夢終わる時にまた会おう
テスト
改行とかを工夫して書いてみました
こうすれば見やすい、ここが見にくい等
アドヴァイス募集です
ふわふわと体が浮いているような感覚。
何も見えない、何も聞こえない。
そんな場所に一人……ではない。
誰かがいる。
なんとなく、それは確信できた。
「誰かいるのか」
何も見えないけれど、もう一人に向かって声をかける。
「誰ですか」
小さく、声が返ってきた。
ここに一人じゃない事が分かって少しほっとした。
だんだんと目が暗さに慣れてきたのか、視界が開けてくる。
「あなたは誰ですか?」
今度は少し大きく聞こえた。
まだ姿は見えないけれど、女性の声だと思う。
「俺はXXXXXXだ、……え?」
ふざけたわけではない、確かに俺は名前を言ったはずだ。
なのに、声にノイズが走り、全くわけのわからない言葉になった。
「なんと言ったのですか?」
「XXXXXXだって言って、……何でだ」
いきなり不愉快な気分になった、怒鳴り散らしたい。
大声で自分の名前を連呼する。
そのたびに、自分の声よりも大きいノイズが走る。
「なんでだよっ!」
一際大きな声をあげる。
大声をあげ続けたせいかのどがひりひりする。
「落ち着いてください。
落ち着いて考えないと分かる事も分かりません」
「っ!わかったよ!」
不愉快で、そこらじゅうに当たり散らしたい気分ではあるが
初対面の、それも女性に当たるほど俺も非常識ではない。
それでも、おさえきれない分が少し当たるような口調で出てしまった。
「XXXXX。なるほど、名前を言うとそこにノイズが走るみたいですね」
「そんなわかりきった事っ!」
「落ち着いてくださいと言っています!」
彼女の意見に声を荒げそうになるが、それを強い声で制される。
「とりあえず二人でいる以上名前はいらないでしょう。
ですから、もう名前の事は良いです」
「ああ、そうだな」
名前の事は良いと言われると、なんだか気が楽になった。
同時に冷静になって、今までしていた事が恥ずかしくなった。
「大声で叫んですまない、うるさかっただろう」
「別にいいですよ、おかげで冷静になれましたし」
目の前で怖がっている人がいると自分は怖くなくなる
とかそれと同じ原理だろうか。
「ありがとう、でもここはどこなんだ?」
「私にもわかりません、貴方もですか」
少しがっかりしたような声だ。
俺も似たような気分だからよくわかるが。
「まぁ、とりあえず一人じゃなくて良かった」
「ええ、そうですね。一人だったらおかしくなっていたかもしれません」
彼女の声から、頼りにしていますよ
みたいな気持ちが伝わってきた気がする。
いつもなら自意識過剰だ、と言って笑い飛ばすようなことも
不思議なことに、自然と受け入れられて嬉しくなった。
「そういえば、あなたって男の人ですよね」
「ああ、そういう君は女性だろう?」
「ええ、もちろんです」
あれ、おかしいな。
「何ででしょうか、私って男性恐怖症なんですけど
あなたとは普通に話せますね」
「そうなのか、たしか俺も女性恐怖症だ。
君と普通に話せるから忘れていた」
女性恐怖症と言っても、俺の場合そんな重いものじゃない。
良くて人見知りの延長程度だ。
「不思議、ですね。
ですけど、なんだか悪くありません」
「確かにそうだな」
そう言って二人で笑いあう。
いつの間にか、何も見えなかった世界は
光が満ち溢れていて
相手の姿もはっきりと見えるようになっていた。
「男の人と話すと、なんだかギクシャクして
あんなふうになるくらいならもう男の人と居たくない
って思ってしまうようになったんです」
「俺も似たようなもんだな
女性と居ると居心地が悪くてさ
だんだんと距離を作るようになっていったんだ」
世界の姿が変わった事に気付かないほどに
俺達は話す事が楽しかった。
だけど、別れは唐突に現れた。
「あれ?」
「あ、えっと」
二人して何かに気付いて
言いにくそうに言い淀む。
「気づい……たん、だけどさ」
「私も……です」
これは夢なんじゃないか。
漠然と心の中にそんな疑問がわいてきた
だけど、認めたくなかった。
楽しかった、嬉しかった
それを夢として記憶の底に埋めるのは嫌だった。
それでも、そうしなきゃだめだと
そう思った。
「なぁ」
「はい」
これまでとは違う短いやり取り。
きっとこれから言う事は分かっているんだろう。
「……夢、なんだよな」
「……はい」
そう言って、認めた途端に
世界は崩れ始める。
「なぁ」
「何でしょう?」
「また会えるよな」
「ええ、そう思います」
確信なんて無かった。
根拠なんて無かった。
それでも
彼女が認めてくれた。
それだけで十分だった。
「俺の名前は蒼咲 浩介だ。また会おうぜ」
「私の名前は春詠 百合です。また会いましょう」
そう言って、俺達の夢は終わった。
続きは気まぐれ