くらやみのせかい
レイモンドといっしょに紫の世界にゲルダが足をふみ入れると、まわりが暗闇にみちあふれていました。
「どう進むべきかしら…?」
ランプを片手にゲルダが迷子のようにとほうにくれていたとき、レイモンドと同じくらいの大きさで、ランプの光にこうもりのつばさがはえたバクのようなふしぎな生き物が次々にやってきました。
「あなたたち、おねがいがあるの。わたし、この世界の女神に会いたいの。案内してもらえない?」
ゲルダはなぞの生き物たちに紫の世界の女神のもとに案内してもらえないかあたまを下げてたのみました。レイモンドもゲルダにつづいてあたまを下げました。なぞの生き物たちは光を発しながら道案内しました。
「そこをたどればいいのね。」
ゲルダはレイモンドといっしょになぞの生き物たちについていきました。
そして、ゲルダはなぞのとびらを見つけました。ゲルダたちを案内したなぞの生き物はからだの一部をかぎに変えてとびらを開けました。ゲルダたちがおくに入ると、全身から紫色の光を放つ巨大な女性騎士が大きな剣をたずさえていました。
(これが…、紫の世界の女神…、とても強そう…。)
ゲルダは女性騎士の強そうなすがたに息をのみました。
「あの…、わたし…、ゲルダといいます…。カイという男の子を…、さがしてるんです…。何か知ってることは…、ありませんか…?」
ゲルダは女性騎士におそるおそるカイについてたずねました。女性騎士は剣で紫色の月の形をした紋章を作り、ゲルダにわたしました。すると、紋章がことばを話しました。
『「闇の妖精バクット」にみちびかれし者よ…、わたくしは…、「闇の女神デュラ」と申します…。あなたにさずけた…、その…、「月の紋章」をつうじて…、お話ししましょう…。カイという少年については…、申しわけありませんが…、わたくしは何も…、ぞんじません…。「赤の世界」の女神なら…、何かわかるかもしれません…。』
デュラはゲルダに月の紋章をつうじてカイについては何も知らないことなどを話しました。
「ありがとうございます。デュラ様…、これを…、わたしがもらっていいんですか…?」
ゲルダはデュラにお礼をのべた後、月の紋章についてもらって良いかたずねました。
『もちろんです…。これで…、あなたは…、闇のかごを…、受けられます…。お守りとして…、大切に…、お持ち下さい…。あなたの力に…、なってくれることでしょう…。』
デュラはゲルダにもらって良いと答え、闇のかごを受けられるため大切に持つよう伝えました。
「ありがとう。わたし、大切にします。」
ゲルダは喜んだ。
『いつかカイという少年に会えると良いですね…。それでは…、あなたたちに闇のかごを…。』
「色々ありがとうございます。それでは、ごきげんよう。(デュラ様…、強そうなのにとても優しい感じね…。)」
ゲルダたちは物々しくも優しげなデュラに別れをつげて、紫の世界を後にしました。