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第49話 中野さん

「ん……? でもこの声って、どこかで聞いたことあるような? どこだっけか? でも俺は中野さんと会話したことが1度もなかったはずだけど……」


「教祖様は、中野明菜をご存じですよね?」


「そりゃあもちろん知ってるよ、今季のアニメでも主役をバンバンやってる人気の現役女子大生アイドル声優だ――って、あっ! この声って中野明菜じゃん!? え、もしかして君って、人気アイドル声優の中野明菜!?」


「はい、その中野明菜です」


 それを聞いた俺は、いてもたってもいられず中野さんらしき黒ずくめのフードを脱がしてみた。

 するとそこにはインタビュー記事やCMで見る中野明菜の顔があって――!


「うわっ、マジで!? 中野明菜が俺の隣の部屋に住んでたの!? 俺めっちゃファンなんだけど! あ、今やってる異世界セクステット4期、毎週見てます! エリミア大好きです!」


「ありがとうございます教祖様。アキナも教祖様の熱烈な信者なんですよ。ふふっ、一緒ですね」


「え、マジで?」


「はい♪ もともとアキナが声優になったのも、異世界への憧れからなんですから。せめて物語の中でも異世界に行ってみたいなって思って、声優になったんです」


「その情報は初めて知ったな。ごめん、これじゃファン失格だよな」


「いいえそんなことはありませんよ! だってこれはマネージャーさんにも言ったことがない、誰にも秘密のトップシークレットだったんですから。でも教祖様なので特別に伝えちゃいました」


 中野さんが声を弾ませながら言った。

 まるでアニメの中から抜け出てきたような声が可愛すぎてマジでヤバいんだが!?


 俺はすぐにヒナギクさんにお願いして、中野さんの拘束を解いてもらった。


 だって現役女子大生・人気アイドル声優を縛って床に転がすだなんて、そんな失礼なことはアニオタとして許せないからな!


 可愛いヒロインたちの声を当てるその大切な喉を傷めでもしたら大変だよ!

 日本アニメ界の大損失だ!


 というわけで拘束を解かれて床に座った中野さんと、改めて向かい合って話を再開する。


「でもそっか、そういう理由で声優になったんだね」


「はい」


「しかもそんな今を時めく現役女子大生・人気アイドル声優が、俺の熱烈な信者だったなんて」


 うわっ、なんかめっちゃ嬉しいな。


 だってアニオタにとって人気アイドル声優は最上位ステータス、神みたいな存在だぞ?


 その神的存在である現役女子大生・人気アイドル声優の中森明菜が、俺の信者なんだよ?


 これって超すごくない!?


 俺がライトなアニオタらしく、降って湧いた出会いに年甲斐もなくキャッキャと喜んでいると、


「むむむっ!? トールの反応がちょっとおかしいです! 今まで見た中で一番嬉しそうです! わたしというものがありながら酷いです、チャラ男です!」


 何故かエリカが不機嫌そうに眉をひそめながら言ってきた。


「そりゃまぁ現役女子大生・人気アイドル声優と話ができたんだから嬉しくもなるだろ? しかも俺のことをちゃんと知ってくれて、信者だって言ってくれてるんだぞ?」


 そんなの当たり前だよなぁ?


「とかなんとか言って内心では、教祖命令で信者の人気アイドル声優に良からぬことを命令してやろうとか考えているんですよね?」


「おいこら、お前は俺をなんだと思っているんだ。こんな人がたくさんいる場所で、俺の社会的地位をいたずらに失墜させるようなことを言うんじゃありません」


 え?

 30代無職童貞に社会的地位なんてないだろって?


 たしかに今は無職だけど、俺だってついこの間までは頑張って働いて生きてきたんだよ!(泣


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