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イタズラは甘い罠ですか?

作者: 瑠璃/風花
掲載日:2026/10/31

「ママったら、ハロウィンのことコスプレの日なんて言うのよぅ」

「間違ってないよねw」


 私が嘆くと、チャット画面のコメントが短く表示された。竜星からの返信だ。

 

「でも、仮装だけの日じゃないやん」

「はいはい、マキは次のコスプレは何にするのさ」

「ん〜、ハロウィンにあるコスプレイベントは申し込んであるけど、魔女やシスターとかは違うかな」


 この前買った人気VTuberの衣装を思い出す。10月末にはちょっと寒いかな。もうカイロを使ってもいいかもしれない。


「私も申し込んでる。合わせる?」

「え? 本当? なんにする?」

「VTuberとかじゃないの?」

「もしかしてクローゼット覗いたぁ?」


 SNSなら爆笑スタンプが押されるところだ。ゲーム内チャットだと、そういった機能はない。バトルのときはボイスチャットも使うけど、今はのんびり気分。


 竜星とは三ヶ月前のコスプレイベントで知り合った。背が高くて騎士のようなキャラクターの姿がとても似合って、ドキドキして写真を撮らせてもらってからの友達。


 それから、竜星がコスプレしていたキャラの出てくるゲームを始めた。バトルも面白いけれど、ゆっくり家を建ててインテリアを凝ったりできる。


「ゲームのハロウィンはどうするの?」


 ガチでバトルしている竜星はステータスが高くないイベント装備はつけないかも。でも、そんな考えを見透かしたようにコメントが入る。


「当日を楽しみにしてて」

「とうじつ〜?」


 急に、ワクワクとした気持ちが跳ね上がる。何かがある、それだけで楽しみになった。


 今年のハロウィンは土曜日だからリアルイベントも、その日に重なっている。その日を楽しみに、仕事を頑張るのだった。


 待ちに待った当日、ゲームにログインする。

 何か変わったことはないかなと家を出ると、家の周りにはかぼちゃがたくさん積まれていた。狭くなった通路をなんとか通る。


「な……! なんでぇ!?」


 家のまわりのオブジェは置いた人以外動かせない。アイテムの盗難防止のための仕様なんだろうけど、えっ、えぇ〜!?


 やっぱり私ではかぼちゃが動かせなかった。いたずらがハロウィンらしい。


「やったなぁ〜」


 楽しくなって竜星の家に行く。私は何を置こうかなと思って、集めていたラブリーなガーデンテーブルセットを置いた。花模様のロマンチックなやつだ。


 モノクロでコーデした室内のセンスのように、シンプルにまとめられた竜星の庭には全く似合わない。


「あぁ、そうだ!時間がない」


 思い出してログアウトし、メイクをした。付けまつげをして、カラコンも入れる。それから、ネットを付けてウィッグをかぶった。

 帰りの着替えは持っているけど、コスプレしたまま出かけることにした。こういう時には車は便利。


「やっぱりコスプレの日じゃない」


 ママの言葉に苦笑しながら家を出て会場に行くと、すでにたくさんの人が来ていた。何とか落ち合うと、竜星がカゴを持ち上げて見せる。


「トリック・オア・トリート!」

「わっ、どうしたの? 配るの?」

「せっかくだからね、他のレイヤーさんと交換しようかと思って」


 さすが気遣いが違う。竜星しか友達がいないから、思いつかなかった。しょんぼりしてると竜星が言う。


「トリック・オア・トリート!」


 腰を低くして、頬に指をトントンと当てる仕草をする。まさか!


「マキからはお菓子を貰えないみたいだからね」

 

 仕草がイケメン過ぎてこっちが照れる!にっこり笑って見せる竜星に、覚悟を決めた。


 ちゅっ


 頬にキスすると周りがどよめいた。私達は今、キャラクターの格好をしている。ちゃっかり写真に収めたカメラマンさんがデータをくれることになった。


 これは、どう捉えたらいいのかしら。男装レイヤーの竜星と何かが始まるのか、始まらないのか。いや、いや。真っ赤になって、しばらく大変だった。


 ハッピーハロウィン!

ここまで、読んでいただきありがとうございます!

竜星ってハンドルネームだったのか? とか、女性?っとか、少しでも驚いていただけたら嬉しいです。


コメントや★をいただけましたら、とっても励みになります(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜

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