3話〜勇者の呪い(7/11)
「ぎ、ぎゃあああああ!?」
「うわぁ!? なんだビックリした! あぁ、どうした少年。なんでこんな地面から?」
穴から出て誰も居ないと思ったところ、声を掛けられので、僕の心拍数はやばいことになっていた。凄く痛い。超痛い。
「う、うあ……あ、あなたは、う、え? ど、どな、どなた、な、なんで、え……誰?」
我ながら酷い対応だった。
「おう。落ち着け少年。俺はライン・ベルロックってんだ。ちょいとここの教会に用があってな。で、少年はなんてぇんだい。あと、なんでこんなとこから?」
サングラスをずらし、こっちをジッと見てくる。なんか萎縮する。
目の前の人は、ライダースーツみたいなピッチリした衣服を着てサングラスをかけている人で、ギターケースみたいなのを背負っている。20歳くらい、かな? およそ僕の想定するファンタジーな世界の服装ではないけど、さっき銃とかあったし、そういうものなのなもしれない。
まだ僕はこの世界を知らなすぎる。うん。学ばなきゃ。
「教会、ですか……あ、僕は、あっ!?」
グリフォンのことを思い出し、勢い良い周囲を見渡す。まだ見えない。このままだと、こっちに来るか、教会に向かうか、わからない。
「なんだ、青い顔して。なんか悪いことして怒られるのか? 悪いことしたらちゃんと怒られとけよ」
からからとラインさんが笑う。
「ち、違うんです、グリフォンが!」
「ぐり? ほん?」
わぁ通じてない! グリフォンじゃないのかなあれ!
「あの、翼が生えてた四つ足で、モンスター、魔物、妖怪、魔獣、化け物!」
それっぽそうな言葉を片端から並べてみる。
「魔獣だぁ?」
あ、それが通じるんですね。意味あってるのかどうかわからないけど。
しかし、悠長に話もできない。
「僕、狙われてて。逃げないと。でも、教会に行っちゃうかも知れなくて」
また見つかって追われると思うと、ゾッとする。もう勘弁して欲しい。でも、あいつはこっちに来る可能が高いと思う。
「おいおい少年。何したら魔獣に追われんだ。尻尾でも踏んだか? そもそもこんなとこにそんなのいねぇだろ」
ラインさんは信じてくれていない。
「空を飛んで来たんです! ら、ラインさんも逃げてください!」
僕の言葉に、ラインさんはまた笑う。
「ははは。冗談だろ少年。もし本当に魔獣が居んなら、そいつはむしろ俺の出番ってやつだぜ」
歯を見せて、僕の頭をポンポン叩く。
そしてその直後、ラインさんは背負っていた荷物をくるりと回し、中から何かを取り出して森に向けた。
狙撃銃、みたいなものに見える。
「おいおい少年。マジか。本当に居るな。俺出番じゃあねぇか」
そう言うと、それを担いで狙いをつけ始める。
「固定できないと流石に重いわぁ。まぁ、当たるだろ。少年、目は閉じときな。いくぜっ!」
「え、は、はい!」
固く目を閉じて、上から手で押さえる。すると、急に眩しくなり、カシャンという音がした。
「うしっ! もういいぞ少年」
ラインさんの、機嫌良さそうな声が聞こえてきたので、手を外し目を開ける。手で塞いでいたのに、少しまだ眩しく感じていた。
「あ、あの? 魔獣、どうしたんですか?」
「たぶん仕留めた。もしかしたら虫の息かも知んねぇから、ちぃと様子見に行くわ」
「えっ!? あ、僕も、僕も行きます!」
森の中、僕からは少しも見えない位置のグリフォンを、この人は容易く撃って倒してしまった。
一体、何者なんだろ。教会に用事って言ってたけど……




