第1話 始まる僕のwatching life
「出席番号33番の陽斗 影美さんは赤。出席番号28番の銭 夏芽子さんは青。出席番号34番の不二木 堕音さんは緑か…」
そう呟くのは、この僕、瀬戸 翔太。今月から高校2年だ。
僕が今何をしているかの説明をするために、少し話を過去に戻そう…
あれは高1の冬のこと。僕は、少し遠くに遊びに行った。その帰りの電車のことである?
「お前彼女いんのか?」
見知らぬおじさんに絡まれたのである。
しかし、おじさんの恋愛論はなかなか興味深く、僕はかなり惹きこまれていた。彼女との付き合い方だとか、綺麗な別れ方等々教えてもらった
そして、おじさんは最後にこう言った。
「嫁は吟味しろよ。」
僕は帰宅後、真っ先に父に聞いた
「父さんがお母さんと結婚した理由は何だったの?」
僕の母はもともと病弱だったらしく、僕を産んだ時に死んでしまったらしい。だから、僕は母のことを何も知らなかった。当時の僕は気になったのだろう、父と亡き母のことを。
「ちょっとこっちに来い。」
父は、僕を母の部屋へと連れた。見慣れた部屋だ。
父は、部屋に入ると真っ先にタンスを開いた。
「見ろよ、このパンツ…。白しかないだろう…。父さんはな、白のパンツしか穿かない。そんな清廉な母さんが好きだったんだ。」
訳のわからない話だと思うかい?ただ、僕は父の言うことを悪いことだとも、卑しいことだとも思わなかった。
だけども、こうは思った。僕も白のパンツを穿く女と交際をしたいと。
人間よくわからないものである。父の言葉を神の言葉と同等に思えた。
話を現在に戻そう。僕が何をしているか、もうわかっていただけただろう。嫁の吟味である。
「今日はダメだったな…。まあ、まだ新しいクラスは始まったばかり。クラスに女子はいっぱいいるさ。時間をかけてゆっくり眺めていけばいい。」
僕は激しくなる鼓動を抑えるよう深呼吸をして、続けた。
「女子のスカートの中をね。」
第1話「始まる watching life」 完