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Chapter 6: Roll and Action! (Part 2)

黒い家


 緑色のオークが一匹、コンピューターの前に前かがみになって座っていた。幅広い鼻の上には、今にも落ちそうな老眼鏡がちょこんとかかっている。


 画面に表示されているのは――


 MQ-9リーパー無人機の設計図だった。


 まだ未完成だ。


 彼のユニークスキルには、一つ大きな問題があった。


 ダウンロード機能が存在しない。


 まったくない。ゼロ。皆無。


 つまり、地球のネットから何かを手に入れたい場合――

 すべて自分で描き直さなければならないのだ。


 一行ずつ。

 一部品ずつ。


 最小のネジ一本に至るまで。


 そして、さらに大きな問題がある。


 彼は絵が壊滅的に下手だった。


 コンピューターが発明される前、彼の最も有名な失敗作は――


 完成から三ヶ月後に爆発した石油精製所である。


 原因は、報告書によると「設計上の不備」と丁寧に表現されていた。


 その事故で、数百人の魔族労働者が死亡した。


 もっとも、周辺の都市では――


「見事な花火大会だった」


 という評価になり、その爆発は毎年の祝祭イベントとして定着してしまったのだが。


 ソロは目を細め、画面を睨みつけながら翼の比率を調整しようとしていた。


 そのとき――


 バンッ!


 突然、リリスとモーがオフィスに飛び込んできた。


「ソロ、問題がある」


 リリスが無表情で言った。


「何だ?」


 ソロは眼鏡を外し、たたんで机の上に置く。


「さっきベルフィから怒りの電話が来たわ」

「生産完了までもう一ヶ月必要だって」


「理由は?」


 モーがため息をついた。


「引用すると――『クソみたいに間違った衣装のせい』だそうです」


「どういうことだ?」


「以前ベルフィに渡したヴァンドリアの資料」

「どうやら数百年前のものだったらしい」


「……それで?」


 ソロは肩をすくめた。


「じゃあ待てばいいんだろ?」


「残念ながら」


 モーは数枚の航空写真を差し出した。


「その時間がありません、閣下」


 ソロは写真を見下ろす。


「我々の偵察機が、ドーン港に集結するヴァンドリア艦隊を確認しました」

「同時に、レイヴンドーン城でも大規模な部隊移動が確認されています」


「毎日、大隊単位で兵が入城している」

「今後さらに増えると予測しています」


 リリスは腕を組んだ。


「もうベルフィを待つ余裕はないわ」


 ソロは椅子にもたれかかった。


「くそ……だが、PR計画はどうする?」


 最近、ムリカはようやく他国と接触することに成功していた。


 問題は――


 魔王国であることだ。


 その時点で、世界中の人間はすでにこう思っている。


 血に飢えた悪役。


 ムリカの外交官たちは、玄関に足を踏み入れる前にドアを閉められるのが常だった。


 だからこそ、レヴィとモーは提案したのだ。


 近いうちに起こるヴァンドリアとの戦争を、広報素材として利用する案を。


 もし世界が「魔族が被害者である」姿を見れば、世論も少しは変わるかもしれない。


 そのために――


 ベルフィには宣伝用のプロモーション映像の制作が依頼されていた。


 リリスが机をトントンと叩いた。


「ねえ……」


「フィクションを作る代わりに」


「本物を撮影するのはどう?」


 ソロは瞬きをした。


「だって」

「ベルフィの脚本、現実とそんなに違わないじゃない」


「つまり……」


 ソロはゆっくり言った。


「偽旗作戦か」


「まあ……」


 彼は顎をかいた。


「魔族を被害者に見せるには……」


「本物の魔族の被害者が必要になるわけだ」


 彼は曖昧に手を振った。


「だからって、うちの兵士や外交官を死なせて写真を撮るわけにもいかない」

「奴らは高いんだ」


 モーが肩をすくめた。


「ふむ……」


「じゃあ、誰も困らない魔族はどうです?」


 ソロは顔を上げた。


「誰だ?」


 モーはほんの一瞬だけためらった。


「たとえば……」


「エホバの告発者とか」


「……」


 魔族国家にも、鬱陶しい宗教カルトは普通に存在する。


 どこからともなく現れ、謎の魔神の教えを説き続ける連中だ。


 危険ではない。


 ただ――


 うるさい。


 しつこい。


 そして何より――


 ドアを叩くのが異常にうまい。


「ああ」


 ソロは即答した。


「それでいい」


「うん」


 リリスも頷く。


「決まりね」


「誰もあのドアノッカーなんて恋しがらないわ」


 その日の夜――


 ベルフィは制作内容の変更を知らされた。


 戦争ドラマからドキュメンタリーへの変更。


 その瞬間、彼は本来の魔族の姿へと変貌し――


 撮影スタジオで大暴れしたと報告されている。


---


レイヴンドーン王国 レイヴン城


 ピエール公爵とアントニオ大司教は城のバルコニーに立ち、新たに到着する兵士たちがレイヴン城へ流れ込む様子を眺めていた。


 その大半は傭兵だった。


 争いそのものを職業にしているような男たちだ。


 彼らの存在によって、レイヴンドーンの市民だけでなく城の兵士たちまでもが苦しめられていた。だが、数の力がすべてを押し流し、抗議の声が大きくなる前に押し潰されてしまう。


「……これが本当に最後なのか?」


 王ルクストルの問いに、ピエール公爵は振り返った。すでに忍耐はかなり削られている。


「何度言わせるつもりだ? そうだ、これで最後だ」


 公爵は苛立ちを隠そうともせず答えた。


「王は約束している。今回が終われば、お前たちの主権は返される」


「戦争が終われば、ヴァンドリアはこんな田舎の辺境領などもう必要としないからな」


 ルクストル王は静かに息を吐いた。


 肩にのしかかる重圧は、消えたわけではない。ただ、少し位置が変わっただけだった。


「……ありがとう、ピエール公爵」


 王はぎこちなく頷くと、そのまま背を向けて立ち去った。


 その背中を見送りながら、ピエールは小さく笑った。


 静かだが、鋭い笑みだった。


「本当にこの城を手放すつもりなのか?」


 アントニオが問う。儀礼用の法衣の袖の中で腕を組んでいた。


「手放す? いや」


 ピエールは肩をすくめた。


「この場所はなかなか都合がいい」


「ヴァンドリアへ送る前に、奴隷を集めておく拠点としてな」


 アントニオは眉をひそめた。


「この城の“持ち主”が、その用途を許すと思うか?」


「どの持ち主のことだ?」


 ピエールはくすりと笑った。


「戦争が終わる頃には、誰一人生き残っていないだろう」


「文句を言う者などいないさ」


 彼は再び中庭へ視線を向けた。


 城門をくぐってくる傭兵たちの列は、まるで終わりが見えない。


 灰色の鉄の蟻の群れのように、次々と城へ入り込んでいく。


 ピエールはその光景を眺めながら微笑んだ。


 すでに彼の頭の中では、この戦争のあとに築かれる自分の豊かな未来が出来上がっていた。


---


DMZ


 DMZは、いつの間にか一つの村のようになっていた。


 円錐形の遊牧民テント――ゲルが、会議場の建物を中心に輪を描くように並び、その輪は外へ外へと広がっている。まるで荒野の真ん中に植えられたまま、しぶとく生き続ける奇妙な生き物のようだった。


 もちろん――


 人間と獣人が仲良く混ざり合って暮らしているわけではない。


 道端で子どもたちが無邪気に遊び回るような場所でもない。


 まともな親なら、地獄の門のすぐ隣で子どもを育てようなどとは思わない。


 DMZは、行き場のない人間たちの避難所になっていた。


 逃亡者。

 脱獄囚。

 奴隷商人。

 娼婦。


 秩序は一応存在する。

 ただしそれは、混沌のコストがすでに計算済みだからに過ぎない。


 もちろんDMZにも子どもはいる。


 だが、彼らは住民ではない。


 奴隷商人が連れてきた奴隷の子どもたちだ。


 最初のころ、商人たちは子どもの奴隷を大人より高値で売ろうとしていた。


 魔族は子どもを食べるのが好きだ、と勝手に思い込んでいたからだ。


 しかし魔族たちは、それを侮辱だと感じた。


 なぜ、量が少ないものに、わざわざ高い金を払う必要がある?


 しかも、商人たちが値段を下げたころには――


 魔族たちはすでに、その子どもたちの衛生状態を十分観察していた。


 そして結論に至った。


 かなり怪しい。


 結果として、魔族たちは全員そろって丁寧に断った。


 腹を壊すのは御免だからだ。


「ダメ……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ……」


 脇道のベンチに座りながら、ベルフィと般若は通行人をじっと観察していた。


 誰かが通るたび、ベルフィがコメントをつぶやく。


 般若は無表情で尋ねた。


「閣下……いつもこのように選んでいるのですか?」


「違う」


 ベルフィは苛立った声で答えた。


「普段はちゃんとキャスティングディレクターがいるんだよ」


「今回はお前らの部署のクソみたいな締め切りのせいで、俺が自分でやってるだけだ」


 彼は眉をひそめた。


「ルークの野郎、そっちの部署で働いてないよな?」


「いいえ、閣下」


 般若は即答した。


「ルーク殿下は我々の部署の人員ではありません」


「どうか、ここへ進軍してきているヴァンドリア軍をお恨みください」


「チッ」


 ベルフィは舌打ちした。


「誰かあの野蛮人どもに教えてやれよ」


「芸術ってのは、急がせるもんじゃないってな」


「だが……ドキュメンタリーを作れと言われているんでしょう?」


 般若が首をかしげた。


「映画業界の人間ではありませんが……あれはどう見ても“自然”とは言えないと思います」


 彼は指をさした。


 そこでは一台のバスからジェホバの告発者たちが降りてきていた。


 全員、半袖の白いシャツ。

 背中にはリュック。

 胸ポケットには黒い聖書が見えている。


 彼らはDMZの景色を見回しながら、感心したようにきょろきょろしていた。


 完全に観光気分だった。


「……それから、あちらもです」


 般若はさらに別の方向を指さす。


 そこではDMZの住民たちが列を作り、柵で囲まれた空き地へ向かって並んでいた。


 柵の外には、大きな横断幕が掲げられている。


 『家族ごっこをしてくれたら4金貨! 詳しくは受付まで』


 その下に、小さな注意書き。


 『※申し訳ありませんが、レイヴンドーン兵士は参加できません』


 柵の内側では、ベルフィの撮影チームが狂ったように働いていた。


 DMZの男たちは次々と*“威圧感を減らす処置”*を受けている。


 メイク係が傷跡を隠し、

 表情を柔らかく見せ、

 少しでも危険そうな雰囲気を削っていく。


 子どもたちのボロ布は、*「そこまで悲惨じゃない感じ」*の服に交換された。


 娼婦たちの服装は、*「もう少し服を着ている感じ」*に修正された。


 この騒動について、レイヴンドーン兵はすでに何度も報告書を送っている。


 だが結局――


 魔族が何をしているのか、誰も説明できなかった。


「まあ」


 ベルフィは気楽な口調で言った。


「殺人犯とか強姦魔が殺されたら、お前は悲しくなるか?」


「……なぜ人間が死ぬのを見て悲しくならなければいけないのです?」


 般若は淡々と答えた。


「私は魔族です」


「なるほど」


 ベルフィはため息をついた。


「だが、お前は演出のポイントを見落としている」


 彼は立ち上がった。


「はぁ……ダメだこりゃ」


「ちょっと来い。飛ぶぞ」


---


 DMZの外れ。


 大きな岩の陰で、十六歳の人間の少女が三人のチンピラに追い詰められていた。


 今のDMZでは、これはかなり珍しい光景だった。


 昔は、この場所のクズどもは平気で騒ぎを起こしていた。


 だが魔族兵はいつも迅速だった。


 加害者と被害者の両方を殺す。


 それだけだ。


 その結果、村全体に一つの明確なメッセージが伝わった。


 魔族兵は、報告書を書くのが本当に嫌いらしい。


「おいおい、アイヴィ。もう逃げるなよ」


 チンピラAが笑った。


「どうせ、いつでも見つけられるんだからさ」


「クソ野郎ども……追いかけるのやめろ!」


 アイヴィは怒鳴った。


「金はもう全部渡したでしょ!」


 彼女は、チンピラAの手にある金貨袋を指さした。


 それは、さっき魔族たちからもらった袋だった。


「へへへ、知ってるよ」


 チンピラAはニヤついた。


「でもよぉ……見てみろよ」


「魔族に可愛がられてから、ずいぶん綺麗になったじゃねえか」


 彼は乱暴に彼女の顔を掴む。


 その間に、チンピラBとCが両腕を押さえつけた。


「俺のチンポがお前を恋しがっててな」


 チンピラAは言った。


「お前も恋しいだろ?」


 彼はアイヴィの顔を引き寄せ、湿った口で無理やりキスした。


 息ができない。


 だが――


 ガブッ。


「AAAAAAAAAGH!!」


 アイヴィは噛みついた。


 本気で。


 彼女の口から、チンピラAの唇の一部が吐き出された。


 彼女は血まみれの口で笑った。


 チンピラAは絶叫している。


「このクソ女ァ!!」


 彼は彼女を地面に殴り倒し、何度も蹴りつけた。


「この売女が! 俺にそんなことしやがって!!」


 その光景を、空の上から二人が見下ろしていた。


 ベルフィと般若だ。


「……なんというか」


 般若が呟く。


「とてもありきたりな展開ですね」


 蹴るのに飽きたチンピラAは、今度はズボンを下ろした。


「お前みたいなゴミ女に、俺のチンポはもったいない」


「代わりにこれでも食らえ」


 彼は、地面に倒れている血まみれのアイヴィに向かって――


 放尿し始めた。


「うわ、キモっ!」


 チンピラCが文句を言った。


「こんなんでどうやってヤるんだよ! 汚ねえ!」


 数分後。


 三人のチンピラは、汚れて動かないアイヴィの体をそのまま残して立ち去った。


「つまらない」


 般若は鼻で笑った。


「別の場所を探しましょう――」


「いや」


 ベルフィが言った。


「まだだ」


 地面の上。


 アイヴィが笑い始めた。


 痛みに歪んだ、狂った笑いだった。


 彼女はゆっくりと体を起こす。


 そして懐から取り出したのは――


 金貨袋が二つ。


 自分の袋と。


 チンピラたちの袋。


「ケェヘヘ……バカども……」


 ベルフィは指で四角いフレームを作り、彼女を覗き込んだ。


 そして、にやりと笑う。


「おお、いいじゃないか」


「見つけたぞ、俺のリトル・ティミー」



こんにちは、Bimbananaです。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます。


もし翻訳の質が悪かったり、読みにくい部分があれば、ぜひ教えてください。

できるだけ修正して、もっと楽しんでいただけるようにしたいと思います。


本当にありがとうございます!

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