表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪の女王~世界をかける少女  作者: TAK
フィヨルヘイムへ
16/19

ぜつぼうのゲルダ

城の中にある小さな部屋で、カイは猫を抱っこしていました。猫の首には氷の結晶(けっしょう)のマークのくびわをつけられ、身体もカイの服と同じ真っ白です。


「『ビャッコ』、いつ見てもお前はかわいいな。」


カイに抱っこされたビャッコもうれしくニャーとなきました。カイがビャッコとたわむれている中、部屋にゲルダがやってきました。


「カイ!」


ゲルダはついにさがしていたカイを見つけ、彼の名をさけびました。


「…君はだれ…?ぼく…、君のこと全然知らないんだけど…。」


カイはゲルダに関するきおくを失っていました。そんなカイにゲルダはどうようしました。


「わたしよ、ゲルダよ!ほら、ハンスヘイムの町の…!」


ゲルダは必死になってカイにうったえました。


「ゲルダ…?ハンスヘイムの町…?知らないね…。」


カイはゲルダだけでなく、自分の故郷に関するきおくも失っていました。


「そんな…。」


ゲルダはインドラからカイがきおくを失っていると聞いてかくごをしていたはずが、じっさいに直面して大いにどうようしました。


(でも…、わたしはあきらめない…。この虹の目薬で…、カイを救ってみせる!)


気をとり直したゲルダはきおくを失ったカイをすくうため、かばんから虹の目薬を取り出しました。


「目薬をさすからじっとしててね…。」


ゲルダは虹の目薬をカイの右目にさそうとすると、


「ほっといてくれ!!」


何とカイはどなっては、ゲルダをふりはらってていこうしたのです。そのはずみでゲルダは虹の目薬をおとし、虹の目薬の入ったびんは割れてしまいました。


(そんな…。)


カイを救うための虹の目薬を、本人にていこうされる形で失ったショックのあまり、ゲルダは何も言わずにカイのいる部屋をしずかに去りました。



ゲルダはろうかで一人泣いていました。


(カイを救うための…、虹の目薬を…、失ってしまった…。わたし…、カイを…、救うことが…、できなくて…。おばあさん…、町のみんな…、スノボックルたち…、レイモンド…、デュラ様…、ブリジット…、火の里のみんな…、オンタケ様…、ガイア様…、ホルガー…、クレア様…、インドラ様…、バニット…、ジェライムたち…、グウレイア様…、マチルダ様…、ごめんなさい…。みんなのおかげで…、カイのもとに来れたのに…。)


ゲルダがぜつぼうしている中、一人の女性の声がしました。


「『小さな英雄』よ、大丈夫ですか?」

「はい…。」


はっとしたゲルダがなみだをぬぐって声のする方に向いてみると、イナバウアーとレイモンドがいました。


「申しおくれました。わたくしは『雪の女王イナバウアー』。あなたのあいぼう、レイモンドから話はうかがっております。何でもわたくしがほごしたカイをさがしていらっしゃるとのことですね?」

「はい…。イナバウアー様…、カイをほごしたいきさつについて話してもらえませんか…?」


ゲルダはイナバウアーにカイをほごしたいきさつについて話してもらえないかたずねました。


「わかりました…。」


イナバウアーはしょうだくしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ