弐拾捌話 鬼の双肩
ー白詠sideー
星熊さんとの死合いが中断された後、星熊さんと一緒に鬼百合さんに連れられて、鬼の居住地の中を進んでいった
「勇儀!あなたは、相手の話を聞いて、キチンと理解してから動きなさい!」
移動中、星熊さんは鬼百合さんに説教をされていた
少し前になるがその説教の途中で、先程の誤解は解けて、星熊さんは鬼らしくきれいさっぱりなかったことにしていた
その星熊さんは
「アハハ!悪かったね白詠」
と、鬼百合さんの説教を聞き流して、私に笑いかけてくる
正直、鬼百合さんが此方を睨んでいるので鬼百合さんの話を聞いていてほしい
「さぁ、私の部屋につきましたよ、 勇儀、萃香とでも、戯れていなさい・・・少し、二人で話したいので」
またねー 手を振りながら星熊さんは出ていった
「さてと・・・今日はどうしました?
それと勇儀の実力はどうてした?」
百合姫さんはこちらをのぞき込むようにして聞いてくる
「・・・今日は、昨日の分のあいさつを」
一拍おいて
「・・・星熊さんは力もあるし、頑丈、だけど少し単調だった」
そう答えると 、百合姫さんは苦笑いでうなずく
「そうなのよ、あの子は本当に鬼らしい鬼だから・・・そうだ、あなたは親睦を深めたいのでしょう?」
その問いに頷く
「鬼の四天王を決めるのをみていかない?」
百合姫さんの話では、四天王は今二人だけらしい、先日までは百合姫さんもいたが、頭領となり四天王ではなくなったらしい、それで、新しい四天王を決めるため、鬼同士の戦いを行うということだった
時は日が沈み夜
山の広間では、鬼がひしめき合い酒を酌み交わしていたり、これから戦うというのに力試しをしているものなどがいた
「白詠、酒は飲み過ぎたらダメだよ」
そんな鬼の多い中私は、広間を一望できるほかの場所より少し高い所に座らされていた
右に鬼乱、左には百合姫さんといと元・現頭領が酒を酌み交わしていた
「そろそろ、始めましょう」
百合姫さんはゆったりと立つと二歩、前にでる、そして、足を少し力を入れて地面を叩く
『ドンッ!!!』
「良いですか!今から四天王を決めます、決まり事は一つ、手近な者と戦い最後の二人となりなさい!負ければ鬼らしくきれいに諦めて広間の外へでなさい!」
『うおぉおぉぉお!!!!!』
山全体を揺るがすような叫びをあげて、鬼達の戦いが始まった
「おらぁ!」
「ぎゃあぁ!」「くらえ!」
少し経つと誰が強いのか見えてくる
中でも強かったのが昼に戦った星熊さん、
それともう一人、頭にねじれた角が二本ある小柄な鬼が目立っていた
星熊さんは相手の攻撃を受け止めて、殴り返して、小柄な鬼の少女は霧のように霧散して後ろから殴るなど、かなりトリッキーだった
「沙羅、あの二人は誰だい、私がいたころは見なかったが?」
鬼乱が百合姫さんにきくと
「大きい方が星熊勇儀で、小さいのが伊吹萃香・・・二人とも若いけど、能力にも才能にも恵まれている、期待の子供です」
「・・・子供?」
百合姫さんにきくと、
「私は鬼子母神、生まれ持った体質のようなもので、鬼が産まれることがあるのよ」
「・・・鬼乱は?」
この問いには鬼乱が応えてくれた
「生物の恐怖が妖怪を生み出し、力となる私はそういう根元的な恐怖から生まれたから、沙羅から生まれわけじゃないし、鬼を生み出せない」
「三歩必殺!!!」「三歩壊廃!!!」
伊吹さんと星熊さんの両方の声が響いたと思うと、広場の鬼で立っているのは二人になっていた
隣にいた鬼百合さんが立ち上がり
「これにて、鬼の四天王の空席であった二つがうまった! 萃香・勇儀こちらへ」
鬼百合さんに呼ばれて、二人がこちらにあがってきた
ー萃香sideー
鬼の四天王になるためというよりは、自分の力を試すため戦っていたら、勇儀とともに最後の二人となり頭領によばれた
「あなた達の実力を見せてもらいました、これからは鬼の四天王である自覚を持ち生活してください・・・と、形式を終えたところで何か望でもありますか、できる限り叶えますよ?」
つまり、四天王のお祝いという事なのだろう、そういうことなら一つ気になることがあった
「頭領達の隣にいる妖狐と戦いたい」
私はそういった
「・・・私?」
頭領達の隣に座っていた白い妖狐はそこまで強そうにはみえなかったが、元頭領が連れてきたということは、何かあると思ったのだ
「白詠、どうするんだい?」
「・・・やる」
白詠と呼ばれた妖狐は軽く跳ぶように広場に降りると此方を振り返る
「・・・桜雫 白詠、よろしく」
自己紹介なのか、名前を教えてくれる
「私は、鬼の四天王の伊吹萃香! さぁ、いくよ!!」
私も名乗りをあげて、白詠との戦いを開始した
更新遅れてしまいすいませんでした。




