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3話〜勇者の呪い(10/11)

 取り敢えず僕らは教会に戻った。


 まだ僕に文句が言い足りなそうだったネルティさんは、とりあえず朝飯の支度をと炊事場へ。

 僕はエンジュさんとラインさんと共に、ロムロスさんの部屋へと向かった。ラインさんの挨拶もあるけれど、ロムロスさんは解呪に精通しているということで、僕の呪いについて話を聞いてみようということになった。


 向かう道すがら、僕はまずラインさんと改めて挨拶をするところから始まった。というか、頭下げられた。


「すまねぇ! や、すみません! まさか、勇者様とは思いやしねぇで、少年少年と!」

「い、いや! 僕もすみません、言うの遅くて! というか、少年で良いです、よ。勇者の記憶ないですし……」

「いやいや! そんなこたぁねぇ! つうか無理だ! 憧れがでか過ぎて、少年とは流石に呼べねぇ!」


 口調は物凄く乱暴なのに、真剣に、そして頑固に謝られる。

 僕の記憶がないことなど、その辺りのことはエンジュさんが説明をしてくれた。やはり多少落胆されたが、僕が何かを言う前にラインさんは自分の頬を叩き、「辛いのは勇者様なのに落胆してすまなかった」と言って、すぐに次の話を始めてしまった。なので、それ以上僕には何も言えなくなってしまう。


「しかし勇者様って呼び方が嫌だとすると……やっぱ俺もアン様になるんかな」

「それでいいですよ」


 その名前を呼ばれると赤毛感が凄く強いのは、僕だけなんだろうな、ここだと。でも、たぶんその内に慣れるだろう。

 話をしていると、突然ラインさんがポンと手を打った。


「っと、そうだ。ほい、エンジュ。お前さんの武器、新しいの」


 そう言うと、背負ってた銃の入って居た鞄から、和紙の様なものを巻いた棒状の物が出てきた。


「え。わぁ! 早いですね!」


 そしてそれを嬉しそうに受け取るエンジュさん。丁寧に包み紙を取る。それはどう見ても、日本刀だった。

 思わずギョッとしてそれをジッと見る。


「いやな、丁度お前さんの新しいの打ち終わってたらしくてな。お陰様で、少し待つ羽目になる所だったんだが、こうしてさっさととんぼ返りできたわけよ。お陰で、アン様のピンチに間に合えたわけだ」

「その節は本当に助かりました」

「ちょ、ちょいとアン様……あ、頭は下げないでくれねぇか……その、困る」


 さっきまでカッカッと笑っていたラインさんが、明らかに困惑してそわそわしている。なんだかちょっと面白かった。

 そしてその横で、鞘から刀を抜いて、刀身を眺めて満足そうにエンジュさんが笑っていた。


「んふふ……これが私の新しい武器」


 少し怖い。というか、エンジュさん刀使うんだ。拳の人ではなかったんだ。


「そいつはお前さんの為に打った品らしくてな。折れちまったお前さんの刀はシュルトフェリアだったが、そいつぁシュルトフェリア二式にしきだとよ」


 その言葉に、エンジュさんの目は一層輝く。


「美しい刃ですね……今度は折るなんてヘマしませんよ……一緒に戦いましょう。シュルトフェリア二式……えへへ。嬉しい」


 ぬいぐるみを抱き締めた少女の様な笑顔だったけど、持ってるものが物騒過ぎてすごく狂気を感じた。

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