第34話 エロ系ギャル = 清楚系美少女?
「だから年頃の娘がそういうことを明け透けに言うなっての。ほら電気消すからな」
「わたしは心から言っているんですけど。まごころを、君に的な?」
「おっと、エヴァネタはやめてくれ、実は見たことがないんだ。ガチファンにツッコまれたら色々と困る」
「おや? エヴァはアニオタの聖書と聞き及んでいるのですが」
「昔はそうだったのかもしれないけど、最近はそうでもないと思うぞ。最近ついに完結したし、そもそもスタートは90年代だろ? さすがにもう世代的に知らなくても普通だから」
「なるほど。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り。アニメ業界も栄枯盛衰というわけですね」
「お前、例え方がほんとネイティブ日本人だよな……」
「それはもういっぱい日本について勉強してきましたから。君が代だって歌えますよ。きみが~よ~は~♪」
エリカが小さな声で、だけどしっかりとした音程で日本国国歌を歌い出す。
「くっ、さすがは本物のエリート……! 褒められてさらっと肯定しちゃえるだけでなく、さらに追加アピールまでしちゃうところに、勝つことに慣れた圧倒的な勝ち組オーラを感じざるをえない……!」
「そういうことですので、わたし的にはいつでもオッケーですからね」
「だからそういうエロ系ギャルアピールはやめろっての」
「ちょ、エロ系ギャルとはなんですかエロ系ギャルとは! わたしはどう見ても清楚系乙女じゃないですか? 髪だってさらさら黒髪ロングですし」
「だから清楚な女の子はそんな風に自分が清楚だってアピールはしてこないんだってば」
「でもアピールしないと伝わらないじゃないですか?」
「だからアピールするから清楚系じゃないんだよ」
「これでは堂々巡りなので、この件はわたしが清楚系と言うことで一旦保留にしておきましょう」
「棚上げすると見せかけて、ナチュラルに持論を共通の認識にしちゃおうとする押しの強さには、もはや尊敬の念を禁じ得ないよ……」
「古来より、押してもダメならもっと力を入れて押してみな、と申します」
「まったく申さねぇよ」
「おや? 困ったらレベルを上げて物理で殴れということわざがあったはずですが」
「それはことわざでもなんでもなくて、とあるバランス最悪の脳筋ゲームの話な」
「あ、これゲームの話だったんですね。強き者がごり押しで持論を押し通すことを皮肉った、実に見事なことわざだと思ったんですけど」
「そりゃ実際問題、現実でもそういう場面は多いんだろうけど……うーん、なんて言うのかな? 童貞アニオタってのはそういう押しの強いエロ系ギャルは本能的に苦手なんだよな。笑顔の裏で笑われてそうな気がしちゃうから」
エロ系ギャルみたいな明るく社交的でパリピなウェーイ系とは住む世界が違うって感じるし、少なからず劣等感もある。
彼女たちの全てが裏で陰口叩いてるとは思わないけど、どうしてもその積極性やテンションの高さに自分との格差を感じて、一歩引いちゃうんだよな。
ファッションとか外見からして煌びやかで、俺たちアニオタとは目に見えて違うし。
もちろん向こうが上で、俺たちが下だ。
こと外見という面で、俺たちアニオタには逆立ちしたってエロ系ギャルに勝てる要素はない。
「まったく、なんというベタな偏見なのでしょうか。きっとトールは中学・高校・大学と陰気で悲しい疎外感のある人生を歩まれてきたんでしょうね。トイレでこっそりお弁当を食べたり、修学旅行の班決めで最後に押し付け合いになったりとか。ご苦労がしのばれます」
「いや確かに世間一般で言うリア充には程遠かったけど、そこまで悪しざまに言われる程のものではなかったんだが……」
「わたしに心配かけないようにと敢えて強がってみせるその優しさ。ですがそんなことをしなくても大丈夫ですよ。安心してください、今日からわたしが長年傷ついたトールのガラスのハートを優しく包み込んで癒して差し上げますから」
「その何でも自分に都合よく解釈できる強メンタルが心底羨ましい……」
「ちなみになんですけど、エロ系リア充ギャルは苦手ということですが、ではトールはどんな女の子が好みなんでしょうか? 後学のためにぜびとも忌憚ない意見をお願いします」
「うーんそうだな……いつも笑顔で、悩んでる時にはそっと俺の背中を押してくれるような綺麗な黒髪の清楚な大和撫子か、もしくは外見はギャルっぽいけど中身は奥手で純情なギャップ感のある優しい女の子が好きかな」
別段隠すようなことでもなかったので、俺は自分の好みの女性像を正直にエリカに伝えた。
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