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プロローグ

20×4年


ニューヨーク七十二番ストリート付近


一台のキャデラック・エスカレードが走っていた。


ガンメタルグレイのボディで、バンパー には赤色灯が二本装備されている。


運転しているニューヨーク市警の警部補スティーヴンは、助手席の小太りの刑事 ジョーと話している。


話の内容は昨日の晩御飯の事や銃の話などたわいないものだが、車内での暇潰しにはちょうど良い。


目の前の信号が赤になり、スティーヴンはブレーキを踏んでエスカレードを停車させた。


その時だ、エスカレードに装備された警察無線が鳴り響いた。


《5G34、5G34応答を願います》


5G34とはNYPDに登録されているこの車の番号だ。


スティーヴンはブレーキを踏んだまま無線を手に取り口元まで持ってきた。


「こちら5G34」


《四番街角の公園で殺傷事件発生、至急現場へ向かってください》


「了解。現場へ急行する」


助手席のジョーが赤色灯の点灯ボタンを押しサイレンをならすと、スティーヴンはアクセルを踏み込み一気に加速させた。


―――四番街角、記念公園前


エスカレードはゆっくり、そして静かに停車した。


スティーヴンとジョーの二人はエスカレードから降りると、公園の入り口まで歩いた。


入り口に近づくにつれ、中の様子が少しずつ見えてくる


「あぁ、またあれか……」


スティーヴンがそう呟いた


スティーヴンの視線の先には杉木やベンチにもたれた死体達が転がっている。


そんな死体達の中心に一人の少女がたっていた。


綺麗な銀色の髪に青い瞳


アレがただの少女ではないことをスティーヴン達は知っている。


スティーヴンはヒップホルスターからCOLT45ACPダブルイーグルを引き抜き、構えながらジョーに指示を出した。


「いいか、お前は右…俺は左から行く」


「わかった」


ジョーが頷き、グロック17を構えて右へ行ったのを確認するとスティーヴンは反対方向へ進んで行った。


―――ジョーは呼吸を整えながらゆっくりと歩いた。


少女に気づかれないように前方に気を配りながら進んで行ったが、足下が不注意だった


バキッ!!


ジョーは焦って目線を下にやった。


ジョーの足下には真っ二つに折れた木の枝が転がっている。


どうやら木の枝を踏んでしまったようだ…


ジョーがゆっくりと顔を上げると、少女が円らな瞳で此方を見ていた。


「まずい……」


反対側にいるスティーヴンは


「何やってんだアイツは」


と呆れ顔で呟き


「NYPD(ニューヨーク市警)だ!!」


と叫びながらダブルイーグルを発砲した。


ドガッ!!ドガッ!!


パンチ力の強い45ACP弾は少女の横っ腹に中ったが、少女は痛がる様子もなく目線をジョーからスティーヴンに移した。


少女が右手で左手を被うと左手から刃が伸びスティーヴンに向かって飛びかかってきた。 これが“ただの少女ではない”理由だ。


彼女は人間ではないのだ


「ヤバい」


ドガッ!!ドガッ!!


向かってくる少女に対しスティーヴンは二発撃ったが、動きを止めることができない


「くっ…」


ジャキンッ!!


スティーヴンはギリギリでかわしたが、ダブルイーグルはステンレス製のスライドを真っ二つにされてしまった


「…ジョー、車に戻れ!!」


「言われなくても戻るよ」


ジョーはグロックを撃ちながら後退りしてエスカレードの方へ向かった。


パンッ!!パンッ!!パンッ!!


少女はやはり表情一つ変えない。


ジョーが公園前のエスカレードにたどり着くと同時に無線が鳴った。


《5G34、5G34》


「こちら5G34だ」


《応援が到着しました、指示を》


無線からの言葉にスティーヴンは少し離れたところから大声で答えた


「よし、とにかく撃て!!」


「俺達が刺身にされる前にな」


とジョーが付け足す


その直後


少女が刃を振り上げて、高くジャンプした。


「ヤバいヤバい」


バシュッ!!


突然 ジャンプしていた少女の右足が太ももから血が飛び散り、華奢な体がドシャッと地面に落下した。


その少し後、遠くの方から


ダーンッ!!


という音が聞こえてきた。


片足を撃ち抜かれた少女はバタバタともがいている。


「……」


二人は銃声のした方へ目をやった。


微かにだがライフルのようなものを構えた女性が見える。


アレはおそらくNYPDの捜査官ソフィアだろう。


「助かった」


スティーヴンは無線に向かってそう言う と、タバコをくわえて少女に手錠をかけ た。


「少女一人の逮捕も…楽じゃない」


刑事二人の瞳は横たわる少女の姿を映し ていた――――――‐‐‐



※ ※ ※


20×2年 かつて世界有数の犯罪都市と呼ばれたニューヨークの事件発生件数は激減し た。


殺傷事件はもちろんの事、軽犯罪もほとんど起こらない平和な時


しかし20×3年…わずか一年でその平穏は消えてなくなった。


突如増加した殺人、失踪 その全てに関わっているとされるのが 不思議な力をもった少女達


彼女達がどこから来て どうして人を襲うのかは全く分かっておらず


NYPDはそれに関する対処におわれている………………

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