ゆきのようせい
くらやみの中でゲルダは目をさましました。ゲルダがランプをつけると、まわりに小さなゆきだるまがいっぱいいました。
「どうして小さなゆきだるまがいっぱいうごいてるの…?」
ゲルダは小さなゆきだるまたちに目を丸くしました。ちいさなゆきだるまたちは文字を作るように集まってゲルダに伝えました。
『ぼくたちはスノボックルというゆきのようせいです。みてのとおりからだはゆきでできています。』
「あなたたちは『スノボックル』という雪の妖精…。…わたし、まさか死んでしまったの…?あんなさむい吹雪の中を歩いてたから…、そういうことなのね?」
『いいえ、あなたはまだいきています。ぼくたちはゆきにうもれたあなたをあんぜんなばしょにはこんだんです。』
「そうだったのね…。ありがとう。」
スノボックル達に助けてもらったゲルダはお礼を言いました。
「ねえ、カイという男の子について何か知ってることない?わたし、その人をさがしてるの。」
ゲルダはスノボックルたちにカイのことをたずねました。
『そのひとのことについてぼくたちはしらないんです。このさきにあるむらさきのせかいのめがみならわかるかもしれません。』
スノボックルたちはゲルダに『紫の世界』の女神が何かを知っているかもしれないと伝えました。
「わかったわ。」
ゲルダの前に一体のスノボックルが歩み寄りました。
『このスノボックルもおつれください。きっとあなたのおやくにたちます。』
スノボックルたちは一体のスノボックルをゲルダにつかわせました。
「わかったわ。じゃあ、あなたの名前は『レイモンド』ね。」
ゲルダは同行するスノボックルに『レイモンド』と名付けました。レイモンドは喜びました。
「みんな、本当にありがとう。じゃあみんな、ごきげんよう。」
スノボックルたちに見送られる中、ゲルダはレイモンドといっしょに紫の世界に向かいました。