ふたりのきずな
ゲルダがカイのいる部屋にもどると、カイはまたビャッコを抱いていました。
「また君か…、ほっといてくれって言っただろ…。」
カイはゲルダに冷たくせっしました。
「さっきはごめんね…。いきなりあれこれ言われるととまどうもんね…。」
ゲルダはカイにあやまりました。
「だから…、初めまして…。」
ゲルダは、一からカイとせっすることにしました。
「うん…、わかったよ…。」
カイは首をたてにふってくれました。こうしてゲルダはカイとあらためて仲良くなりました。二人が仲良くなるうちに、ビャッコはゲルダも好きになりました。
「ねえ、このかわいい猫何ていうの?」
ゲルダはカイが抱いているビャッコのことをたずねました。
「この猫はビャッコっていうぼくの大切なともだちなんだ。」
カイは自分の相棒であるビャッコのことをじまんげに話しました。
「ねえ、わたしにもビャッコを抱かせて。」
「うん、いいよ。ビャッコも君のことを気に入ってくれてるしね。」
カイはビャッコをゲルダにわたしました。ゲルダがビャッコを抱くと、ゲルダはせきこんでしまいました。
「君、大丈夫か?」
カイはゲルダを気づかいました。
「…大丈夫よ…、あなたの好きなものは…、わたしの好きなものでも…、あるんだから…。」
ゲルダはせきこみながらも大丈夫だと言い張りました。
「せきこんでるんだしむりしなくていいんだよ。ほら!」
カイはゲルダからビャッコを引きはなそうとしました。しかし、ゲルダはせきこみながらもこばみました。
「…言った…、でしょ…。あなたの…、好きな…、ものは…、わたしの…、好きな…、ものでも…、あるって…。どんなに…、せきこんだって…、それは…、変わらないの…!」
ゲルダはひどくせきこみながらも、カイの好きなものは自分の好きなものだと言いつづけました。
「ゲルダッ!!」
カイはせきこんでもなおビャッコを抱きつづけようとするゲルダにどなりました。おどろいたゲルダはビャッコをはなしました。
「…やっとわたしを『ゲルダ』って…、呼んでくれたね、カイ!」
ゲルダはカイが自分の名前を呼んでくれたことによろこびました。
「…やっと思い出したよ…。ゲルダ…、君はいつも自分のことよりもぼくやみんなのことにいっしょうけんめいだったね…。今だってそうだ…。!…うっ…、右目が…。」
カイはゲルダや町のみんなのことを思い出しました。間もなく、カイがうずく右目をかばいました。
「カイ、右目大丈夫?」
ゲルダはカイの右目を気づかいました。
「だめだ…、何も見えないや…。」
カイの右目は何も見えなくなってしまいました。ビャッコもカイの方にもどりました。
「カイ、きおくがもどったことだし、いっしょにハンスヘイムの町に帰りましょう。」
ゲルダはカイにいっしょにこきょうに帰ろうとうながしました。
「うん…。それで…、ビャッコも連れてっていいかな…?」
カイはビャッコも連れていいかたずねました。
「うん、いいよ。カイの大切なともだちだもの。」
「ありがとう、ゲルダ。さあ、ビャッコ、お前もぼくたちといっしょに行こう。」
ビャッコもカイといっしょでよろこびました。ゲルダとカイはビャッコを連れて部屋を出ました。
「あっ…、城を出る前に…。」
城を出る前にゲルダは何かすべきことに気づきました。
「ゲルダ、どうしたんだい?」
ビャッコを抱っこしているカイはゲルダにたずねました。
「わたしの相棒がいるの。大きな雪だるまのレイモンドが。」
ゲルダはカイやビャッコといっしょにレイモンドをさがしました。ゲルダたちはレイモンドを見つけました。
「レイモンド!」
「マスター、良かったです。それから今お連れの方々は?」
ゲルダとレイモンドは再会しました。
「カイっていう男の子なの。カイが抱いてる猫はフロストキャットのビャッコというの。」
「はじめまして、ぼくは雪の妖精レイモンドと申します。」
「ぼくの方こそはじめまして、レイモンド。ゲルダ、この雪だるまが君のともだちなんだね。とってもかわいいな。」
「うん、そしてたのもしいの。」
ゲルダはカイにレイモンドのことをしょうかいしました。
「さて…、みんなで城を出たいところだけど…。イナバウアー様に会いましょう。」
ゲルダたちはさいごにイナバウアーに会うことにしました。カイもレイモンドもビャッコもうなずきました。
ゲルダたちが王室に来ると、イナバウアーはおくにある王座にかけていました。




