弐拾睦話 鬼の根城
ー白詠saidー
諏訪子に別れを告げぬまま別れて数日、鬼乱が連れてきてくれたのは、山だった
「ここが良い所さ」
もの凄く得意そうに言う
「ここってどんな場所?」
そう聞くと
「鬼の住処」
そんな話をしていると、後ろから鬼が一匹出てくる、そして、鬼乱を見て驚いている
「と・・・頭領!」
「おう、今帰った」
鬼乱は、一言二言話すと
「全員集めろ・・・鬼子母神は絶対こさせろ」
鬼乱がいうと鬼は空気を思い切りすいこむ
「頭領が帰ったぞぉぉ!全員集まれぇえ!!」
山全体に聞こえるぐらいの音量だった
少しすると、あちらこちらから鬼がでてくる、腕が六本の鬼や角が二本や一本の鬼、そんな中で、
一際力の大きい一本角で、淡黄色の髪をした、薄い紫色の着物に身を包んだ、人間に近い女性の鬼が前にがでてくる
「呼びましたか、頭領」
その鬼は鬼乱に話しかける
「あぁ・・・よく聞け、これから鬼の頭領はお前だ」
その発言に周りの鬼が驚く、勿論私も驚いた
「・・・何故ですか?」
女性の鬼がきくと、鬼乱は私の頭を撫でながら
「私はこの子と一緒に生きることにしたからねぇ・・・それに、頭領なら私よりあんたがふさわしいと思ったんだよ」
その女性はこちらを見ると
「その妖獣は?」
と聞いてくる
「この子は白詠、私の家族さ」
「・・・桜雫白詠です」
「心配しなくとも、この山には居るから、困ったら呼びな」
鬼乱がそう言うと、女性はため息をつきながら頷く
「はぁ~~、分かりました、この鬼子母神、『鬼百合 沙羅』鬼の頭領になりましょう」
そうすると鬼乱は、待ってましたとばかりに私を抱えて走り出した
「後は頼んだよ、沙羅!・・・白詠、幻覚で私達の姿を消して」
最後の方を小さめにいう
「術式 幻」
鬼乱に抱えられて、すこし走っていると、目の前に洞窟が見えてきた
そこで鬼乱は私をおろしてくれる
「白詠、この洞窟の入り口に、飛びっきりの幻術をかけてくれ」
私は言われたとおりにするため、十尾になりかなりの妖力をかけて、結界と術式を混ぜたものを洞窟の入り口にかける
「これで、私達以外はあまり入って来れないと思う」
幻術で他の人妖には洞窟の入り口が岩に見えるだろう
「ありがとう白詠、さぁ、中にはいるよ、この中は迷路のようだから手を離さないで」
鬼乱に引かれる形で洞窟に入る
洞窟の中は、薄く青白く光る発光する苔が所々にあり、思ったより暗くなかった
しかし、鬼乱のいうように中は迷路だった
しばらく歩いて奥に進むと、水の香りがした「もうすぐ着くよ」
鬼乱が言うように光が強くなっていた
「わぁ・・・・・・」
思わずそう呟いてしまう
そこは、十分な空間があり、中心には少し大きいが澄んだ泉があり、水の青色が洞窟の壁に反射してとても幻想的だった
「その泉の中心に、咲耶姫から貰った種をいれな」
着物の袖から、種を出し泉の中心まで飛んでいき・・・泉に沈める
「・・・はぁっ!」
鬼乱が泉全体に妖力を流す
すると、泉の中心から桜の木が伸びる
しばらくして、とても大きい桜の木になると、今度は花が咲き乱れる
その桜の花が咲き乱れるのにあわせて、泉のいたるところに、中心より少し小さめの桜が伸びる
そして・・・・・
中心の桜に光が集まり、人の形をとっていく
やがて、光がおさまると懐かしいピンク色の着物が見えて、私は駆け出した
「・・・咲耶姫!」
飛びついて、着物に顔をうずめるように泣いてしまう
「久しぶりねぇ、白詠それから鬼乱」
咲耶姫は私を抱き上げると、鬼乱の前にたつ「ありがとう、二人共・・・ただいま」
少し泣きそうな笑顔の咲耶姫の耳に
「「おかえり」」
私と鬼乱二つの声が重なった
今年は余り更新できなかったのですが、来年は受験のためもっと遅くなるかもしれませんが、努力はしていきたいです
一年間見てくださりありがとうございました、来年も良ければ見てください
それでは、良いお年を!




