わかれとであいと
ゲルダたちが赤の世界に出てしばらくして、レイモンドの身体がとけ始めました。赤の世界は温度があつくなっています。
「ここはあついわね。レイモンド、もうみんなのもとに戻っていいわよ。」
ゲルダはレイモンドに仲間たちのもとに戻るよううながしました。しかし、レイモンドはこばみました。
「あなた、このままだととけてなくなるわよ。それでもいいの?」
ゲルダはレイモンドの身があぶないことを伝えました。それでもレイモンドはかまわないとうなずきました。
「わかったわ。あなたのことは決してむだにはしない。たましいにかけてちかうわ。」
レイモンドはまんぞくしながらとけました。レイモンドがとけたあとには、水色の宝玉がありました。
(ありがとう…、この宝玉をあなたの形見として大切にするわ…。)
ゲルダはレイモンドとの別れになみだを流しながらも宝玉を手にしました。
(どこかに町や村でもないかしら…。だれかに話を聞けたらいいんだけど…。)
なみだを流し終えたゲルダは赤の世界の女神に関する話を聞くため、町や村などをさがすことにしましたが、とつぜんあみにつかまってしまいました。
「ちょっと、何がどうなってるの!だれか助けて!」
つかまってしまったゲルダは助けを求めました。間もなく、茶色の肌でえんじ色の服装をしたやや背の高い女性がやって来ました。
「おっ、けものがわなにかかったな!…って…、人がかかってるじゃないか!待ってな!今すぐ助けてやる!」
女性はゲルダをあみからおろしてあげました。
「ごめんよ、おじょうちゃん。けものをとらえるあみをはってたんだ。」
「かりのためのあみだったんですね…。わかりました…。」
女性はゲルダにあやまり、事情を話しました。ゲルダはうなずいて女性をゆるしました。
「うちは『ブリジット』。この近くにある『火の里』の長老のまごさ。あんたは?」
「わたしはゲルダで、カイという男の子をさがしてるんです。わたし、これからこの世界の女神のところに行くんですが、どこにあるのかがわからないんです。おしえてくれませんか?」
「『火の女神オンタケ』様のことか…。わかった、じいちゃんにかけあってみるよ。さあ、うちといっしょに里に行こう。」
「ブリジットさん、ありがとうございます。」
ゲルダはブリジットの案内で火の里に着きました。