あらたななかま
一夜明け、ゲルダは火の里の長老にブリジットといっしょにオンタケのすまう火山を目指しました。火山は高いところにあるだけあって、ゲルダが肩で息をするほどの長い道でした。
「どうしたんだい?肩で息してるようだけど…。」
肩で息をしているゲルダにブリジットは声をかけました。
「大丈夫です…。わたしには…、カイをさがし出す…、目的がありますから…。」
ゲルダは歯をくいしばり歩き続けました。しかし、しまいにはあしがつってたおれてしまいました。
「たおれてしまったか…。ブリジット、ここできゅうけいいたそう。」
「うん、ゲルダが心配だしね…。」
一行はきゅうけいするはこびとなりました。
「あしが動かない…。もう無理…。」
ゲルダはあしが動かなくてもう歩けないと弱音をはきました。
「…それで…、うちらにおぶってくれってのかい!?だったらがっかりだね!あんたのカイをさがしだそうという信念はそんなもんだったのかい!?」
ブリジットは弱音をはいたゲルダに言い放ちました。
「いえ…、さいごまで自分のあしであるくつもりです…。」
ゲルダはおぶってもらうつもりはないと答えました。
「じゃあ、あし貸しな!いたいけどがまんしなよ!」
ブリジットは歩きつかれたゲルダのあしをもみました。
「!…」
ゲルダはいたみをかんじました。
「いたむかい?いたいってことは身体がほぐれつつあるってことさ!あしがほぐれたらまた歩けるよ!」
「!…ありがとう…。」
ブリジットがあしをほぐしてくれたことによってゲルダはふたたび歩けるようになりました。
一行はふたたび火山に向かって歩きだしました。火口に近づくにつてあつくなっていきました。そして、一行は火口に着きました。
「火口に眠れる火の女神オンタケよ、ゲルダなる者がなんじにあいまみえることをのぞんでおる。おいでねがおう。」
長老が火口に眠るオンタケにはたらきかけると、マグマより巨大な女性の姿をした謎の生き物が現れました。
「あたしは火の女神オンタケさ!あたしに用があるゲルダっていう人はだれだい?」
「初めまして、オンタケ様…。わたしがゲルダです…。わたし…、カイという男の子をさがしてるんです…。デュラ様にたずねたところあなたに聞けばわかるかもしれないと聞いてここまで来ました…。カイについて何か知ってることはないでしょうか?」
ゲルダはオンタケにカイのことをたずねました。
「あいにくだが、あたしも知らないねえ。そうだな…、橙の世界の女神なら何か知ってるかもしれないねえ。」
オンタケはカイについては知らないと答え、橙の世界の女神ならわかるかもしれないと話しました。
「そうですか…、わかりました…。」
「あ、そうだ。お近づきのしるしとして、火の紋章をやるよ。受け取りな。それから、あんたにもな!」
オンタケは赤い火の紋章をゲルダとブリジットにさずけました。
「これであんたたちも火のかごを受けられるよ!」
「ありがとうございます。」
ゲルダとブリジットはお礼をのべました。
「それからあんた…、このゲルダなる小さな英雄の力になってやりな!この子は大いなる信念を持っている。彼女のねがいによりそうのがこれからのあんたの使命さ!」
「しょうちしました。このブリジット、彼女と共にあることをちかいます!この火の紋章にかけて!」
オンタケはブリジットにゲルダの力になるよう命じました。ブリジットは火の紋章にかけてちかいました。
「じゃあ、あんたたちに火のかごを!」
「オンタケ様、ありがとうございました。」
一行はオンタケに別れを告げ、山をおり、里に戻りました。
里に戻ったゲルダとブリジットは休息をとった後、里の人々に見送られて橙の世界にたびだちました。