拾睦話 木葉之咲耶姫
ー白詠sideー
しまった・・・二人を結界に閉じ込めたまま寝ちゃった
結界の方を見ると・・・そこは、ひどい有り様だった
「お~~、起きたのかぃ白詠ぃ~」
「あらぁ、おはようぅ~、ございますぅ~」
酔っ払いが二人いた
「二人とも何でそんなに酔ってるの」
二人の足下にはいくつかの酒瓶が転がっている
「いやぁ~私の持ってたぁ~酒でねぇ~」
鬼乱、原因は貴方ですか・・・まぁ私が寝たのも悪いか
「『解』」
結界を解除する
「ごめんね二人とも・・・」
私が謝ると
「もぉ~可愛いなぁ~~」
咲耶姫が撫でようと手をあげる
「!!」
私は無意識に一歩後ずさる
それを見て鬼乱が咲耶姫に真面目に説明してくれる
「・・・この子は少し初対面の者を恐れちゃうんだよ、少し昔に色々あってね」
「あらぁ、そうなのぉ~まぁ慣れるまでまつわぁ~~・・・」
そのまま、咲耶姫はその場に寝転び寝てしまう
「白詠、この神は今までの神とは違うよ、少しずつ慣れていきな」
私は自分が未だに人間であった頃に支配されていることを感じたのは旅に出てすぐのことだった・・・
『まあ、可愛い子だね』
妖怪を怖がらない優しそうな人間のおばあちゃんが撫でようと手をあげると
『何で、お前が生きている!!』
あの男の影とかぶり、体中から汗が噴き出し身体が震えた
少しずつ、本当に少しずつ慣れてはいるが不意であったり予想外に近づかれたりすると すぐ無意識に下がってしまう
寝ている咲耶姫をみる
『この神は今までと違うよ、少しずつ慣れていきな』
鬼乱の声がよみがえる
「・・・ねぇ、鬼乱この神様は他の神様とどんな風に違うの?」
そう鬼乱にきくと
「まあ、冗談が通じるしこちらの話を聞く心を持っている。だから結界の中で酒を二人で飲んでいたんだ」
「明日・・・この神様と色々話そうかな」
ー鬼乱sideー
照れているかのように頬をかく白詠を見て少しだけ安心した。
この子が自分から他の神に話しかけようと努力して自分自身の過去から抜けようとしていて・・・
「・・・そうだね、明日咲耶姫が起きたら色々しゃべってみな」
「うん」
白詠はそう頷く
「さて、私達も寝ようか」
私は近くの岩にもたれて隣を
『ポンポン』
と叩く
「・・・隣いっていいの?」
そう言った白詠を近くに座らせて目を閉じる
ー咲耶姫sideー
「・・・・・・眩しい」
眩しい光を浴びて目が覚める
自分が昨日外で寝てしまったことを思い出した
「あの二人は・・・」
二人を探して周りを見渡すと・・・いた
岩にもたれて隣同士で、白詠は鬼乱の肩に首をのせて、人間の親子・・・それか姉妹のように見えた
それがまた目の前の二人の妖怪が他の妖怪と違うことがわかる
「ふふっ」
無意識に笑ってしまう
人を襲うはずの妖怪が人と同じように寝ている、その事がおかしくて笑ってしまった
「うぅん、朝か・・・咲耶姫さんおはようございます」
目の覚めた白詠は私に挨拶した
「はい、おはようございます」
そうだ、この子は初対面の人などを恐れてしまうと言っていたから・・・何かお願いを聞くなりして親睦を深めよう
そうと決まれば鬼乱が起きたら実行しましょう
少し経つと鬼乱も起きたので
「朝餉も含めて、社の方へ行きませんか?」「・・・私達は妖怪ですけど、良いのですか?」
白詠が不安げに聞いてくる
「ダメなら言いませんよ、さあさあ入って下さい」
「じゃあ、お邪魔しようか」
「お茶しかなくてごめんね」
そう言いながら人数分のお茶をだす
「・・・すいません」
そう言ってお茶を受け取る白詠、一方鬼乱は「酒はないのかい?」
「鬼乱、失礼だよ」
白詠に注意されていた
「ふふっ」
また、思わず笑うと
「何が可笑しいんだい?」
と聞いてくる
「何でもないですよ、それより白詠・・・」名前を出すと白詠はこちらを不思議そうに首を傾げて見てくる
「何かお願いはないですか?」
「・・・・・・・?」
唐突すぎたらしく余計『?』マークが増えるそこで鬼乱が心中を察したように助け船を出してくれる
「つまり、咲耶姫はあんたと仲良くなりたいのさ」
「・・・でも、願い事なんてないよ?」
「白詠、なら刀の事を相談してみな」
ひとしきり鬼乱と話すと白詠は着物の袖から柄と鍔しかない刀の残骸を出すと
「・・・前に壊れてしまったのどうにかなりませんか?」
私は刀の残骸を手に持つ
「・・・これなら、どうにかなるかもしれない」
そういうと白詠は
「本当に?」
と嬉しそうに言ってくる
「えぇ、子供たちに頼んで材料を集めてもらいます」
こうして私は白詠のために刀を直すことにした
「そういえば、その袖の中どうなっているの?」
「妖術の応用で空間を変化させて色々入るようにした」
更新遅れてしまいすいません。
これから夏休みなので多少は更新を多くしていきたいです。
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