玖話 別れ
ー永琳sideー
白詠とあって三ヶ月ほどが経過した。
その間の白詠の技術の進歩に驚いた
1日目に渡した本やその後に渡した本の内容を理解し自分でそれを応用するまでになった
「・・・八意さん、他の本はないですか」
そして、今家にある本を全て読み尽くしてしまった・・・私の持っている本の量はどちらかというと一般より多いと思うのだけれど
「じゃあ、あなたの好きそうな本を探しに行きましょうか」
ー白詠sideー
八意さんに連れられて都の中を歩いているが人として生きていた頃にも見たことがないものが多く歩き回って見ているだけでも飽きない
そんな私を見てか八意さんは
「欲しい物があれば本意外でも良いからいって言いわよ」
と言ってくれる
・・・何だか八意さんに子供扱いされている気がする
そんな事を考えていると目的地に着いたらしい
目の前にはとても大きいビルしかし、人の気配がない
「好きな本が見つかったら教えて、このボタンを押せばいいから」
と言いケータイのようなものを私に渡した
『・・・コクッ』
私は頷いてビルの中を歩き出した
数分歩き回って本を探していると『月面移住!』と大きくかかれたポスターを見かけた
(後で八意さんに聞いてみよ)
そんな物も見ながら本を探していると
『国語•漢字辞典』
と書いてある厚い本を見つけた
(幻の字を表した言葉をさがさなきゃ)
~数時間後~
読みたい結界の本や知りたい情報も調べられて満足した
「・・・八意さん『月面移住』について少し教えて下さいませんか」
そう聞くと八意さんは少し考えて
「そうねぇ・・・教えても良いけど条件があるわ」
何だろうと私が色々思案していると
「その他人行儀な敬語をやめて頂戴」
・・・・・・その位なら
「・・・わかりまし・・分かったよ」
「よろしい、少し長くなるから家に帰ってからね」
~八意家~
『コトッ』
家に着くと八意さんは自分と私の前に紅茶の入ったティカップをおく
「長くなるからね」
と警告してくれる
「・・・うん」
「まずは私達のこの都のことからなんだけど白詠はここ以外の町や人の集落を見たことはある?」
そう聞いてきたので、頷いた
「そう、じゃあこの都がほかの場所に比べて発展しているのは分かるわね?」
これにも頷く
他の場所は都などというよりも集落や村といったほうがいい原始的な生活だった
「私達都の人間は死ぬ事を恐れていた、例え能力のある者も腕の良い医者でもいつかは死んでしまうそんな定めにうんざりしていた」そこで一呼吸する
「そんな中、一定範囲の生き物の時間、つまりは寿命を延ばす能力を持つものが生まれた、その能力を使って私達は長く生きて、多くの天才と意見を交わし今のような都を築いてきたの・・・でもその能力を持つ人がもう少しで寿命で死んでしまうの」
私は黙ってはなしをきく
「元々この地上にある『穢れ』それが私達の寿命の原因だと分かった私達はその『穢れ』のない場所を探した・・・そして見つけた場所は月だった』」
八意さんが紅茶を一口飲んだので、忘れかけていた紅茶を私ものむ
「そして、私達はこの都を破棄して月へ行くことにした、方法はロケットと呼ばれる科学物でとんでくの」
そこで、八意さんはとんでもないことを私に言った
「この都を破棄する、って言ったでしょ具体的な方法はこの都にある全ての物を消し飛ばす位の『核兵器』または『爆弾』よ勿論この都だけにはとどまらずあなたの居た山も消し飛んでしまう」
一瞬私の中で時がとまった
「・・・・・えっ」
信じられないことを聞いて背中から汗が吹き出る感覚がする
「・・・どうして・・そんな事・・」
「どうせなら今まで、苦しまされていたことへの仕返し、ってところかしら本当に上は馬鹿なことを考える」
『コトッ・・・』
ティカップの置かれたおとがする
「白詠、もし良かったら私と一緒に月へ行かないかしら?
私の権力を使えばあなた一人ぐらい月へ連れて行くことを許可させることも出来るわ」
八意さんの提案に対して
「・・・私には待つべき妖怪がいるから行けない」
そう答えた
「・・・でもあなたはここに居れば死んでしまうのよ、それでもいいの?」
「・・・私にその妖怪は生き方や力の使い方、そして温もりをくれて・・・そして家族になってくれた」
そこで私は一呼吸置いて
「もし・・・私が死んでしまうとしてもその妖怪は絶対に守ってみせる」
「この周囲が消し飛んでしまうほどのものでも?」
「どんなものからでも」
ー永琳sideー
白詠の目は決意に満ちていた
月面移住のとき白詠と行けたら良いのにと思っていたが諦めるしかないようだった
「なら、早めに山へ戻った方がいいわ、あと二週間程度で妖怪と月面移住しない都の兵力がぶつかるわ」
白詠は驚いたような顔をしたが
「・・・分かった、すぐ山へ戻る」
そう言うと椅子をたって私の方へ振り返った
「ありがとう楽しかったよ・・・『永琳』」
あってから初めて名前をよばれた
その時の初めて白詠の笑顔をみた
その笑顔はとてもきれいで、去っていく白詠に声をかけることも忘れて息をする事も忘れていた
『ありがとう楽しかったよ』
その言葉だけが頭に残っていた・・・
中途半端に終わってしまいすいません。
更新不定期ですがが見守ってください。
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