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第7話:「NO」と言える信頼関係

初めて挑戦します(^^)

あたたかく見守ってくれると嬉しいです。よろしくお願いします


※ この話で得られる「知識」

アイ・メッセージ(I-Message): 「(私は)〜だと感じます」と伝えることで、相手を攻撃せずに自分の意志を伝える方法。


アサーションの本質: 自分の権利も、相手の権利も、両方を尊重する対等なコミュニケーション。


依存の解消: はっきりと境界線を引くことで、相手が「相手の顔色を伺う」必要がなくなるという逆説的な安心感。

その夜も、スマホは震えた。

 22時45分。ハルトさんからのLINEだ。

『苦しくて、消えてしまいたいです。真庭さん、起きていますか?』


 心臓がドクンと跳ねる。以前の私なら、震える指ですぐに「大丈夫ですよ」と返していただろう。けれど、私は九条さんの言葉を思い出し、一度深く呼吸をした。


(これは彼の課題。私の課題じゃない。……私は、彼の「救世主」になってはいけないんだ)


 翌朝。私はハルトさんを面談室に呼んだ。

 彼は少し憔悴していたが、私を見ると安心したように微笑んだ。

「昨夜はすみませんでした。返信がなかったので、少し不安で……」


「ハルトさん。今日は、大切なお話をさせてください」


 私は、九条さんに教わった「アサーティブ・コミュニケーション」を意識して口を開いた。主語を「あなた(You)」ではなく「私(I)」にするアイ・メッセージの技法だ。


「ハルトさんから頼りにされるのは、私にとって、とても嬉しいことです」

「……はい」

「でも、夜間に連絡をいただくと、私はハルトさんの力になりたいと思うあまり、焦って、十分な休息が取れなくなってしまいます。今のままでは、私はハルトさんにとって『良い支援者』で居続けることができません」


 ハルトさんの顔から色が失われる。私は逃げずに、彼の目を見て続けた。


「だから、夜20時以降の連絡への返信は控えることに決めました。その代わり、開所時間内には全力であなたの話を聞きます。私は、ハルトさんと『長く、健やかな関係』でいたいんです」


 長い沈黙が流れた。

 嫌われたかもしれない。傷つけたかもしれない。そんな恐怖が足元から這い上がってくる。


 けれど、ハルトさんは、ゆっくりと、深く息を吐き出した。

「……怒って、ないんですか?」

「ええ。怒っていません。あなたのことが大切だから、決めたことです」


「……良かった。僕、真庭さんに嫌われないように、どんどん可哀想な自分を見せなきゃいけないって、どこかで思ってたんです。でも、真庭さんがハッキリ言ってくれて、なんだか……ホッとしました」


 ハルトさんの目から、ポロリと涙がこぼれた。それは、依存という名の鎖から解き放たれた人の、安堵の涙だった。

 

 境界線を引くことは、突き放すことではない。

 お互いが自分らしく立つための、「安全な柵」を作ることなのだ。



次話への展開

次はいよいよ第8話:プロとしての「冷たさ」です。

一皮むけた灯と、それを見守る九条。二人の関係にも、ほんの少しの変化が訪れるかもしれません。



実体験から書きました。少しでも、福祉従事者の役立つ情報になればと思い執筆してます(^^)

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