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よくある異世界転生モノ  作者: 向ヶ丘こよみ
僕らの研修旅行とストーカー
25/37

第24話:「お前ら頭大丈夫か」

「眠いな…」

「そういうなって、シキ…ふああ…」

「うう……何でこんな朝っぱらから…」

 研修旅行に行く前。僕たちは朝早くから何時も僕が朝に魔法の練習をしている場所、つまりは訓練所に僕達1年生は僕が起きる時間の2時間前に集合していた。

 10歳やそこらの男女にそれはきついだろう…と、思っていたがこの2時間後に起きている僕も大概らしい。

 色んなクラスの人等はともかく先生であるシルク先生までも眠そうな顔をしている。

「やっほーシキ。タカミチ君」

「おー……セルフィ……おっはー」

「おはよー……ストライフさん」

「あはは……二人ともすごい目だね……」

 逆に何でお前はそんな元気なんだよ…。と聞きたかったが、それを聞く気すらも起こらなかった。

「あれ?3人とも。もういたんだ」

 10日による研修旅行のため、女子なアイちゃんは3つのカバンを持ち少し眠たげな顔をして登場した。

「なんでお前らAクラスはそんな眠くなさそうなんだよ…」

「私たちはちゃんと寝ているからな。ミカドあたりは眠そうにしていたぞ」

 今度はグレンがきた。彼もいつものような格好でバックを2つ持っていた。かっこいい。

 ……心なしかいつもより髪の毛がぼさぼさな気がする。

「おっはーグレン。早いなあ」

「私はこれでも生徒会庶務だからな。色々準備があるんだ。それに研究所の仕事もあるし」

 すると、彼はごそごそと自分のバッグを探りだし、中から液体の入った小瓶を取り出した。

「これ。私が徹夜するときの御用達の眠気覚ましだ」

「へえ?…これラベル入ってないけど大丈夫か?」

 レンが不安そうに言う。

「ああ。私が作ったからな。当たり前だ」

「「お前が作ったの!?」」

「ライボルト家たるものこれぐらい作れなくてはな」

「ライボルト家って…・・・貴族なんだよな?」

「ああ。ま、私たちの場合は魔導具や魔術の開発しかしてないから一般の貴族とは少し違うかもしれない」

家の話になったとたん少し不満そうな顔をしながらグレンはそう言った。その表情は少し影があるきがする。

「あれ?そういえば、ここにいる中で庶民の出って俺とアイさんだけだな」

「ふえ?そうなの?」

 と、男受けしそうな間抜け声をアイちゃんは上げた。

 そういえば、ライボルトに聞いておいて僕とセルフィが一応貴族の出というのをすっかり忘れていたよ。うん。

「ま、私の父様と母様だったり、ユフィさんとクロウさんはあんまり貴族って感じじゃなかったからね」

「確かになあ…僕の母様に至っては、お父さんにずっとついて行った結果いつの間にか英雄になって貴族になっていたって言っていたしな」

そう考えると、あの地区にいる貴族ってみんななにかおかしかった気がするなあ。裏があるとかはないとは思うが、特殊だったんだろうか。

 最初は怖かったセルフィのお父さんに至ってはただの親バカだったしなぁ…。

「……お前たちは両親に恵まれているな」

 ボソリといったその一言はおそらく僕にしか聞こえていなかったのか、誰も反応しなかった。そのすぐ後に自分の言葉をかき消すように「私の場合は近所大人は皆我が一族に媚びたりする典型的な愚か者ばかりだったからな。うらやましいかぎりだぞ!」と少し硬い笑顔を僕たちに見せた。

 まあ、いろいろ訳があるのだろう。今は聞かないでおくことにしよう。

「む。そろそろ行かなくては。生徒会の仕事がまだ残っていたんだった」

「そ、そっか…あのさ。グレン」

「なんだ?シキ」

「み、向こうでは庶務の仕事とかもなくなって自由になれるんだろ?」

「ん?ああ。そうだが」

「じゃあ、向こうで気楽にしようよ。それまで頑張って!」

 僕がそう言うと周りの人たちが赤面する。一体どうしたというのか。

「…ユフィさんの気持ちが今ならわかる」

「…セルフィ。あんたがアリオンク君気に入った理由が一つ分かったわ…」

「シキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だシキは男だ」

「…ああ。そうだな。向こうで落ち合おう////」

「お前ら頭大丈夫か」




 グレンはあの後どこかに行ったもののこれでいつもの昼飯のメンバーである。あいかわらずみんなの視線が痛いが。

 ――?

なぜか妙に熱い視線を視線をCクラスの方から感じた。3人は気付いていないようだが、なんだろう。嫌な予感がする。

 それともただの思い違いだろうか?

 因みに、さっきの眠気覚ましはレンと僕ともにポケットに入れておいた。怖いので、使う気にはならなかったのだけれど、捨てるというのも荒れだしポケットの忍ばせておいたのだ。

「よーし。みんな集まったな!」

 学年主任である先生。Cクラス担任ザリク・アンカー先生は大きな声でそう言った。その声に反応してその場の生徒皆が学年ごとの列に戻る。セルフィアイちゃんもおとなしくその声でAクラスへと戻っていく。

「理事長様からのお言葉をいただき次第飛行船に乗って出発するぞ!」

 どうやら行く前に理事長先生からのあいさつがあるようだ。校長先生のお話のようなものだろうか。アンカー先生の紹介に合わせて理事長先生が出てくる。

「えー、皆さんと顔を合わせるのは今日がこれで初めてでしょうか?…一部顔見知りの人もいるでしょうが」

 にっこりと天使の笑顔を見せつつ、ちらりと僕の方を見る理事長先生。Eクラスの生徒の一部が、ざわざわと少しざわめく。

 レンは僕の方を半目でじっと睨んでいる。怖いです。

「皆さんがこれから行く場所は空に浮かぶ都、空中都市『オリオン』です」

 メガラニカ、ムー、アトランティスときてこんどはオリオンときましたか。

「10日間という長い間ですが、現地の方々、宿の方々にご迷惑をかけないように生活してください。ではでは、もっとお話ししたいのはやまやまですがそうなるとお話が長くなってしまうのでこれくらいにしますね!怪我もしないように元気な姿で王都に戻ってきてください!」

 理事長さんの素敵な笑顔に男女関係なくほわーんという空気が漂う。僕も思わずだらけた顔をしてしまった。

 これはシルク先生より上の癒し効果を持っているかもしれんな。キリシア先生。

「では、私のお話は以上です」

 ぺこりとお辞儀した後そそくさと去っていく。理事長らしからぬ姿勢にも、どこかむず痒い気持ちが……ハッ!ま、まさかこの気持ちが萌えというものか!?

「それじゃー、Aクラスから順番に飛行船に入ってくださいねぇー」

 去っていたキリシア先生の背中を見送るアンカー先生も理事長先生の空気にキリッとしてたはずなのに、少しだらけた顔をしていた。

 …あれは状態異常か何かなんだろうか。

 その後、アンカー先生の指示で、ABクラスとCDEクラスにそれぞれ分かれ、飛行船に乗っていく。

 こういう存在があることは知っていたけれど、何というか、実物を見ると本当にファンタジーだと感じられた。

1時間弱ほど飛行船に乗っている間レンとずっと駄弁っていたが、その部分はカットさせていただく。

 しかし、一つ気になっていることがあった。

Cクラスの方からいまだに視線を感じるのだ。くるくると見渡すと、すぐにその気配は消える。が、しばらくしてその視線が僕の方に向く。

「…」

「どうした?」

「いや。なんでもない」

 20分ほどして今度は殺意が突き刺さる。

背中に冷や汗を流しながらそのあともまた駄弁り続ける。




「おお…」

 1時間半ほどの長旅の末僕たちはメガラニカ大陸の5本の指に入る名所へとたどり着いた。空中繁華街と呼ばれる賑わいのある通りが所々に並ぶ空中都市『オリオン』と呼ばれている。この地区を収めるのは唯一王三世の5女の…えっと……ごめん名前覚えてない。

 まあそれは置いておいて。

 飛行船を下りた僕たちが最初に案内されるのは僕らが泊まる宿だという。この時期には、大きなお祭りや闘技大会があったりする為、観光客が非常に多いらしく、そのためか、一際多い人の波の真ん中を行く中、案内される僕らには「王都学院学園の生徒」という興味と尊敬の視線が送られてきて少し落ち着かないものとなった。

 最近建てられたという僕たちが泊まる宿「ホテル バルバラード」は、なんでも土地を理事長先生が直々に購入し、そこにこのホテルを建てたらしい。…さすが王族は財力が違うな。

 街並みを観光しながらホテルへとたどり着く。

前もって一緒に泊まる部屋を決めていたレンと僕の二人は部屋に荷物を置き、ロビーへと向かった。

 …外に出て数十歩でまたもや視線を感じる。

「なあ。レン」

「ん?どうした。シキ」

 ロビーに向かいながら、レンに視線について思い当りがないか直接的にではなく間接的に聞いてみる。

「お前最近何かしたか?」

「はあ?ずいぶんアバウトな質問だな……何か…なあ」

「なんでもいいんだ」

「…女子のスカートが偶然捲れておパンツ様を偶然見てしまったこととか?」

「……それは相手の女子に気付かれているか?」

「いや。たぶん気付いてない」

 じゃあ、その線は無しか…。

 その話はまた後で詳しく聞くことにして、他の事を聞くことにした。

 再び、顎に手を当て、何かを考えるレン。

「…あ」

「なんだ?思い出したか?」

 顎から手を放し、何か思い出したように拳を手の平にポンと乗せる。

「道に迷ってた幼女を警備隊のところに連れて行った」

「お前に期待した僕がバカだった」

「!?」

 そんなふうに言い合いをしているとロビーに着く。

 結構そろってしまっている。

「あ。シキ君にレン君やっと来ましたか」

「は、はい。すいません」

「いいんですよ。さ。自分の位置についてください」

 優しげな表情でにっこり笑うシルク先生。なんだ?この学校の女教師の笑顔ってのはなんでこう殺人的なんだろう。

 再びほんわかした気持ちになった僕とレンは自分の位置に戻る。しばらくたって全クラスが点呼確認をした後、またもや学年主任Cクラス担任アンカー先生が前に出る。

「今日はこの後から夕食までを自由時間とする!各自、好きな者と自由に観光をしてくるがよい!」

 アンカー先生のその一言に生徒たちは大きな歓声を上げる。

「夕食は7時には着席しているように!各自王都学院学生という自覚を持つように!それでは、解散!」

 わくわくしながら僕はセルフィたちのもとへとレンと共に向かったのだった。



シキ:ストーカー注意予報

レン:ラッキースケベロリコン注意予報

セルフィ:シキコン注意予報

アイ:シキコン注意予報

グレン:新境地注意予報

ミカド:出番なし注意予報

キリシア様:しばらく出番なし注意予報

シルク先生:かわいい注意予報

アンカー先生:モブ注意予報


飛行船:魔力式で稼働する場合によっては酔いやすい乗り物。多くの者の胃の中を空っぽにしてきた。

空中都市『オリオン』:マジラ〇ュタ

空中繁華街:オリオン名物。書いてる時にトーマPの「バビロン」聴いてました。

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