第3話 階段下のドラマ
「小早川瑠奈。好きなものは特にねー。めんどくさいことは嫌いだ。そんだけ。」
彼女の自己紹介は随分とあっさりしていた。なんだか無駄に緊張しちゃったな…。やっぱり彼女もそこらへんの女子となんら変わりのない人だったんだ。
「なあなあ、翔太。お前自己紹介聞いてどの子が良いと思った?」
僕に話しかけて来たのは、出席番号1番の赤山カルマだ。僕と彼は小学校の頃からの付き合いで、彼にだけは気を許せる。なんというか、人を安心させるスキルの持ち主なのだ。当然クラスにもすぐに溶け込んだ。そんな僕とは対極的な人が、俺と親しくしてくれる。そんなところも好きなのかもしれない。
「ビビッと来たのはないね。まあ鉄板の尾屋城さんと二森さんかな。」
「あれ?お前胸大きいの無理じゃなかったっけ?尾屋城さんいけるの?」
僕の好みも知っている。カルマは人のことをよく見ている。きっと彼のコミュニケーション力の高さはこれが一因だろうな。
「確かにどちらかと言うと小さい方がいいよ。でも、なんだか裏がなくて無垢な感じがいいかな。たらしって感じもないし…っと話はここまでにしようよ。HRが始まる」
時計を見てみると、HRまで残り1.2分となっていたので切り上げるとした。
「おう、んじゃ!」
カルマは手を軽くあげ、自分の席へと戻っていった。
放課後。来たぜ僕の学校での一番楽しみの時間が…!
毎週水曜日は職員会議がある。だから、放課後は教員がいないので、少々怪しい行動をしても何も言われないのだ。
「さあ、今日も活躍してくれよ…!僕の白下着判別双眼!」
かっこいいポーズを決めて、叫ぶ。どんなポーズかは勝手に想像してくれ。
パンツを見る方法は簡単だ。階段の下から、鏡を使って、間接的にスカートの中を見るのだ。これなら、上を見ずに下を見て、パンツを見ることができる。とはいっても、やはり少し怪しい行動なので、教員がいないこの曜日にしかできないのだ。
自分のスタンバイができた途端に、女子が階段にきた。
「おっ、来た来た。あれは…、出席番号26番の白巫女 霊夢と出席番号25番の時雨 魔理子か…」
観察開始。胸をドキドキさせながら鏡の中を眺める。たまらないなぁ、この時間は。とても良い
「白巫女さんは赤…なんだよ、白いのは名前だけか…。魔理子さんは黒か。セクシーだけど、僕はそんなの求めてないんだよな。」
僕は舌打ちをした。どうやら、今日もハズレだ。当たりを引く日は来るのだろうか。もしかしたら永遠に来ないかもしれない。それは困る、僕は彼女が欲しいんだ。
とりあえず、長居するのも危険なので、その場を立ち去ろうとした。
その時だった。
「ん?お前何してんだ?」
僕に話しかけてきた人は、小早川さんだった。
第3話 階段下のドラマ