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東方白妖狐  作者: 火之迦具土
山と都
36/41

参拾参話 スキマの話し

ー白詠siedー


ーーーー私の式にならない?


目の前にいる、どこか胡散臭い雰囲気の妖怪

、八雲紫さんは扇子で口元を隠しつつ微笑んでいる




「手伝うことはしたいです…でも……式は嫌です」

「何故かしら?」


理由を聞かれて思い浮かぶのは、鬼乱や咲耶姫の顔

「………帰る場所があるので」



ー紫siedー



帰る場所があるーーー


そう言った目の前の妖狐の強い瞳に引きつけられるように、一層この妖狐を式に欲しくなる


「そう……なら、帰る場所を無くしたらこちらに来てもらえるのかしら」

そう言った瞬間、妖狐の暗く赤い瞳が一瞬紅くなる


「………………。」

気がついたら妖狐の尾は八本に増えて、腰に差してあった刀を私の首もとに添えていた


私も大妖怪と言われる場所にいるため、式の話しを蹴られた上、格下相手にこのようなことをされるのは、少しばかり頭にくる


「それじゃあ、あなたを痛めつけてからあなたを式にして、帰る場所を無くしましょう」

私は言葉を発しつつ、能力で作った空間の狭間『スキマ』に潜り込み、首もとの刀の一線を避ける


そして、妖狐の上空にスキマを開き、死角から大量の妖力弾を雨のように降らせる


妖狐の妖力を感じとると、先程の場所から動いていない、大妖怪である私の弾幕をもろに受けたなら、かなりの痛手だろう


未だに砂埃のまう地上を見ながら呟く

「あら、呆気ない」


「………二藍」

しかし、妖狐は何の傷もなく砂埃の中から攻撃をしてきた


二つの大きな衝撃波をスキマで避ける


そして、今度は妖狐のすぐ後ろにスキマをひらき、背後からの攻撃に反応しきれなかった妖狐の体を思いっきり蹴り飛ばす


「…うっ………」

妖狐は少しうめきながら吹き飛ぶが宙に浮いて体をたてなおす


「甘いわね」

宙に上がった妖狐の上をとり、腕を妖狐の頭に振り下ろす

「………っ!」

腕を交差させて防いだが勢いを殺しきれず地面に落ちていく


「これはどうかしらね」

スキマを開き、中から巨大な岩や石などを妖狐に向かって落としていく


それらを妖狐は横に飛ぶことでぎりぎり回避するが、その進行先にスキマを開いて現れる

「………!」

驚いたのか一瞬飛行速度が落ちる、その瞬間に爪を立てた手で、妖狐の腹を突き破る


妖狐の顔にくちを近づける

「安心して…殺しはしないわ」




「……それはありがたいですね」




突き刺していた妖狐の体が砂や霧のようになくなり、背後に現れた本体に喉を掴まれる


「…うそ?」

驚いた一瞬の隙をつかれて、妖狐の持つ刀が喉に突き刺さる

「ガッ! あ…あぁ……あぁぁああっ!!」

そして続けざまに何度も何度も斬られる、激痛から意識がなくなり瞼を閉じる






『パチッ!』


空気が割れるような音がした


「………ハッ!」

目が開くと妖狐は居なくなり自分だけが立っていた、周りには弾幕などで傷ついたはずの地面もなく、綺麗なものだった


眠りから覚めたような気だるい感じがするなか、自分の喉に右手で触ってみるが何の傷もない、斬られたはずの体も傷一つ無い


其処から導き出される答えは一つーーー


「…………化かされた?」

いつから幻覚を見ていたのか思考を巡らせていると声が聞こえた


私の居場所は壊させないよーーー


「っ!!!」

空耳か幻聴だったのかもしれないが、あの妖狐……白詠の声がきこえた


「ふふふ、ますます欲しくなったわ……でも今は、他の候補を回りましょう」

とりあえず今しばらくは彼女のことは諦めましょう


「次に会うことを楽しみにしてますわ」


私はスキマの中に入っていった



ー白詠siedー


八雲さんに能力つかって幻覚を見せた後、そのまま都に向かって急いで移動していたため、都が少し先にみえる


……今回は狐の姿でいこう


狐の姿になって都を守っている衛兵の隣を駆け抜ける


「あっ…!」

衛兵は気づいたのか声を上げる


「どうした!」

奥にいたもう一人の厳つい衛兵が声を上げる

「いえ、狐が一匹入り込んでしまって…」

「狐の一匹ぐらいほおっておけ……脅かしよって、妖怪が出たのかと思ったわい」







入り口から衛兵たちの声が聞こえない距離まで離れると、落ち着いて周りを見渡す


周りには、前世の教科書で見たような建物や美味しそうな甘味処、腰に刀を差した人もいる


ひとまず甘味処の赤い長椅子の近くに座り込んで休む






ーーーそういえばお前、かぐや姫を見たことあるか?


ーーーばかいえ!見たことあるわけ無いだろう……まさかおまえみたのか!?



少し眠りそうになっていた時、そんな会話が聞こえて目が覚める、周りはもう暗くなり始めていた


どうやら二人の男がかぐや姫についてはなしているらしい


「この先にあるかぐや姫の屋敷の周りを少し歩いていたとき、本の一瞬だったが確かに見たぜ」

「それで、どんな感じだった?」

「もう、噂に違わぬ美しさでなぁーーー」


その後も男達は話していただろうが、かぐや姫の屋敷の方角が分かれば十分だったので、甘味処の椅子から離れて歩き出す


休んでる最中もそうだがやはり狐は目立つらしかったので、建物の上をばれないように駆けていく


しばらく走ると大きな屋敷が見える、あれがかぐや姫の屋敷だろう



私はその屋敷に引き寄せられるように近づいていった………

いつものことながら、更新が遅くてすいません


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