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第31話 チャラ男認定とかマジでやめて……。

「それでエリカは何か食べたいものはあるか? 転移祝いってことで、今日はエリカの好きなものを食べようぜ」


「わたしが選んでよろしいのですか?」


「もちろんだよ。エリカは日本についてこんなに色々と勉強してきてるだろ? だったら食べたいものとかもあるんじゃないかなって思ってさ」


 ドライヤーを買った時のエリカの溢れんばかりの喜びようを、俺は思い出していた。


 現代人にとっては当たり前なドライヤー一つであんなに喜んでくれるんだ。


 食べたい物や行きたい場所だって、きっとあるに違いない。


 でもエリカときたら一見図々しいように見えて変に遠慮してるっていうか、自分からはちっともあれしたいこれしたいって言ってこないんだよな。


 だからそんな控えめなエリカには、こうやって俺の方からさりげなく提案してあげるのが、ホスト側たるこの世界の人間の心遣いってなもんだろう。


 せっかくこの世界に転移してきたんだから、エリカには色んなことで楽しんでもらいたい――などと俺は内心ハートフルに思っていたんだけれど、


「まったくもう、トールはほんとどうしようもないチャラ男ですね」


 エリカは突然そんなバカげたことを言い出したのだ。


「ちょ、おい! 今の話の流れで俺の一体どこがチャラかったんだよ!?」


 あまりに見当違いな意見を言われて、俺は思わず大きな声で反論してしまう。


「どこと言われると全部ですかね?」


「よりにもよって全部だと!? さっきの俺、めっちゃ優しさと思いやりに溢れていたじゃないか! っていうか30歳を過ぎても一度も女の子とお付き合いしたことない俺ほど、チャラ男とかいう概念と正反対の人間はいないだろ!?」


 もはや自分で言ってて悲しくなるわ!


 30歳を過ぎて童貞なら魔法使いになるって言われてたのになれないし!

 素人童貞じゃなくてちゃんと本物の童貞だぞ!?


 代わりに召喚術で異世界救った勇者にはなっちゃったけど!


 ん?

 それはそれでめっちゃスゴくね?


「ではここでチャラ男の定義をどうぞ」


「て、定義だって? いや、そんないきなり定義とか言われても……」


 俺は某プレバトで世界中の子供たちから大人気の俳句永世名人のおっちゃんみたいに、しどろもどろになりながら言葉を濁した。


「大まかなイメージで結構ですから」


「そうだな……えーと、むやみやたらと女の子に優しくして、ご飯とか簡単に誘ったりするようなチャラチャラした男のことだろ?」


 俺はパッと思いついたチャラ男のイメージを言葉にした。

 おおむね間違ってはいないはずだ。


「ではそれを踏まえた上で、先ほどのトールの言動を振り返ってみて下さい」


「えーと、エリカに優しくして、エリカをご飯に誘った」


「でしょう!? チャラ男の定義にトールはずばり当てはまっています! この点に関しては、もはや議論の余地はありません!」


「いやいやいやいや! 議論の余地がありまくりだから! だってこれ完全にあれだろ、『箇条書きマジック』ってやつだろ!?」


 箇条書きマジックとは、意図的に共通点だけを抜き出して箇条書きにすることで、「ほらこんなにそっくりでしょ? だから○○は✕✕のパクリ!」と流行りアニメを強引に盗作認定するネットの悪辣な手法のことだ。


 しかもそれを信じてしまうビュアな心を持ったファンが出てきたりして、時にはそれぞれのファンによる熾烈なネット抗争に発展したりすることもあるから、みんなは絶対真似すんなよ!


 異世界を救った勇者トールとの約束だからな!


「まったくもうトールってばものすごくチャラ男なんですから困っちゃいますよ」


「たがら俺はチャラくないっつーの!」


「トールはほんとチャラくて優しいんですから。こんなに女の子に優しいだなんて、優しすぎて困っちゃいますよ、もう……」


「だから不意打ちでそういうドキッとするようなこと言うなっての……ほら、食べたい物あったら言ってみろよ」


「でしたら回るお寿司が食べたいです!」


 エリカが目を輝かせながら答えた。


「またえらくテンションが高いな? そんなに寿司が食べたいのか?」


「はい、それはもうモチのロンですよ! 異世界転移・転生の国立女神学院では毎年一回大規模な意識調査アンケートを行っているんですけど、日本で行きたい場所アンケート飲食部門は回転寿司がVナイン、9連覇中なんですから!」


「もしかして寿司じゃなくて回るお寿司限定なのか?」


「はい、回転寿司は芸術です! 人手を減らしながら遊び心のある演出を行う――まさに機能美が詰まった飲食形態、それが回転寿司です!」


「まぁ楽しくはあるよな。俺も寿司が回っているのを見るだけで楽しくなるし」


「ですよね! レーンで流れてくるお寿司を取ったり、食べ終えたお皿を入れてガチャガチャもしてみたいです!」


「ガチャってことはくら寿司か、この近くにあったかな……?」


 俺はすぐにスマホを出して検索する。


「お、あった。えーと、駅の反対側だから歩いて10分くらいだな」


 俺はそのまま飲食予約アプリで2名様で予約をすると、エリカを連れてくら寿司へと向かった。


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