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第24話 ショッピングモール(1)

 朝ごはんを食べた後、俺たちは隣駅にあるショッピングモールへとやってきていた。


 エリカの生活用品や寝具を買うためだ。


「これが噂に名高いショッピングモールというやつですね! わたし知ってます!」


「これも勉強済みか」


「はい! ですがまさかこれほどの規模とは思いませんでした。すごいです! まるで交通の要衝に作られた堅固な要塞のようです!」


「例えがイマイチわからないんだけど、喜んでくれたようで良かったよ」


 ちなみに俺の服装は白のYシャツにジーンズ。

 エリカは俺のTシャツにパーカー、下はハーフパンツにサンダルをはいてもらっている。


 あの露出過多なアレンジ巫女服のままで、人の大勢いるところに行くわけにはいかないからな。


 というかエリカはあの格好で外に出るのも全然平気そうだったんだけど、俺のほうが耐えられそうになかった。


 そんなエリカは嬉しそうに襟元に顔をうずめて、すんすんと服の匂いを嗅いでいる。


「ふふっ、トールの匂いがします。今のわたしはトールの匂いに包まれているんですね」


「いやこれは柔軟剤の匂いだな」


 あほなことを言ってくるエリカをバッサリと切って捨てる。


「せっかくいい雰囲気を出しているというのに、まったくトールは空気が読めませんね!」


「あのな、露骨に上目づかいを向けながらそういうこと言われても、イチイチ言動があざとすぎて逆に冷めるんだよ」


「あれ、おかしいですね? カレシのちょっとだぼだぼな服の襟元に顔をうずめて匂いを嗅ぎながら、幸せアピールをする――昨今のあまっちょろい日本男児はこういうのが好き、鉄板のシチュエーションだと習ったんですが」


「異世界はなんちゅう教育をしてるんだ!? そんな教育してて大丈夫なのか異世界!? 先にもっと教えることがあるだろう!?」


 間違ってるとは言わないけど!

 クールな振りしてたけど、実際かなりドキッとしてたんだけど!


「ふむ、とどのつまり、トールはもう少し控えめなタイプが好みである、と。メモメモ……」


 なにやらメモ帳に書き込みだしたエリカ。

 時々ちょっと方向性があれだけど、なんだかんだで努力家なんだよなぁ……。


 などと思っていたら、


「好きな相手の好みに合わせるべく、懸命に努力するけなげな女子的な?」


 エリカがわざわざこっちをチラ見しながら、そんなアピールをかましてきた。


「だから自分で言ったら冷めるっつーの……」


 ほんと何もかも台無しだ。


 そんなことしなくたって、エリカみたいな可愛い女の子と一緒に居るだけで俺はいっぱい緊張もしてるし、ドキドキが止まらないっていうのに。


 なにより可愛い女の子とこんな風に何でもない馬鹿話ができるのが、楽しくてしょうがない自分がいて──。


「でもちゃんとアピールしないと伝わらないと思うんですよね。わたしは異世界を救った勇者トールを運命の人だと思ってますし、わたしが好きなのと同じくらいトールにもわたしを愛してもらいたいんです」


「うっ……」


 あざといアピールから一転、不意打でこれ以上なくストレートに好意を告げられてしまい、ついにドキドキが限界突破しちゃった俺は返す言葉に詰まってしまった。


「おや? なにやら顔が真っ赤ですよ? なるほど、トールはこういう風にストレートに好意を告げられるのがお好きと」


「そりゃ、エリカみたいな可愛い子に真正面から好きとか言われたら顔くらい赤くなるだろ? 女の子と会話するだけでもドキドキする童貞男子のピュアな心を舐めんなよ?」


 こんなに好き好きアタックされてるんだ、どれだけ取り繕っても内心では嬉しさでぴょんぴょん飛び跳ねそうだっての。


「トール、大好きです♪」


「ぐっ……だからそういうこと言うなってばこのバカ……」


「わたしのような美少女に面と向かって好きと言われて、照れてにっちもさっちもいかなくなってつい減らず口を叩いてしまうトール……むふふ、実に可愛いですねぇ」


「お前、実は俺で遊んでるだろ……」


 あと自分で美少女とか言うなよな?

 超がつく美少女なのは間違いないけども。


 そんなやりとりをしながら、まずは俺はショッピングモールの中の家具屋へとやってきた。


 当たり前だけど俺の家に2人分の布団はないので、まずは取り急ぎ最優先でお布団一式を買わなければならないからだ。


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