった。


 しかし、教室内に起こったどよめきは長く続いた。


(そうか、(「む」)量小路だもんな。五十音順で俺の隣に来てもおかしくはない)


 入学式のタイミングで気付いてもおかしくないことだったが、主に右隣にいた二人のせいでその時は和人も気が回っていなかった。


 教室内のどよめきを終わらせたのは、次の順番の生徒でも教卓の席に座っている先生でも無く、冬美本人だった。


「皆さんのご想像通り私は生徒会長の、無量小路秋宗の妹です」


 さっきまで小声で話していた生徒も、その()んだ氷のように綺麗で、そして冷たい冬美の声に口を閉じるしかなかった。


(なにやら兄とは確執(かくしつ)があるようだな)


 名前を聞く限り他にも上に兄妹がいそうだ、とようやく冬美を直視できるようになった和人は考えた。


「さ、次の人の番だよ」


 冬美が席に着いたあと静まり返ってしまった教室だが、海翔のこの台詞によって再び時が動き出す。


 次に席からたった生徒は、冬美や花凛とは違った意味でとても目立っていた。


 まずはその体格。190cmはある身長に広い肩幅で、高校生とは思えない体付きだった。少し染められているフェードカットの短髪は、上の方へと天を突くように生えていた。髪や制服の着崩し方からして、あまり行儀の良い生徒ではないようだ。


 そしてその生徒から「堂島克己(どうじまかつき)」という名が告げられたときの衝撃も大きかった。


 堂島重工。

 国内きってのウォーギア開発が盛んな企業であり、日本の軍が使用しているギアの7割は堂島製と言われている。



 優樹菜と浩太、そして順番が最後だった和人の自己紹介は特に何事もなく終わり(和人の身長も克己の後なので目立たなかった)、ずっと席に座っていた三田村先生が席を立つ。


「自己紹介はこれで終わりでいいな。なら、寮に向かう前に説明しておきたいことがある」


 寮に向かうのだろうと思って席を立とうとしていた生徒が、先生の台詞に拍子抜けを食らう。


「これからの一年間、いやもしかすると高校三年間を過ぎて大学に行っても重要なことだ」


 先生が教卓の前に立ちながら言った台詞に、拍子抜けを食らった生徒も顔を引き締める。


「現在、軍では特殊兵の運用において主に小隊または分隊のみで編成し、少数規模の集まりで運用している。特殊兵の分隊はより通常の歩兵と同様に、基本的には四人から六人で編成されている。そのため実践的な学習のために、お前たちには今後共に戦うメンバーをクラスの中で組んでもらう」


 この言葉を聞いた和人は愕然とした。


(去年まではこんな事無かったよな?)


 いろいろと事前に調べていただけに、和人が受けた衝撃は他の生徒よりも大きかった。


「これは今年度より採用された制度だ。主に現生徒会長、秋宗の意見が採用された形だな。前から意見自体はあったらしいがな」


 何をやってくれたんだ、と和人は心の中で秋宗を(なじ)った。


 同じ出身校の者なんていやしない和人は組んだ手に額を押し付けながら、この後の対策を必死に考える。


(仲間を組むアテなんて、一人ぐらいしかいないぞ……)


「まあ、特に期限があるわけでもないし、寮に行って昼食を取った後にはしばらく自由時間がある。そこで見つければ良いだろう。寮に行くぞ」


 教室内でのアイコンタクトをしながら立ち上がる生徒たちを見ながら、和人は気が重くなっていた。




 本校舎から徒歩で10分とかからない位置に一年生寮はあった(黒紡では寮は学年によって分けられている)。道中で先生が説明した通り建物は新築で、汚れている様子は一切無かった。


 もちろん男子寮と女子寮は別々で、それぞれ塀に囲われた建物が、玄関側が向かい合うようにして立っていた。


 建っている位置が大きく離れているという訳では無いのは、おそらく今年度から採用された分隊制のせいだろう。軍で組む分隊も男女混成だろうし、既に組む約束をしている集まりにも男女で組んでいるものがあった。いざというときに、連絡しやすいように近くに建っているのだろう。


 余談だが、数十年前に比べて現在は()に志願する女性の割合は微量だが上昇している。しかし、軍全体で上がっているは言っても、そのほとんどの上昇率は、特殊兵に志願している人の影響だ。肉体的な強さでは男性より脆弱といえる女性だが、魔力ということに関しては男女の差は無い。

 一般でも魔力に関する検査が行えるようになった現代、女性の特殊兵の割合はどんどん上昇していて、実際に今年度黒紡に入学した生徒の四割が女子だった。


「ここからは男女に分かれてもらう。もちろん自分の性別と異なる寮に入れば罰則があるから注意しろ」


 言われるまでもない先生の注意を聞きつつ、生徒は続々と寮に入っていった。既にA組やB組は入っているようで、入口付近ではC組ではない生徒が固まっていた。


 寮棟の構造は、一階に食堂や大浴場といった共有設備があり、2階からは生徒の個室があるだけだ。


 和人は学生証に書かれた自分の部屋番号の前まで辿り着き、寮棟入り口で配られた鍵を使って中に入る。


 扉を開けると、土手を上がったすぐ隣に段ボールが四個ほど置かれていた。部屋の中には備え付けのベッドや机といった家具以外にも、簡単な調理ならできそうなキッチンもあった。軽く部屋を探索すると、壁の中に埋込式のクローゼットを発見する。わりと大きかったので、収納スペースにも困らなさそうだ。

 部屋の中で2つしかない扉の内の一つを開けると、そこにはトイレと洗面台があり、その隣にはシャワールームもあった。流石に湯船はなく、肩までゆっくりとお湯に浸かりたいなら大浴場に行かなければならないが、シャワールームなら大浴場と違って時間によって利用できないということはない。


 段ボールを開けて中の物を(あらた)めていると、天井に付いているスピーカーから女性の声が流れる。


『一年生のみなさんに連絡です。部屋に不備があった場合は、先程渡したプリントに不備があった箇所とその旨を書き、一階校務室へと持ってきてください。その(ほか)の生徒は同階、食堂へと移動してください』


 一通り荷物を確認し終わった和人は、学生証以外の荷物を置いて食堂へと向かった。




 食堂に着くと既に席に着いている者もいたが、大半がまだプレートを持って列に並んでいた。


 黒紡の食堂はバイキング形式で、生徒は自分で食べたい分だけ取っていって食べることができる。メニューは日替わりで、全て当日に調理師が手作りしたものだけが並んでいる。


(まったく、どこまでも金がかかっているな、ここは)


 プレートに肉料理とサラダ、最後に白米を載せながら和人は呆れ半分に苦笑する。


 片手にプレートを持ちながら水の入ったコップを片手に食堂を見渡す。

 お目当ての人物を見つけると、和人はその向かいの席にプレートを置いた。


「ん、おお。カズトじゃねーか」


 自分の前にかかった影に気付き、浩太がご飯を掻き込んでいた顔をあげる。 

 席に座った和人は箸に手を付けず、目の前の浩太に喋りかける。


「浩太。さっきの教室でされた先生の話だが、俺と組まないか?」


 和人の提案を聞いて、口の中で物を噛んでいた浩太が眉を動かす。


「なんだ、もう他のやつと組んでいたのか?」


 プレートに手を掛けて席から立とうとする和人を、口の中の物を慌てて飲み込みながら浩太が引き止める。


「待っ、ゴホゴホ……」


 まだ完全に飲み込みきれてなかった状態で喋ったからか、浩太が()き込む。


「分かったから落ち着けって」


 和人は自身の早とちりを理解し、席に座りなおす。


「はぁ、死ぬかと思った」


 和人から受け取った水で食べ物を流し込んだことで、浩太はようやく落ち着いてきたようだった。


 和人も今度こそちゃんと席に腰を据えて、浩太の話を最後まで聞く姿勢を見せる。


「実はオレもお前を誘おうと思ってたんだよ、カズト」


「じゃあなんで驚いたような顔したんだ?」


「それはまあ、お前の方から誘ってくるとは思わなかったからな。まさか、ってやつだよ」


 浩太の返答に和人は納得の頷きを返す。


 確かに和人自身も自分からアクティブに動くような人物ではない事を自認していた。


「俺だって自分から動くこともあるってことだ」


「ふーん。ま、よろしくな」


 浩太は相変わらず軽いノリでそう返す。


「でもよ、少なくともあと一人か二人くらいは見つけねーとな」


「ああ、そこが問題だな」


 食堂に座っている生徒の大半がもう何人かのグループで集まっていて、一人や二人で座っている生徒も、まだバイキングコーナーに並んでいる生徒を待っているように見えた。


「どうしたもんかね」


 浩太の声を聞きながら、和人もようやく箸に手を付けた。




 食事を終えて自室に戻ったあとは、荷解(にほど)きをしている間に時間が過ぎ去っていった。


 一通り満足したところで、再びスピーカーが鳴る。


『一年生は端末に指示された荷物を持って、校舎へと向かってください』


 和人は学生証と共に渡されたスマホ型の端末にかかれた荷物を、最初から持ってきていた手提げ鞄に詰めて部屋から出た。


 途中で浩太と合流しつつ男子寮の敷地の外に出ると、そこには見覚えのある顔がいた。


「あ、和人さんと浩太さん。一緒にいたんですね」


 男子寮の塀門の少し前で待っていた優樹菜が、声を上げながら笑顔で駆け寄ってくる。


「どうしたんだ、ユキナ」


 それに真っ先に答えたのは浩太だった。


「よかったー、見つかって」


 浩太の質問に答える前に、優樹菜がそう言って胸を撫で下ろす。


 男子寮の前で待つ、というのはやはり気恥ずかしいものがあったのだろう。


「あ、それでですね、和人さんと浩太さん」


 浩太はそう質問したものの、和人だけでなく浩太自身も優樹菜が何のために待っていたのかは想像できていた。


「一緒にチームを組みませんか?」


 予想した通りの答えが返ってきたことで、さっきまでの不安の種が一つ解消できたことに和人と浩太は少し安心していた。


「あっ、もしかして他にもうチーム組んだ人がいるんですか? でしたらすみませんでした。他の方を探します」


 安心して少しの間答えることをしなかった和人たちを見て、断ろうとしていると思った優樹菜が気落ちした顔で頭を下げる。


 先程は自身が犯してしまった早とちりを目の前で再現されて、和人は気恥ずかしさをおぼえる。


「いやいや、そんな事はない。俺達も丁度残りのメンバーを探していたところなんだ。そのお誘いは願ってもないことだ」


 食堂のときとは違い、今度は和人が引き止める役目を(にな)った。


 それを聞いて、優樹菜は花が(ほころ)ぶような笑顔を見せる。


「本当ですか。良かったぁ」


「おう、助かったぜ、ユキナ。あとは一人見つけるだけで四人だな」


 先生が言うには三人でも構わないということだったが、今後チーム同士で戦うということになった場合、頭数(あたまかず)がおおいに越したことはない。


 しかし、それについても優樹菜が解決策を提示してきた。


「あ、そのことについてなんですけど。私にチームを組もうって言ってくださってる人が一人居て……」


 なら話は早い、と和人は思ったが、優樹菜の歯切れの悪さが気になる。


「どうかしたのか、優樹菜」


「えっと、和人さんって、過去に冬美さんと何かあったんですか?」


 突然冬美の名前を聞いたことで和人は動揺する。


「実はその私を誘ってくれた人が冬美さんなんです」


 思ってもみなかった展開に、和人は思考をまとめれず黙ってしまう。 


「あの、やっぱり何かあったんでしょうか? 朝も冬美さんの姿を見て動揺していた様子でしたし」


(見られていたのか)


「もしもそうなら、この話は無かったことに。本当にすみません……」


 少し涙が浮かんだ目をしながら、優樹菜は消え入りそうな声で謝る。


「いや、別になんでも無い」


 優樹菜の勘違いを和人は慌てて訂正する。


「冬美って人と何かあったわけじゃない。ただ、思い出したくないことを思い出してしまっただけだ。直接関係あることではないし、朝みたいなことはもう無いから安心してくれ」


「良かったぁ」


 優樹菜の顔が盛大に緩む。


 ふやけたとも言うべきその笑顔には、朝から花凛やその他の類稀(たぐいまれ)な美貌を見てきた和人たちでも心を(ほだ)されてしまう魅力があった。


「これで冬美さんにもいい報告が出来そうです。あ、冬美さんがここに来ていないのは私が勝手に変な気を使ってしまっただけで、冬美さんは普段から礼儀正しい人ですよ」


 緊張の反動からか、優樹菜は立て続けに言葉を放つ。


「別に俺たちも気にしてない。だろ、浩太」


「ん? ああ、気にしてないぜ」


 今まで話について()れていなかった浩太が和人に同意を求められ、すこしの時間の(のち)に同意を示す。


「ちなみに、朝の俺はどんな感じだったんだ?」


 興味本位で優樹菜に尋ねる。


強張(こわば)った……失礼かもしれませんが、とても怯えた顔をしていました」


「そうか……。まあこの事は気にしないでくれ。朝のことも忘れてくれたらありがたい」


「は、はい。分かりました」


 含みのある和人の台詞に、優樹菜は緊張した面持(おももち)で答えた。


「冬美さんはこの少し先で待ってくれているはずです。いきましょうか」


 暗くなってしまった雰囲気を変えるため、優樹菜は(つと)めて明るい声でそう言った。


 優樹菜の言う通り、道をしばらく歩いていると黒髪の女子生徒が見える。


「冬美さん」


 優樹菜が声を掛けると、壁に背を預けて本を読んでいた冬美が顔を上げる。


「あら、優樹菜が言っていた二人って貴方(あなた)たちの事だったのね」


 冬美の第一声は、自己紹介の時より幾分(いくぶん)か暖かな声だった。


「これからよろしくお願いします。冬美さん」


 これを言ったのは和人。


 敬語とさん付け呼びに、浩太が笑いそうになっているのを和人は横目に捉えた。


「私のことは冬美と呼び捨てで構わないわ。その代わりと言うのはおかしいけれど、私も呼び捨てで呼ばせてもらうわね」


「ああ、俺もその方が助かる」


 それは敬語とさん付けは慣れていない和人にとってもありがたい提案だった。ほぼ悩むこともなく和人は即答する。


貴方(あなた)は?」


 冬美がまだ笑いを(こら)えていた浩太に訊く。


「オ、オレもそれでいいぜ」


 突然強い視線を受け、うぇっ、と表現しにくい声を出してから慌てて浩太は同意する。


「優樹菜も呼び捨てで呼んでくれて良いのだけれど」


 冬美がそう言って優樹菜をちらりと見ると、本人は頭を振って否定した。


「まあ別に良いけれど。それではよろしくね、優樹菜、和人、浩太」


 まだ名乗ってもいないのに冬美は和人と浩太の名前を挙げる。


「もしかして自己紹介でクラス全員の名前を覚えたのか?」


 パッと見ただけで座席表のほとんどの名前を覚えた和人が、自分のことを棚に上げて驚愕する。


「さすがにそんなこと出来ないわよ。貴方たち二人のことは特に記憶に残っていたのよ」


 和人の質問に否定を返し、冬美はさらに気になる内容の発言をする。


「なんでだ?」


 和人が口を開く前に浩太が質問する。


「そうね。匂い、かしら?」


「「ん?」」

 和人と浩太が同時に声を出す。


「勘違いしないでね。別に本当に匂いがしている訳では無いから」


 冬美は顔を()()らせた浩太をみてフォローを入れる。


「例えば、貴方は田舎臭かったわね」


 ……その後の台詞が台無しにしていたが。


「田舎者で悪かったな!」


 浩太は完全にそっぽを向いてしまった。


 だがしっかり当たっているあたり、冬美の嗅覚とやらも案外(あんがい)馬鹿にできないかもしれない。


「あなた()ってことは、俺は違うのか?」


 和人が訊くと、冬美は一瞬言うのを躊躇(ためら)素振(そぶ)りを見せた。


「貴方からはそう、血生臭いものを感じたわ」


 冬美の言葉に、気になってこちらを見ていた浩太と優樹菜の顔が固まる。


「気を悪くしたのなら謝るわ。ごめんなさい」


 冬美は和人の返答を聞く前に謝った。


「いや、特に気にしてないから謝る必要はない」


「そう? でも、否定はしないのね」


「否定も何も、それはお前の感想だろう? 俺が否定するような事じゃない」


 和人はそれだけ言って歩き出した。誤魔化そうとしていたのは分かったが、誰も和人には話しかけなかった。


 背中に三人の視線を感じたが、和人は止まることなく歩き続けた。自然と三人もそれに続いたが、教室に入るまで誰も口を開くことは無かった。


 お読みいただきありがとうございます!!


 ここで一つ皆様に謝罪を。

 一話を投稿したあと、大量の誤字脱字が見つかりました。確認できたところは修正し、二話もなんども確認を行いましたが、もしもまだあるようでしたらご報告していただけるとありがたいです。


 さて本編についてですが、ここにも一つ皆様に謝りたいことが。一話もそうでしたが、二話も世界観の説明のための描写と人間関係の描写ばかりで、アクション要素を入れれませんでした……。

 しかし、今回で主人公の仲間も集まり、世界観の下地も出来ました。次の三話ではウォーギアについての詳しい話と初めての戦闘が書けるはずです!

 ぜひ楽しみにしていて下さい!!


 ……結局二話でも後書き書いてますね、私。話も長くなったし。


 ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。ぜひブックマーク登録や感想レビュー、評価ボタンを押すことをよろしくお願いします!

 創作の励みになります。    本書章人




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