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第43話 超法規的措置

「まず今後の大まかな流れとしては、エリカさんには超法規的措置によって、とある第三国から日本国への帰化という形で日本国籍を取得してもらいます」


「超法規的措置!? すごいぞ、すごすぎる! まさか俺の人生でこんなカッコいい専門用語が使われる日がくるなんて!」


 その超絶パワーワードを聞いた俺は興奮を隠しきれなかった。


 だって超法規的措置だぞ!?


 法が全てを支配するこの法治国家・日本で、法に従わないといけないはずの日本国自体が法律の定めを越えて行う特別な脱法行為ってことだぞ!?


 それって超すごくない!?

 30歳無職童貞とは本来絶対に相容れない超絶スーパーウルトラパワーワードじゃないか!


 自分で言ってて悲しくなるけどな!


「ご厚意ありがとうございます」


 俺の興奮をよそに、エリカはいたって冷静にぺこりと頭を下げた。


(くっ、超法規的措置なんてグレイトなワードを聞いても全く意に介さないとか、さすがはスーパーエリート異世界転移者のエリカさんだ。完全に浮かれてる俺とは物が違う……!)


「その後、通常ですと帰化届けを出すことで戸籍に記載されるのですが、そういった諸々はエリカさんの代わりにわたくしたち法務省の方で全て行いますのでご安心下さいませ。お二人が特に何かする必要はございません」


「マジか、ありがとうヒナギクさん」


「ふむふむ、果報は寝て待てというわけですね。お心遣いに感謝します」


 国籍と戸籍があれば、エリカは正真正銘の日本人になる。


 しかも面倒な手続きは全部向こうでやってくれるときた。


 正直な話、帰化申請しろとか急に言われてもどうやればいいかとか俺にはさっぱりだもんな。

 とりあえずインターネットでやり方を検索してみるところからスタートだ(その後できるかどうかは別として)。


 さすがは最強ステータスの1つ国家公務員だなぁと俺は感心したんだけど、次の一言がいただけなかった。


「ではとりあえず、お二人は夫婦ということでよろしいですわね?」


「よくねーよ」「よろしいです!」


 反射的に正反対の答えを口に出してから、俺とエリカはお互いの顔を見あわせた。

 すぐにエリカが「むむっ!」という顔をする。


「もういいじゃないですかトール。年貢の納め時ですよ、いい加減観念してください。どうせ早いか遅いかの違いなんですから」


「いい加減観念もなにも、俺とエリカは出会ってまだ24時間くらいしか経ってないと思うんだが」


 あまりに濃密な展開すぎて、しかもエリカがぐいぐいととてもフレンドリーに俺との距離を詰めてくるから、まるでさも昔からの知り合いであるかのような感じがしてくるけど、俺たちはまだ出会って1日である。


(ほんと全然そんな気がしないんだよな。俺とエリカは波長が合うってことなのかな? そういう意味では結婚しても上手くいきそうではあるかもだけど)


「そんなこと言って、トールはわたしのことは悪くないって思ってくれてるんですよね?」


「いやまぁそうなんだけどさ? 仮にそうだとしても、その、昨日もちょっと言ったかもだけど、やっぱり結婚ってのはもっとこう重いものだと俺は思うんだよな」


「ですが日本では紙切れ一枚で結婚できると聞いてますよ? 世間を欺くための偽装結婚だの仮面夫婦だの、果ては家庭内別居なんて言葉もあるのだとか」


「お前ほんとなんでも知ってるよな……」


 エリカの知識の幅広さに、俺はちょっと呆れ気味に言った。

 お前はなんでも知ってる羽川さんか?


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