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第2話:氷の管理者の教え

初めて挑戦します(^^)

あたたかく見守ってくれると嬉しいです。よろしくお願いします

「……口を、縫い合わせる?」


 翌朝。九条さんの言葉が呪文のように頭を離れない。


 出勤早々、私は九条さんのデスクの前に呼び出されていた。彼は手元のタブレットから目を離さず、淡々と私に命じる。


「昨日の報告書、あれはゴミだ。佐藤氏が何を言ったかではなく、君が何を言おうとして失敗したかしか書かれていない」


「それは……。でも、彼は何も話してくれないんです。私が何か言わないと、沈黙が続いて、気まずくて……」


 九条さんがようやく顔を上げた。その冷ややかな双眸そうぼうに射すくめられ、私は言葉を失う。


「真庭。沈黙は『拒絶』だと決めつけているようだが、それは君の傲慢だ。人間の心理において、沈黙には三つの意味がある」


 彼はデスクのペンを一本取り、指先で弄んだ。


「一つ目は、君が恐れている『拒絶』。二つ目は、自分の感情を整理するための『思考』。そして三つ目は、ただ共にいるだけでいいという『休息』だ。……君は昨日、佐藤氏が『思考』している最中に、余計なノイズを被せなかったか?」


「あ……」


 心当たりがあった。佐藤さんがふっと視線を落とした瞬間、私は「何か言わなきゃ」と焦って、無理やり世間話を振ってしまった。


「沈黙に耐えられないのは、君が相手を信じていない証拠だ。自分の無能を隠すために、言葉という弾丸を撃ち込むのはやめろ。支援者なら、相手の『沈黙』を奪うな」


 九条さんの言葉は、鋭いメスのように私の胸を切り裂く。

 でも、不思議と納得してしまう自分がいた。私は、自分の安心のために喋っていたのだ。


「いいか。今日、佐藤氏の家に行ったら、最初の一分間は時計の音だけを聞いていろ。相手が黙っているなら、君も黙れ。それができないなら、今すぐこの仕事から降りろ。……効率が悪い」


 最後の一言は、突き放すような冷たさだった。

 私は震える手でカバンを握りしめた。


「一分間、黙る……。それだけで、何かが変わるんでしょうか」


「変わるかどうかは、君の『忍耐』次第だ。行ってこい」


 九条さんは再びタブレットに視線を戻した。

 追い出されるように事務所を出た私は、冬の冷たい空気の中で大きく息を吸い込む。


 ――沈黙を奪わない。

 それは、今まで「おしゃべり」が苦手で、ずっと損をしてきたと思っていた私にとって、初めて聞く「武器」のような言葉だった。




※まとめ

沈黙の三つの意味(拒絶・思考・休息): 相手が黙っている時間をポジティブに捉える視点。


「待つ」ことの重要性: 会話を繋ぐことだけがコミュニケーションではないという気づき。


実体験から書きました。少しでも、福祉従事者の役立つ情報になればと思い執筆してます(^^)

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