きょじんのせかい
橙の世界の女神はゲルダたちを連れたゴーレムよりもはるかに大きく、『動く女神像』のようなふんいきです。
「…あの…、あなたは一体…?」
ゲルダはおそるおそる巨大な女神にたずねました。
「人よ…、まずはお前たちから名乗るが良い…。全てはそれからだ…。」
女神は自分たちから先に名乗るよう命じました。
「はい…、わたしは…、ゲルダといいます…。」
「私はゲルダの連れのブリジットと申します。」
「私は『土の女神ガイア』だ…。またの名で…、『巨人の女王』とも呼ばれておる…。ゲルダなる少女よ…、私に何用だ…?」
ゲルダたちが名乗った後、女神も名乗りました。
「わたし…、カイという男の子をさがしているんです…。デュラ様やオンタケ様に聞いてみたところ全く知らないと返されました…。オンタケ様からあなたに聞いてみてはということでここまで来ました…。ガイア様…、カイについて何か知っていることはありませんか…?」
ゲルダはなぜ自分たちがガイアのもとに来たかを伝え、カイについてたずねました。
「すまぬ…。私にも全くわからぬ…。黄の世界の女神なら…、何かを知っていよう…。そこに向かうが良い…。」
ガイアはカイについて何も知らないことと、黄の世界の女神のもとをたずねるようゲルダに伝えました。
「そうですか…、わかりました…。」
ゲルダはカイについて何も手がかりがつかめず肩を落としました。
「…せっかく私とあいまみえたのだ…。お前たちに『歯車の紋章』をさずけよう…。これでお前たちも土のかごを受けられる…。それからゴーレムとも話ができるぞ…。」
ガイアは歯車の形をした橙色の紋章をゲルダとブリジットにさずけました。
「ありがとうございます。」
ゲルダとブリジットはガイアにお礼を言いました。そして、先ほどゲルダたちを連れたゴーレムが二人のもとに歩みより、ゲルダの前にひざまずきました。
「小さな英雄よ…、われを…、お連れいただきたい…。われは…、よろこんで…、ぬしらの力になろう…。」
ゴーレムはゲルダに同行を申し出ました。
「わかりました。これからのあなたの名前は『ホルガー』よ。よろしくね、ホルガー。」
ゲルダはゴーレムの申し出を受け、ゴーレムの名前を決めると、歯車の紋章がホルガーのむねにある同じ形をした紋章に向けて光を放ちました。
「良き名を付けて頂き…、かんしゃいたす…、マスター…。」
ホルガーはゲルダをマスターとしました。
「ゴーレムはきわめて強い…。その強さは破壊をもたらしうる…。ゴーレムを同行する以上…、さいごまで相棒としてせっし…、御することが…、お前たちの責務だ…。」
ガイアはゲルダたちにゴーレムのあつかいについて忠告しました。
「はい。」
ゲルダたちはうなずきました。
「では…、お前たちに土のかごがあらんことを…。」
「色々とありがとうございました。それではごきげんよう。」
「あなたにも火のかごがありますように。」
「女王様…、これより…、われ…、ホルガーは…、小さな英雄たちの…、力となろう…。わがむねの…、歯車の紋章にかけて…。」
ゲルダたちはガイアに別れを告げ、黄の世界へとたびだちました。