第6話 どの男も辛いよ
「スタンバイOK。いつでも来い!」
僕はいつもの場所に鏡を用意した。今日はクラスの3TOPの内の1つを眺める時だ。
「今日という日を僕は待ってたんだ…!」
胸を高鳴らせながら、僕は二森さんが来るのを待つ。
コツンコツンコツン………
「来た!」
鏡を覗く。間違いない二森さんだ!そして、パンツの色は………白!白だ!白(日)!ホワイト(英)!ブラン(仏)!ビエールイ(露)!バイ(中)!来ちゃったよ……。話しかけよう、告白しよう。君の白い心に惚れたと…。実際は白い布に惚れたけど。
「なーにしてんの?翔太?」
カルマか……。今はとても邪魔である。つくづく空気が読めないやつだ。
「どうしたんだよ、カルマ。いつもならさっさと帰るだろ?」
カルマは、少し困った顔で頭を掻きながら僕の問いに答えた。
「うーん、帰りたいのはやまやまなんだけど、二森さんに呼ばれたんだよね。」
…はい?嘘だろ…?
「えっ、ちょ、おま、あのいやいやいやいやえっとえっと。」
「あ、赤山くん!話があるからこっちきてー!」
二森さんがカルマに笑いながら手を振る、僕の方は全く見ていなかった。多分、僕のことは、見えていない。
「んじゃ、そういうことだから。ここで待ってて!」
カルマは軽く手を挙げ、二森さんの方へ行った。
…なるほど。僕に勉強を教えてと言ったのは、僕に、二森さんがカルマに近づくための踏み台になってもらいたかったのか…。
でも、まだ違う可能性がある。初めて見つけたJK希少種。逃したくない…。
「頼む神様……。もし、私を助けてくださるなら、新約聖書3回読みます……。」
数分待ってカルマが帰ってきた。
「何の用だった?」
愚問なのは知っている。でも、とりあえず確認したかったのだ。
「二森さんが俺に告った。」
どうやら新約聖書は読まなくていいようだ。
「でも、断ったよ。女ってなんかめんどくせーじゃん。」
「そういや、カルマはそういう人だったね…。」
時間を潰されたことに不満そうな顔をするカルマに、僕は苦笑いで返すことしかできなかった。
「で、お前は階段下で何してたの?」
「な、特に何もしてないよ!」
「ま、いっか。帰ろうぜ。」
もう夕方になって、空は赤かった。放課後になったばかりのときは、白く光ってた太陽も、赤くなっている。
「太陽すら僕を馬鹿にするのか…。」
ため息が出た。
第6話 どの男も辛いよ