みずのようせい
青の世界のみずうみのほとりにいるゲルダ一行は、自然にみとれていました。
「青の世界も自然がいっぱいね。」
「うん、緑の世界以上に生き物がいっぱいだね。」
ゲルダとブリジットはもちろん、バニットも大はしゃぎでした。
「ゲルダ、この世界の女神に会う目的だったよね。」
「あっ、そうだったわ。青の世界のことだからこのみずうみのどこかにいるかも…。」
ゲルダたちは青の世界の女神をさがすことにしました。しばらくして、身体が水でできたまん丸いふしぎな生き物を見つけました。ふしぎな生き物はゲルダたちを見るとあとずさりしました。
「この子、一体どうしたのかしら?」
「うちらに対してみがまえてる感じだったね。」
ふしぎな生き物はゲルダたちに対してなつくようすはありません。バニットがふしぎな生き物によって来て、首につけてある四つ葉の紋章を光らせながら何かを伝えました。すると、ふしぎな生き物はゲルダたちの方に戻っていったん平たくなりました。
「こんどはどうしたのかしら?」
「バニットがうちらがてきじゃないことを伝えたからじゃないかな。」
てきとしてゲルダたちにみがまえていたふしぎな生き物にバニットはゲルダたちがてきではないことを伝えていたのです。ゲルダたちはふしぎな生き物と仲良くなりました。しかし、やや離れたところで人のどなり声が聞こえました。
「何!?向こうで誰かのどなり声が…。」
「行ってみましょう。」
ゲルダたちは声のする方に走りました。
「おとなしくしてな!おれたちのしごとがはかどらないじゃないか!」
近くに台車をおいた二人連れの男性が別のふしぎな生き物たちを大きなつぼの中にいれるのにてこずっていました。
「やめて!この子たちがいやがってるじゃないの!」
かけつけたゲルダは二人に言い放ちました。
「何だじょうちゃんども!こいつらはおれたちの商売道具なんだ!引っ込んでな!」
「この子たちが商売道具って…?」
「ああ、『ジェライム』のしんぞうは宝石として高く売れるからな!こいつら売りとばせばおれたち大金持ちってね!」
「ゆるせない…!」
ゲルダはジェライムたちをつかまえて売ろうとする男たちにゆるせないと言い放ちました。
「はあ!?何だって!?」
男たちはゲルダのことばに耳をうたがいました。
「あなたたちがそうやってしいたげるから…、みんな人になつかなくなるのよ!」
ゲルダはジェライムがなぜ人になつかなくなるのか男たちに言い放ちました。
「そんなのおれたちの知ったことかよ!おれたちはただ金持ちになれればそれでいいんだよ!」
男たちは自分たちが金持ちになれれば良いと言い返しました。
「なあ、あんたら…、『悪銭身につかず』って知ってるかい?」
今度はブリジットが男たちに言いました。
「ふん、金は金だ!どうかせごうがな!」
男たちは金は金だと言いはりました。
「だれかをぎせいにして金持ちになって…、そこに安らぎはあるのかい?」
ブリジットは自分たちの今のやり方で金持ちになって安らぎがあるのか男たちに問いました。
「あるに決まってる!」
男たちはあると言いはりました。
「ないね…!心ないやり方で目的をなす者は必ず何かにおびえる!そういうものなんだよ!」
ブリジットは男たちに心ない方法で目的をなすと必ず何かにおびえることになると言い放ちました。
「ああ、そうかいそうかい!わかったからさっさと失せな!」
男たちはゲルダたちのことばを聞き入れるようすもありませんでした。そんな時、ゲルダたちの四つ葉の紋章が光りだし、多くの生き物たちがゲルダたちの前に集まり、みんなして男たちに詰め寄りました。
「…な…、何だ…!?何でみんな集まってくるんだよ!」
男たちは自分たちに詰め寄る生き物たちにうろたえました。そして、みずうみから青い肌の巨大な女性があらわれました。
「この者たちはあなたたちから『水の妖精ジェライム』をまもろうとしているのです。だからみんな彼女たちに力をかしているだけのことです。」
巨大な女性は男たちにゲルダたちがジェライムをまもろうとしていることを伝えました。
「ひえ~!ばけものだ~!」
男たちは湖から現れた巨大な女性の姿におそれをなして逃げ出しました。ジェライムたちはよろこぶようにとびはねました。
「英雄たちよ、わたくしは『水の女神グウレイア』です。『水の女王』とも呼ばれております。わたくしの使いどもをおまもりいただきありがとうございます。お礼に『雫の紋章』をさずけましょう。」
グウレイアはゲルダたちに青い雫の紋章をさずけました。バニットのくびわにも雫の紋章が付けられました。
「あの…、グウレイア様…。」
「いかがなさいましたか?」
ゲルダはグウレイアに何かをきりだしました。




