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東方白妖狐  作者: 火之迦具土
山と都
37/41

参拾参話 なよ竹のかぐや姫

待たせた割に短くてすいません


ー白詠siedー


屋敷の庭では、かぐや姫らしき人が月を睨むようにして見ていた


「後少しでこの場所ともお別れか…」

かぐや姫は呟くと手元の和菓子をつまむ


「……月に帰るのですか?」

驚かせないように声を掛けたつもりだったが勢いよくこちらを振り向く


「あなたは誰かしら?」

警戒心丸出しでこちらをにらんでくる


「……桜雫 白詠」


「………!! あなた、永淋が言ってた地上の狐!?」

やはり永淋のことを知っているようだった


「……永淋を知ってるの?」


「えぇ、私は蓬莱山 輝夜、月の都では姫をしていたわ……永淋は私の教育係りだったのよ、永淋はよくあなたの話しをしてくれたわ」


「……蓬莱山さんはどうして地上に来たのですか?」


そう聞くと蓬莱山さんはニヤリと笑みを浮かべた

「私はね永淋の作った蓬莱の薬を飲んで不老不死になったの、でも蓬莱の薬の服用は月では禁止されていてね、追放されちゃったのよ」


「……でも、もうすぐ月に戻るのでしょう?

「えぇ、あんなとこに帰りたくは無いのだけれど…」


「……何故ですか、月はここよりも豊かでしょう?」

そう言うと


「月は豊かよ……でもね、それ故に豊かさしか無いの……思いやりや慈しみ、嫉妬や怒りなどの感情が薄いのよ」


すると蓬莱山さんはこちらを向き微笑む


「あなた、私が逃げる手伝いをしてくれないかしら?

恐らく月からの使者には、永淋と軍の者数人だと思うから、軍の者を相手して…永淋はきっと分かってくれるから……」


「……分かりました」

思いのほか私があっさり承諾しすぎたせいなのか、驚いたような表情をしている


「頼んどいてあれだけど、ほんとに良いの?」

「……でも、永淋が居なかったら手伝いませんよ?」

私は無償で手伝うほど優しくはない、永淋には色々なことを教えてもらったりしたために助けるだけ


「それなら大丈夫よ、永淋は必ずくるわ……永淋は蓬莱の薬のことに責任を感じていたもの」


「分かりました、では満月の日に助けますね」

話に一段落つき一呼吸入れる


「……では、帰りますね」

「あっ、ちょっと待ちなさい」

帰ろうとした私を蓬莱山さんが引き止める


「もし、泊まるところがないならここを使う?」

ありがたい申し出だが狐の身故寝る場所は心配無用だった


「……大丈夫です、でも暇なときはおじゃましても良いですか?」


「しょ、しょうがないわね、良いわよいつでも来なさい」


「……ありがとうございます」

私は地面を蹴って飛び跳ねて行った



ー輝夜siedー


懐かしい月の都に帰ることに不満を持ちながら月を眺めていたとき、不意に声がかけられた

「……月に帰るのですか?」

抑揚があまりないが、不思議とハッキリと耳に聞こえる声だった、声に振り向くと其処には真っ白い髪に尻尾、少し影のかかった紅い瞳をもつ儚げな雰囲気の幼子が立っていた


「あなたは誰かしら?」

尻尾が有ることから彼女が妖怪であることが分かる、しかし目的が分からない


妖怪であるなら人攫いか殺害であると思ったがその妖怪の言葉に私は驚いた


「……桜雫白詠」


その名は月にいた頃の教育係りであった八意永淋から何度も聞かされた名であった


もし、彼女が本当に永淋から聞いたような妖怪なら私が月に帰ることを妨害してくれるかもしれない、そう思ったからきいた


「あなた、私が逃げる手伝いをしてくれないかしら?

恐らく月からの使者には、永淋と軍の者数人だと思うから、軍の者を相手して…永淋はきっと分かってくれるから……」


「……わかりました」


拍子抜けするほどあっさりと承諾してくれため、逆に怪しくなる


「頼んどいてあれだけど、本当に良いの?」確認に聞くと


「……でも、永淋が居なかったら手伝いませんよ?」

彼女はそう言った


しかし、それは心配する必要がなかった、なぜなら永淋は責任を感じていたからだ、蓬莱の薬のことを、そしてそれを飲んでしまった私に対しても・・・ 


「それなら大丈夫よ、永淋は必ずくるわ……永淋は蓬莱の薬のことに責任を感じていたもの」


「分かりました、では満月の日に助けますね」



そこで話は一区切りついた



「……では、帰りますね」

彼女はそう言って背を向ける


私は彼女ともう少し話をしていたくなっていた、下心も何もなくただ儚げな雰囲気のこの妖怪のことをもう少し知りたくなったのだ


「もし、泊まるところがないならここを使う?」

気がついたら彼女を引き止めるための案を出していた


「……大丈夫です、でも暇なときはおじゃましても良いですか?」

彼女は表情も声も変えることなく言ったが、私はなぜかそれに安心した、彼女は必ず来てくれるだろう、と


なら、私はそれを待てば良いだけなのだ


「しょ、しょうがないわね、良いわよいつでも来なさい」


彼女はその後暗い都の方へ跳んでいった


私は不思議とすっきりとした気持ちになっていた、久しく人と本心で接していなかった為だったのかもしれない


何だか、明日からも待ち受けている貴族の求婚地獄にも耐えられそうな気がしてきた


「さて、と私も眠らないと・・・」


私は月の都には絶対に戻らない、自分の心を確かめると泥のように眠りについた・・・



受験が忙しくなってきた為様々な部分で遅れるかもしれません、すいません


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